社外メンターを導入する企業が増えている
メンター制度とは、若手社員のサポート役として、会社や配属部署の上司とは別に、指導・相談役となる先輩社員がサポートを行う制度のことです。1980年代にアメリカで発祥したと言われています。日本政府も離職率の高さには危機感を抱いており、「人材確保等支援助成金」制度を作り、目標とした離職率まで低減できた場合に助成金を支給するといった対策も講じています。女性社員活躍のための「メンター制度導入マニュアル」を作成してインターネット上で公開するなど、政府が非常に力を入れている分野であります。
新入社員に対するメンター制度や、それに準ずる制度があると答えた企業は、全体の約51%とされています。獲得した人材を定着させるための施策が、十分に実施されていない状況と考えられます。
出典元『経営プロ』若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!
一見するとよさそうなシステムですが、「以前メンター制度はあったが今はない」と回答した企業も8%になることをが分かります。かかった工数の割に効果を実感できてない企業も一定数いることが想定できます。
そうした流れの中で、社外の人間をメンターとして起用する「社外メンター」が注目されているのです。
今回は、社外メンター制度の役割や、成功させるためのポイントを説明します。
社外メンターに求められる役割と成功させるためのポイントとは?
メンターとは助言者や理解者、教育者といった意味をもった言葉です。企業内では、毎日の業務だけでなく精神的支援をしてくてる存在という意味で使われる場合が多くあります。
多くの企業ではメンターを社内で選出して若手社員の支援をしていますが、メンターを任された社員の負担が大きいなどの理由から、機能していない場合が多いのです。そこで、社外メンターを利用する企業が増えています。
社外メンターは、企業外にいる人材育成のプロが、社員やスタッフを1人前にしていくサービスです。社内メンターにはできないサポートや、効果的な教育ができるというメリットがあるので、多くの企業が導入を検討しています。
社外メンターと社内メンターでは、求められる役割が異なります。社外メンターに求められるのは生活や精神、そして人間関係のケアです。社内の人間には相談しにくいことを話すことで従業員の気持ちを楽にし、業務意欲や業務効率をアップさせます。充実した気持ちで仕事できるようになることで、離職率を下げることにもつながるのです。誰にも言えない悩みを打ち明けて、より仕事に集中できるようにすることが社外メンターの役割といえるでしょう。
社内メンターは、社内の情勢を含めて部下や後輩にアドバイスします。メンタル面というよりも仕事に関しての助言がメインになり、精神的な支えになるのは難しいのです。社内の人間なので、上司や周りの人間に相談内容が漏れる危険性もあり、信頼しきれないというのもデメリットといえるでしょう。
社外メンターを成功させるポイントについて
まずは、社外と社内におけるメンターが担う役割の違いを把握することが大切です。
社外メンターと社内メンターそれぞれの役割は異なります。役割の違いを把握しておかないと、社外メンターに対応範囲外の相談をしてしまい、解決ができないということになります。しっかりと社外メンターの役割を知っておきましょう。
社外メンターに相談する際には、メンターと相談者の双方に制度の目的や相談内容の共有を前もってしておくことが大切です。従業員が制度について理解していないと、充実した相談ができなくなってしまうので、理解してもらってからマッチングしましょう。
相談内容を前もって共有しておくことでメンター側の負担を軽減でき、相談の答えを考える時間もできるのでより精度の高い回答を期待できます。
社外メンターを利用する際には、相談者自身が相談内容を整理し、意見をまとめておくことも重要です。しっかりと何が相談したいかをメンティーが持っていないと、相談そのものの意味がなくなってしまいます。
こうした注意点をしっかりと理解した上で社外メンターを利用するようにしましょう。
メンターの役割や目的を明確にしよう
社外メンター制度を成功させるためには、制度の目的やメンターの役割を明確に周知しておく必要があります。効果を最大化するためには、メンター・メンティそれぞれに相談の内容や目的を前もって共有しておくことが大切です。
メンター・メンティそれぞれの相性や接点を定期的に確認し、うまくいってない場合は改善をする必要もあります。社外メンターを利用する場合は設定して終わりではなく、アフターケアもしっかりと行うことが大切です。