面接官のための「質問集」を作る3つの意義とは
採用面接は、1人の応募者に対して2〜3回実施するのが一般的です。内定を出すまでに、複数の面接官が合否判定を行います。
採用選考基準の統一が図れていない企業では、面接の評価にばらつきが生じ、合否決定までにパワーがかかったり、自社へのマッチ度が低い人材が入社してしまって結局は早期離職するなどの、問題が多く発生しています。
面接官のための「質問集」作成は、こうした課題を解決するために大変役立ちます。質問集を作成する意義は、3つ挙げられます。
1つ目は採用選考基準の統一を図れること。2つ目は面接官の教育や訓練に役立つこと。3つ目は社内関係部署の協力を仰ぎやすくなることです。結果として、人事担当者の採用業務を大幅に効率化できます。
採用業務効率化を面接から始める理由
面接は、就職白書2019によると99%の企業が実施するといわれる一般的な採用手法です。しかし3割以上の企業が、採用選考基準の統一化や面接担当者の教育・訓練に課題があると回答しています。面接は、採用活動の中でも、工数が多くかつ課題が多い業務です。採用業務の効率化を図るには、まず面接を見直すことが有効なのです。
5割以上の企業が、社内関係部署の協力体制構築にも、頭を抱えているようです。面接にリソースを割かれることは、関係部署にとってはデメリットとして考えられることもあります。
面接の質問集を用意することで、新米面接官のハードルが下がるため、現場からの協力も仰ぎやすくなるのではないでしょうか。今回は、新卒採用・中途採用に共通する面接での質問集について説明します。
採用選考における、よくある評価15項目について
面接の質問集を作成するためには、採用選考における評価項目を明確にすることが必要です。新卒・中途ともに共通して、具体的には、下記のような項目が挙げられます。もちろん自社の求める人物像によって、下記以外を評価項目とする場合もあります。
- 価値観
- 主体性
- 実行力
- 課題発見力
- 計画力
- 創造性
- ヒューマンスキル
- 傾聴力
- 柔軟性
- 情報把握力
- 規律性
- 自律性
- ストレス耐性
- 生産性
- 組織貢献力
面接で見極めるべき評価項目とは
面接の時間は限られており、全ての評価項目を深く把握する時間はありません。面接では、評価項目のなかから優先的に見極めるべき項目を予め選定します。
自社の求める人物像に沿って面接での評価項目を明確にし、書類選考や性格適性検査の結果を踏まえて深く掘り下げるべき項目まで準備しておくことが望ましいでしょう。
評価項目は2種類に大別されます。1つはスキルや能力で、これは動機付けや教育・研修などにより向上でき、可変性が高い項目です。もう1つは性格や価値観などのいわゆる人物特性で、生涯を通じて変わりにくいものになります。面接で見極めるべきは、後者です。自社とのマッチ度が高い人物特性を持つ人材ほど、入社後早期に活躍しやすく、長期的に会社に貢献してくれるからです。
面接官が面接で必ず聞くべき質問集について
今回は、新卒・中途に共通して、応募者の本質を見抜くのに役立つ質問を紹介します。3つの評価項目を例に挙げて、評価項目ごとに具体的な質問例とその意図を説明します。
1.価値観
「志望動機は何ですか?」
「将来の夢は何ですか?」
「何のためなら、苦境に際しても頑張れますか?」
会社の理念と応募者の価値観が合っているかどうかを見極めます。
会社の理念や目指すべきビジョンに賛同できれば、多少の意見の食い違いが発生しても、モチベーションを低下させず、のびのびと能動的に発言・行動ができるため、成果をあげやすいのです。
2.ヒューマンスキル
「どういう人と働きやすく、または苦手ですか?」
「相手と対立したとき、どうしますか?」
「トラブルが発生した時の対処方法は?」
社内外の人との人間関係構築について、過去の行動を掘り下げて質問します。
他者との付き合い方のパターンや、その背景にある経験や考え方を把握しておけば、入社後の行動予測に役立ちます。
3.組織貢献
「チームや組織のために行動した経験を聞かせてください」
「組織目標の達成に役立つ、あなたの強みは何ですか?」
組織とどのような関係性を構築する人物か、過去の行動を掘り下げて質問します。
どういう特徴を持つ組織と相性がよいのか、また逆に馴染まないかを予測して、自社とのマッチ度を図ることができます。また、早期離職の防止や入社後のマネジメントにも参考になるでしょう。
新卒の採用面接、中途の採用面接、それぞれについての質問集は、下記ページで詳しく紹介しています。
面接の質問集を作成する前に、「良い人材」とは何かを明確に
面接の質問集を作成する際には、まずは面接で見極めたい評価項目を明確にします。同時に、質問に対する想定される回答に対して「こういう回答なら合格」など、評価基準を具体的にします。そのために自社にとって「良い人物」とは何かを明文化しておく必要があるでしょう。
会社や組織との相性、志望意欲など、新卒・中途ともに共通して見極めるべき項目については質問集を用意するだけではなく、面接マニュアルにも合わせて明記しておくと良いでしょう。面接官の経験によらず、誰もが限られた面接の時間を最大限に有効活用できるよう、面接の質問集を作成してみてはいかがでしょうか。