イノベーション人材を育成する方法とは?必要なスキルの種類について

イノベーション人材が求められている背景とは?

現代ビジネスは「VUCAワールド(予測不可能な状況)」と呼ばれるように、明確な最適解がない複雑な課題が山積みの世界です。科学技術の急激な発展によって、労働やライフスタイルなどの生活環境が加速度的に変化しているのが、現代社会におけるビジネスの特徴といえます。

未来の予測が困難な現代では、企業を変革していける新しい時代の担い手の存在が、より一層求められています。企業を変革するためには、新しい価値の創造、つまり「イノベーション」を引き起こすことが求められます。イノベーションを起こすために必要とされるのは、優れた知識を融合して問題に対峙していける人材です。

イノベーションとは「革新」「一新」などを意味する言葉であり、ビジネスシーンにおいては「技術革新」なども含まれます。イノベーションのタイプは、大きく分けて「製品・サービス」「生産工程」「組織」「マーケティング」の4種類があるとされており、何を目的とするかによってやり方も必要とされる人材も異なります。

今回は、イノベーション人材を育成・採用するために、イノベーションの目的によって異なるイノベーション人材の特徴やタイプについてご紹介します。

イノベーション人材を育成する方法とは?必要なスキルの種類について

イノベーションにはいくつもの種類があり、種類によって特徴が異なります。今回の記事では、特に注目されているイノベーションを中心にご紹介します。

  1. オープン・イノベーション
  2. リバース・イノベーション
  3. 持続的イノベーション
  4. 破壊的イノベーション

1.オープン・イノベーション

オープン・イノベーションとは、自社の技術だけでなく、業種や分野などを超えた他社の技術を集約させて、新たな製品開発や事業開発を行なうイノベーションです。

オープン・イノベーションは、製品を製作するサイクルのスピード化や市場ニーズの多様化に応えられるメリットがあります。しかし一方で、一定期間は多大な人材コストがかかる、機密保持やセキュリティー面での懸念、自社開発力の低下などのデメリットもあります。

オープン・イノベーションの成功事例としては、米P&G社の「プリングルズポテトチップス」が挙げられます。プリングルズでは、食用のインクジェット印刷技術を応用して、ポテトチップス1枚1枚にデザインを印刷することに成功しました。

2.リバース・イノベーション

リバース・イノベーションとは、自社の開発拠点を新興国や途上国に移し、現地のニーズをベースにして新たな価値や技術を先進国市場に流通・展開させるイノベーションです。

リバース・イノベーションは、従来の「グローカリゼーション(世界と地域を同時に考え、ローカライズされた先進国の製品・サービスを流通させる手法の造語)」では新たな市場開拓が難しくなり、ビジネスのスピードが高速化した今の社会において注目されているイノベーションです。

リバース・イノベーションは、新たな発想や技術を展開しやすいというメリットがある一方で、グローバルでの組織構築や人員の意識改革など、長期的な経営改革が求められます。

リバース・イノベーションの成功事例としては、LIXIL社の「循環型無水トイレシステム」が挙げられます。LIXIL社は、ベトナムの農村のニーズから生み出された循環型の無水トイレシステム「エコ・サニテーション」の開発に成功しました。

3.持続的イノベーション

持続的イノベーションとは、自社の高い技術力によって従来の製品やサービスに高い付加価値をつけて、市場で求められている価値自体を向上させるイノベーションです。

持続的イノベーションはどの企業でもできるわけではなく、潤沢な資本金を有する大企業・優良企業が得意とするジャンルで、経済合理性に適った企業経営がしやすいという特徴があります。

持続的イノベーションは、先進国のような成熟した市場で優良顧客を獲得・維持しやすくなるメリットがあります。しかし一方で新たな消費者の獲得は難しく、仮に「破壊的イノベーション」が起きた際には、売上やシェアの逆転、既存市場からの撤退を余儀なくされる可能性があるなどのデメリットがあります。

4.破壊的イノベーション

破壊的イノベーションとは、新たな技術革新よって生み出された製品やサービスが、新しい市場開拓を実現するイノベーションです。

破壊的イノベーションは、従来には存在しなかった全く新しい価値を生み出すため、他社が追い付いてくるまで市場をほぼ独占できるメリットがあります。しかし一方で、既存事業や社会秩序を破壊して業界構造を劇的に変化させる性質を有しているため、従来の成熟事業を脅かして主力市場からの撤退せざるを得なくなり、経営悪化を招くきっかけにつながる可能性もあるとされています。

破壊的イノベーションでもたらされた製品は、利便性に優れた小型化や低価格を実現しているものが多く、後に技術向上によってシェアを拡大する可能性が高いという特徴があります。

破壊的イノベーションには、ローエンド層から市場を開拓して後の技術革新によってミドル・ハイエンド層のシェアを奪っていく「ローエンド型破壊的イノベーション」と、全く新たな市場を開拓する「新市場型破壊的イノベーション」の2種類があります。

破壊的イノベーションの成功事例としては、富士フィルムの基幹事業以外のビジネスへの注力が挙げられます。富士フィルムは、デジタルカメラや携帯電話がもたらす破壊的イノベーションを予測してメディカル系事業に注力し、売上・利益の確保に成功しました。

イノベーション人材の特徴とは?

イノベーション人材とは、課題設定力・解決力と価値変換スキルを持つ人材であると定義されています。

企業が求める人材像については、2015年4月に公益社団法人・経済同友会が発表した「これからの企業・社会が求める人材像と大学への期待」において、業種や職種を問わず普遍的に求められる資質・能力が以下のように整理されています。

  • 変化の激しい社会で課題を見出し、チームで協力して解決する能力(問題設定力・解決力)
  • 困難から逃げずにそれに向き合い、乗り越える力(耐力・胆力)
  • 多様性を尊重し、異文化を受け入れながら組織力を高める力(協調力)
  • 価値観の異なる相手とも双方向で真摯に学び合う力(コミュニケーション力)

代表的なイノベーション企業であるGoogle社の前副社長ジョナサン・ローゼンバーグ氏は、同社が求める人材を次の5つのスキルを持つ人材と定義しています。

  • 分析思考能力
  • コミュニケーション能力
  • 新しい試みに対する意欲
  • チームで仕事ができる能力
  • 情熱と指導力

イノベーション人材に必要なスキルと3つのタイプとは?

イノベーションを創出・推進していくためには「ビジネス」「テクノロジー」「デザイン」の3つのスキルが求められます。

イノベーションを起こすためには、3つのスキルを兼ね備えている人材が1人いればいいというわけではありません。3つのスキルを持っている人材はほとんど存在しませんし、仮にいたとしても1人で全ての業務をこなすのは、現実的に不可能です。

企業でイノベーションを創出するためには、異なるスキルや特性を持った人材が互いの得意な領域で協力し合えるように、小規模なチームを組んで取り組む方法が有効と言われています。

イノベーションを創出するチームに必要な人材は、ビジネスの領域を得意とする「プロデューサータイプ」、テクノロジーの領域を得意とする「デベロッパータイプ」、デザインの領域を得意とする「デザイナータイプ」に分けられます。

  1. ビジネスの領域:主にプロデューサータイプが担当
  2. テクノロジーの領域:主にデベロッパータイプが担当
  3. デザインの領域:主にデザイナータイプが担当

1.ビジネスの領域:主にプロデューサータイプが担当

  • 事業全体を俯瞰的に把握し、投資や経営資源の配分などに対して的確な意思決定ができる「ビジネス・マネジメント力」
  • 主戦場である業界を理解し、ビジネスを取り巻く社会・経済の環境変化と将来動向を読み解く「外部環境把握力」
  • 社内外の人材や組織全体を巻き込みながら人脈を構築し、必要となる体制構築や予算確保を牽引する「組織牽引力」

2.テクノロジーの領域:主にデベロッパータイプが担当

  • 先進的技術の分析や調査、探索ができる「技術調査力」
  • 適用可能な技術を的確に評価・選定できる「技術適用力」
  • アイデアを具現化し、それに対するフィードバックを反映して継続的に内容改善をはかる「試作・改善力」

3.デザインの領域:主にデザイナータイプが担当

  • 市場や顧客の課題やニーズを抽出してビジネスやサービスを発想し、有効なコンセプトに発展させることができる「着想力」
  • アイデアやコンセプトについて、内容を精査した上で視覚的に訴える魅力ある企画に仕立てる 「企画構築力」
  • アイデアの合意形成や相互理解をサポートし、組織の活性化や協力体制を促進させる「ファシリテーション力」

自社が狙うイノベーションに合った人材を育成しよう!

現代社会のビジネスでは、大企業のみならず中小企業においてもイノベーション人材の需要が非常に高まっており、イノベーション人材の獲得競争が激化しています。

一言でイノベーション人材と言っても、起こしたいイノベーションの種類や求められる役割によって、必要なスキルや特徴はさまざまです。

イノベーション人材の育成・採用に取り組む際は、自社が狙うイノベーションに沿ってどんなタイプの人材を育成・採用するべきかを明確にして、既存従業員の現状を把握するところから始めるとよいでしょう。

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