HSPとは?人口の2割程度存在する繊細な人材を正しく理解しよう

相手の言動が気になりすぎることはありますか?

「人の表情や態度の変化に敏感」「相手のささいな言動で傷ついてしまう」「同僚が叱責されるのを見ると、自分のことのように苦しい」。こういった経験に思い当たる方は、もしかすると「HSP(Highly Sensitive Person)」かもしれません。

HSPとは、米国の心理学者であるエイレン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。繊細な度合いが強く、人の気持ちや下界からの刺激に敏感な人たちを表す概念で『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ』という著書によって、世界中で認知されるようになりました。

HSPは一つの特性であり精神的な問題ではありませんが、近年仕事と厚生労働省の調査では、うつ病など精神障害の請求件数は増加傾向にあります。HSPの人材への対応も含め、ストレスチェックの義務化など、企業に対して労働環境を整備することが求められているのが現状です。数値でいうと、職場でストレスになっていると感じる事柄がある労働者は過半数を超えており、喫緊の課題となっています。

強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者割合の推移
出典元『厚生労働省』平成 30 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

現代のような変化の激しい社会の中で、人一倍繊細で、刺激に敏感な特性を持つHSPのような人は、全人口の15%~20%程度いるとされています。今回は、HSPの概要についてご説明します。

HSP(Highly Sensitive Person)とは?

「HSP」とは「Highly Sensitive Person」の略で、人一倍繊細で、人の気持ちや光・音・香りなどの外的な刺激に敏感な人たちを表す概念です。HSPの人は日頃からささいなことに疲れやすかったり、人の感情に同調したり巻き込まれたりして苦しい思いをしたり、頼まれごとを断れず、自分のことを責めやすいといった特徴があります。

HSPは、米国の心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。HSPを提唱した経緯は、アーロン博士自身が『とても敏感な人』=HSPであり、自身の敏感さと生きづらさを研究しようとしたことが発端と言われています。アーロン博士は、研究のために同じような特徴を持つ人たちを研究したところ、人種や性別・年齢などに関係なく、どの国民にも一定の割合でこのような「とても敏感な人」がいることをつきとめました。HSPは環境などの後天的なものではなく、先天的な気質、つまり生まれ持った性質であることも明らかにしたのです。

同氏が提唱するHSPの理論では、HSPには4つの属性があるとされており、この属性は、頭文字をとって「DOES」と呼ばれます。

  1. Depth of processing:丁寧で、深い情報処理を行う
  2. Over aroused:過剰に刺激を受けやすい
  3. Emotional reactivity and high empathy:感情の反応が強く、共感力が高い
  4. Sensitivity to subtle stimuli:些細な刺激にも反応する

HSPの特徴は先天的なもののため、表面的な意識だけではコントロールすることは難しいと言われています。HSPは、いわば『生まれつき感度が高い人』とも言えます。

HSP(Highly Sensitive Person)人材の特徴について

HSP(Highly Sensitive Person)である人材はどのような特徴があるのでしょうか?

刺激に敏感

彼らは外部からの刺激に敏感なため、外的な物音や光、味やにおいなど、五感がキャッチする刺激に対して過度に反応する傾向があります。

相手の感情やその時々の周りの雰囲気など、目に見えないエネルギーに対しても敏感に反応します。

「心の境界線」がもろい

自分のテリトリーや、自分が自分であるためのバリアのようなものが「心の境界線」です。HSPの人は、この境界線が一般的な人よりももろいため、意識するしないに関係なく、相手からの影響を強く受ける傾向にあります。

ポジティブにいうと、人の気持ちを敏感に感じ深く共感するというすばらしい一面、ということになります。一方で、相手に対して過剰に同調したり相手の気分や考えに引きずられ、自分を見失ってしまうとマイナスの影響となってしまいます。

常に疲れてしまいがち

HSPの人はさまざまな刺激に敏感なため、精神的に疲れやすいという特徴を持っています。

いつも周りに気を遣っているためヘトヘトになりやすく、楽しいことをしていたとしても後々グッタリしてしまいがちです。普段から無意識にさまざまな刺激を受けているため、人混みや周りのネガティブな感情があるだけでも、大きく消耗してしまうのです。

自分を肯定しにくい

HSPの人は自分が繊細なだけに、めったに相手を責めません。基本的に良心的で優しく、相手のことを優先しがちです。相手のことを気にするあまり、ちょっとしたことでも、自分の方が悪いのでは…、とネガティブな方向に考えてしまいます。

基本的に自分に自信がないため、怒りの感情の標的にされることも多く、自分の本音を隠してしまうことから人との関わりが苦手な人が多いのも特徴です。

HSP人材を活用する企業のメリットについて

HSPの人は、何事も「深く処理する(Depth of processing)」行動をする傾向にあると言われています。刺激を受けやすいだけでなく、受けた刺激や感情に対して、深く感じたり、考えたりすることができるのはプラスの側面です。感情の処理に時間がかかることもありますが、一旦自分自身で納得できると、そこからたくさんのことを学ぶことができるため、一つの仕事を極めることができる、頼りになる人材になりえます。

感情や心の動きに対しても敏感なので、いい意味で職場や周りにいる他人の気持ちに共感ができたり、人の心を読むことが上手でもあります。周りに気を使いすぎるともいえますが、職場の空気を読み、適当に行動ができる潤滑油のような存在になりえるところもメリットでしょう。

周りのちょっとした変化にも気付くことができるため、上司や部下、クライアントの些細な変化も見落とさずきちんとフォローができるという意味では、部署に1人いると非常に組織が活性化します。1つのことから、たくさんのことを感じ取ることができるため、仕事もある意味、効率が良いタイプが多いとも言われています。

HSPの提唱者のアーロン博士は、どんな組織においてもHSPの人は不可欠であると述べています。

『HSPは、一般的に注意深く、誠実、仕事の質にこだわり、細かいことが得意で、直感的な洞察力を持ち、才能があり、クライアントのニーズをよく考え、仕事場の雰囲気を和ませる。端的に言うと彼らは理想の従業員なのだ。どんな組織もこのタイプの人が必要である』どんな仕事であっても、人とのコミュニケーション、気配り・心配りなどを忘れない彼らの感性を活かせるチャンスはたくさんあるのです。

HSP人材を活用する企業のデメリットや注意点

HSP人材は、きめ細かさや豊かな感受性で、仕事で大きな成果を上げることが期待されますが、一方で繊細なだけに能力を発揮しにくかったり、ストレスをため込んでしまうことも往々にしてあります。業種・職種によっては、HSPの人材には向いていないものもあるため、人材の配置は適材適所を実現することが望まれます。

たとえば、人付き合いの多い仕事(接客業など)が挙げられます。物事によく気が付くHSPは、接客業なども上手にこなすことができますが、同時に気を使いすぎて疲弊してしまうことにあります。人の要求に応えようとして無理をしたり、相手の言動に人一倍傷ついてしまうこともあるため注意が必要です。

競争が激しい職場や、厳しいノルマが設定されていたりする場合、大きなストレスを抱え込んでしまいます。自己管理能力の高いHSPですが、他者に干渉されると自分のペースを乱しやすく、その能力を存分に発揮できなくなってしまうため、周りとの競争意識を感じざるを得ないような業務はお願いしないほうが良いでしょう。

生活リズムが定まらない仕事、たとえば、残業・夜勤・出張などが多い仕事もHSP向きとは言えません。環境の変化に敏感で疲れやすい彼らにとっては、十分な休息時間と落ち着ける場所がないと疲弊してしまいます。自分の生活リズムを維持することが、HSPの能力を発揮するうえではとても重要なのです。

HSPの人は生きづらさを抱えている人が多いことから、自分は「欠点を抱えた人間だ」という認識を無意識に持ってしまう傾向にあります。ですがどんな特徴にも短所・長所があります。HSPの人は、短所ばかりに目が行きがちですので、できるだけポジティブな面を見るように指導することも有効でしょう。

HSP(Highly Sensitive Person)という存在を知る

HSPとは、高度な感覚処理感受性を持つ人材のことです。彼らは、外部の刺激に敏感であるがために疲れやすく、自己否定が強い傾向にあります。

自分の裁量でできる仕事やコツコツ取り込める仕事などで彼らは、その特性をプラスに発揮することもできます。職種や配属などで、彼らの能力を最大限活用できる場を提供することが、人材の適材適所を実現することにつながるのです。

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