日本人はグローバル市場での競争力が低い?
IT技術の爆発的な成長により、市場は一気にグローバル化をはじめました。しかし、日本の現在の国際的な競争力は決して高いものではないと言われています。
ダイアモンドの調査によると、世界の時価総額ランキングでは、平成元年時点では上位5社を日本企業が独占しています。また上位50社中32社が日本企業であるなど、かつて日本は国際社会での存在感が非常に強かったことがわかります。しかし平成31年時点では、上位50位に入っている日本企業は43位のトヨタ自動車のみであり、国際社会での競争力が弱まっていることが明らかになっています。
日本の国際競争力が低い理由は諸説ありますが、ひとつに企業内に日本人しかいないという環境が当たり前で、多様性に乏しいことが挙げられています。
働き方改革のひとつとして叫ばれているのが「外国人人材の活用」です。昨今の採用難に加え少子高齢化による労働生産人口の減少から、外国人労働者の数も占める割合も増加傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、外国人労働者数の推移は増加傾向にあります。現在も増加傾向が続いており、令和元年10月末時点で約166万人の外国人労働者がいると報告されています。
参考URL『厚生労働省』「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
今回は市場がグローバル化していく中で、外国人人材を活用しながら国際社会で活躍するグローバルリーダーについて説明します。
グローバルリーダーとは?どんな役割を担うのか
ビジネスにおいて「グローバル」という言葉は、世界を股にかけた活躍を想起させます。いわゆる「グローバル人材」という概念は、よく語学力が注目されやすい傾向にありますが、語学力は表面上の問題でしかありません。
「グローバルリーダー」とは、言語のみならず、国境、地域、文化など様々な分断線を越境して幅広く活躍できるビジネスリーダーを意味しています。キーとなるのは多様性や環境への順応しやすさであり、ビジネスシーンで越境的な活躍をするには、幅広い知識や教養だけでなく、個人のスタイルを強く支える思想も重要です。
グローバルリーダーの目的と役割とは
グローバルリーダーが必要になった背景として、重要なのはIT技術の進化です。物理的な距離に関わらず、高速に大量の情報をやりとりできるようになって以降、国内市場と海外市場の境界があいまいになったといえます。
IT技術の進化によって、市場での生き残りをかけた競争は激化しました。国内企業だけでなく海外企業との競争も余儀なくされ、さまざまな国や地域に迅速かつ柔軟に自社サービスをフィットさせることが、事業成長の鍵を握る時代となりました。
グローバルリーダーは、そうした背景を受けた事業戦略を牽引する存在として不可欠です。国内では通用していたこと、当たり前だとされていたことも、海外ではそもそも浸透していないということは往々にして起こります。様々な可能性を視野に入れながら試行錯誤し、プロジェクトの的確な舵取りをできるトップがいなければ、事業成功はなしえないといっても過言ではないでしょう。
グローバルリーダーを活用する企業のメリットについて
グローバルリーダーを有する企業の最大の強みは「海外を視野にいれた事業戦略を組み込むことができる」点にあります。市場において多くの選択肢を持ち、高い競争力を持つということです。
日本のビジネスパーソンの特徴として、しばしば国際競争力の低さが挙げられています。スイスのビジネススクール「国際経営開発研究所(International Institute for Management Development:IMD)」の研究機関、「IMD世界競争力センター(IMD World Competitiveness Center)」による2016年の世界61カ国を対象とした調査結果では、日本の国際競争力ランキングは先進国のなかでも特に低い30位という結果になっています。
参考URL『IMD World Competitiveness Center』
これは戦後日本で浸透したワークスタイルや、職場に日本人しかいないことが当たり前である環境に由来しているとする説もあります。仕事において異文化との接触がなかったこと、終身雇用が暗黙の内に社会の当たり前となっていること、場を荒らさないように「空気を読む」ことが良しとされることなど、「同調」が求められた結果、人材の多様性が乏しくなっていることが海外市場での競争力が乏しくなっています。
グローバルリーダーは「同調文化」における異質な存在になりえます。言い換えると、異質なものを排除するのではなく、その異質さを認め、組織全体の多様性を促進するキーパーソンとなります。そうした人材は組織全体の活性化と柔軟な対応力を強く補ってくれます。
グローバルリーダーに求められるスキルについて
グローバルリーダーに求められるスキルは大枠として以下の2つに分けられます。
- グローバル人材としての個人力
- 組織を牽引するリーダーシップ
後者については一般的なリーダーシップ理論とほとんど同じといえますので、ここでは特に前者に求められる主なスキルを3つ簡単に紹介します。
視野の広い知的好奇心
常に新鮮な情報を仕入れ、学んでいく知的好奇心。
新しいものへの順応性
I新しいテクノロジーや概念、異文化、ビジネス環境への適応能力。
高度な社会人基礎力
論理的思考力、コミュニケーション能力、マネジメントなど、社会人基礎力に該当する汎用性の高い実務スキル。
グローバルリーダーを育成する方法について
グローバルリーダーとしての活躍を期待したい若手人材の育成は中長期的な人材戦略として重要です。こうした人材を育成するポイントになるのが「いかにして経験をつませるか」ということになります。研修や資格支援だけでなく、海外派遣や関連会社への出向というのもひとつの手段です。
海外に拠点を持つ企業ばかりではないので、国内にいながらいかにグローバルリーダーを育成するかも肝心です。必ずしも海外に行かなければグローバルな活躍ができないというわけでもないのです。
いまではインターネットを使って日本にいながら海外の顧客や企業とビジネスを行えます。グローバルリーダーを育成するには、自社がまず海外の顧客や企業と接する機会を持つことが大切です。自社の従業員が仕事で海外市場触れる機会を作るようにしましょう。
グローバルリーダーの育成は国際的な競争力を高める
「グローバルリーダー」とは、言語のみならず、国境、地域、文化など様々な分断線を越境して幅広く活躍できるビジネスリーダーです。市場のグローバル化や外国人人材の活用などで、グローバルに活躍するグローバルリーダーの需要が高まっており、こうした人材の有無が企業の国際的な競争力を左右するといっても過言ではありません。
グローバルリーダーは育成することが可能です。そのためにも、自社の従業員が海外市場と接する機会を設けられるように事業展開していくことも大切です。グローバルリーダーになるためには、チャレンジ精神と豊富な経験が必要だからです。
自社の市場競争力を高めるためにグローバルリーダーは非常に重要な存在となるため、早期から育成を始めるように環境を整えましょう。