フォローアップ面談を実施していますか?
どの会社でも、新入社員関わらず、フォローアップ面談は人材育成のためにも重要です。働く人の多くは、働くことに対してさまざまな悩みを抱えているからです。
バーニャカウダの調査によると、働く人の6割以上が仕事上の悩みを抱えており、1位は給与、2位は人間関係の悩みを抱えていることが見て取れます。
出典元『バーニャカウダ』【調査リリース】働く男女931名を対象にインターネット上で実施した「仕事上の悩みに関する調査」の結果を公表いたしました
出典元『バーニャカウダ』【調査リリース】働く男女931名を対象にインターネット上で実施した「仕事上の悩みに関する調査」の結果を公表いたしました
悩みを相談できない人は53%と過半数の人が悩みを相談できないという現状では、誰に相談してよいのかわからないなど、気持ちの問題が理由として挙げられています。
出典元『バーニャカウダ』【調査リリース】働く男女931名を対象にインターネット上で実施した「仕事上の悩みに関する調査」の結果を公表いたしました
厚生労働省の調査でも、強いストレスとなっている事柄がある労働者の割合は約6割となっており、相談相手として上司同僚、家族友人が圧倒的に多いことが分かっています。
出典元『厚生労働省』平成 29 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
今回は、社員の悩みを相談する制度でもあるフォローアップ面談について説明します。
フォローアップ面談の概要や目的とは
組織に入ったばかりの新人社員は、入社後数か月は、新しい職場で多かれ少なかれストレスを感じています。仕事に対する考え方や進め方の違い、新しい人間関係、さまざまなプレッシャー、入社前のイメージと実際の業務とのギャップなど、職場や仕事に慣れるまでさまざまな焦りや戸惑い、不安などを感じているものです。
不安定な気持ちやストレスを放置しておくと、本来持っている個人の能力をうまく発揮できなくなり、ひどくなると早期退職の原因となってしまうリスクもあります。個人が大きなトラブルを抱えたり、早期退職するなどのマイナスの要因を防ぐためには、新人社員の話をしっかり聴き、現状を確認することが必要です。その際に効果を発揮するサポートの一つが「フォローアップ面談」なのです。
フォローアップ面談の目的
フォローアップ面談の大きな目的は、「社員の現状や、その時々の思いを確認すること」です。
- 今の仕事にモチベーションを持って取り組めているか
- 入社前に思い描いていた業務と現状にギャップはないか
- 働いている環境で気になっていることはないか
- ストレスを感じていることはないか
- 自分が思い描いているキャリアプランと、今の職場や仕事は一致しているか
新入社員の現状について話を聞いて終わりではありません。今の仕事にやりがいを感じているのであれば「さらに成長するためにはどうすればいいか?」の具体的な目標設定を行ったり、課題やストレスがあれば、その原因を掘り下げて確認し、改善策を考えて共有するなど「次」につなげるアクションを話しあい、行動に移すことが求められます。行動によって何が変わったかを確認していくこと重要です。新人の話を聞いて終わりにならないよう、留意しましょう。
職場の上司・先輩ではない第三者である人事や教育部門の人が、新人に個別に話を聞くフォローアップ面談の形も利点があります。
一つには、同じ部署ではないということだけで話がしやすい点です。直接仕事に関わっていないので気兼ねせずに意見を述べることができるのです。二つ目は、何か不満がある場合、ガス抜きの効果がある点で、直属の上司には話しにくい仕事への不満や不安も素直に言うことができます。三つ目は、面談を行うことで新人の本音が人事や教育部門に伝わり、職場の課題を把握することができ、今後の育成施策に反映できる点です。
面談は目標設定や業務の区切りとなりやすい3ヶ月ごとのタイミング(入社3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年)が効果的と言われています。面談の流れは、まず、面談の目的を伝え、本人の現状を確認。現状と本人の希望などから、本人にとってどうなることがよいのかを把握して、ありたい姿に近づくために何をすればよいかを共に考える…といった流れで進めます。
フォローアップ面談を実施する企業へのメリットとは
定着率の向上と採用・教育コストの削減
フォローアップの一番の効果は、社員の定着率の向上です。それによって得られるメリットの一つに「採用・教育コストの削減」があります。
人材採用などの事業を展開しているマイナビが実施した調査によると、一人あたりにかかる費用の平均は、広告費やセミナー運営費などの直接的な費用だけで53.4万円にものぼります。もちろん、選考や面接に時間と社内の人材を割り当てるなど、単純にその時間を時給換算するだけでも膨大なコストになることは明白です。
特に中小規模の企業では、新人採用だけで業務や予算を圧迫する割合は大きく、その意味でも的確なフォローは、不可欠な投資といえます。
定着率の向上による、労働生産性の向上
人材は、業務に慣れるにしたがって時間あたりの労働生産性は向上します。経験が増すほど、業務の流れを正確に把握し効率的に動くことができるようになります。
定着率の向上は、組織にベテランが増えることとイコールです。ベテランが一定数組織にいることは、社内のコミュニケーションと育成の場を円滑にできることでもあり、より効率のいい業務フォローの実現につながるのです。
風評被害の防止
離職率の高さは、求職者が会社のことを判断し特定のイメージを持つ一つの指標になると言われています。
最近では企業のイメージは簡単に個人がネットに書き込める時代です。離職率が高い企業は、それだけで「社員を使い捨てる」や「激務」などのマイナスイメージに直結するのです。
社員のモラル・モチベーションの向上
離職率が高い企業は、採用・教育をする側も、社員も「何かあったらすぐに辞めるし」と教育やマネジメントをするモチベーションがもともと低い傾向があります。
丁寧なフォローがない職場で教育を受けた新人は、後任にも同じようなやり方でしか教育できないですし、教えられる側も、どん欲に成長しようという気持ちを持ちにくいものです。良好な人間関係を構築する努力も怠りがちで、誰もが、職場を大切にしない雰囲気が蔓延してしまいます。
定着率の高い職場では、良好な職場環境を醸成しやすく、社員のモチベーションも高くなります。社員のやる気は、組織の生産性や顧客満足度にも大きな影響を与えます。
フォローアップ面談を実施する従業員へのメリットとは
一人ひとりが「経験学習」をすることができる
人の成長の70%は日々の業務経験から得られると言われています。残りは上司や先輩を見習ったり、研修や読本で学習したりすることで個人は成長していきます。
部下や新入社員が、経験から学べる仕組みづくりを用意することで、社員のポンシャルを最大限に引き出し成長を促す一助になります。マネージャーや先輩社員が、自分の部下や後輩に、彼らの仕事の振り返りの時間を定期的に設けることにより、個人が、「なぜうまくいったか、もしくは失敗したか?」などの学習サイクルがまわるようになり、それによって彼らの能力も向上させることができるのです。
社内コミュニケーションの改善により、働きやすい環境を醸成できる
部下や後輩との1on1を定期的に設定することは、自分の繁忙に関わらず、コミュニケーションを取らざるを得ない環境になるということです。短い時間でも頻繁に彼らと言葉を交わすことで、具体的にその状況や本音を把握できるようになります。そういったコミュニケーション量が増えることで、結果としてお互いの信頼関係が構築され、組織全体の風通しも良くなります。
コミュニケーションが活性化された職場になることで、仕事に対するモチベーションが高い社員が増えるという相乗効果につながるのです。
フォロー面談をより効果的に進めるために
フォローアップ面談は、「面談を実施すること」が目的になりがちですが、本来の目的は、部下や後輩の悩みなどを聞き出して改善に努めることです。上司部下の関係だけでは解決できない問題については、人事や経営者層なども課題解決に取り組むための仕組みを構築することが大切です。
と通常業務と並行して実施せざるを得ず、忙しい時期などはフォローが形骸化しやすくなります。目的意識を明確にしながら限られた時間を最大限に活用できるようにしましょう。質問の設計づくりや面談内容の活用方法などは、事前に考え準備しておくことが有効です。