心の知能指数(EQ)を高める方法や施策内容とは?育成可能な能力である

「EQ」が高い人と低い人、その差とは?

ビジネスにおいて人間関係の構築をするコミュニケーションスキルが非常に重要だと認識されています。

ビジネススキルを体系化した『カッツモデル(米国で1950年代に提唱されたマネジメント育成手法の一つ)』においても「どのマネジメント階層であっても、ヒューマンスキル(対人関係能力)が重要である」ことは謳われています。これに限らず、昔からさまざまなところでヒューマンスキルに関しては喧伝されています。

カッツモデル
出典元『日本の人事部』マネジメント・管理職に求められるスキル

Googleが考える「効果的なチーム」を実現するために最も必要なものは『心理的安全性(チームメンバーがリスクをとることに危険を感じず、お互いに自分の弱い部分もさらけ出すことができる)』であると結論づけたことでも注目すべきところです。

今回は、さまざまなシーンで重要な「EQ」を高める方法についてご説明します。

従業員自身でできることと会社でできるEQを高める方法

自分自身できるEQを高める方法

傾聴を意識することで、感情の識別と理解を促す

誰かの話を聞くとき、これまでよりも姿勢を大切にしましょう。

相手の感情を理解するためには、相手の想いを言葉で直接聞くことが有効な手段になります。聴く際には「相手は今どんな気持ちだろう?」「どんな言葉をかけてあげられるだろう?」など、相手に寄り添う気持ちを持つことが重要です。相手の話を聞く際には、適切な相槌や理解を表すための反復、適度に相手の目を見るなどの行動も有効でしょう。

誰にでも「興味を持てない相手」もいるものです。その際は「無理に興味・関心を持とうとしない」ことが大切です。それよりも、関心のない人とも良好な人間関係を築ける人こそ「EQ」の高い人であり、自身の人間的成長につながると捉え、相手との対話の一つひとつを大切にしましょう。

相手も、真摯な態度を見せてくれる相手には心を開くものです。そこから「興味/関心が湧く」相手に変化するなど、新たなコミュニケーションのステージにあがれることもあります。

相手の良い部分を認める習慣をつけることで、感情を理解し調整する

相手の良い部分を見つけ、それを認める習慣をつけましょう。「あの人のこういう部分が素敵」「あの人のこういう部分は真似したい」など、周りの人のポジティブな特徴に目を向けることが大切です。

他者との信頼を育むためにはお互いの「尊敬度」が重要だと言われています。相手に尊敬されることはもちろん大事にしたい視点ですが、まずは「相手を尊敬する」ことが双方の円滑なコミュニケーションに結び付くのです。

「EQ」の高い人は、「相手の素直な感情表現を引き出したり、双方にとって良い関係性を作ることができる」というような特徴を持っているとも言えるのです。

自分の1日の行動と感情を書き出すことで、感情を整理する

自分の行動とその時々の自分の感情を紙に書き出してみるのもおすすめです。

行動と感情は結び付いているものです。まずは紙に書きだすことで「あの行動がどういう気持ちを生んだのか」ということを客観的に分析しやすくなります。理不尽に業務を振られた際に、なぜ自分にだけ仕事を割り当てるのだろう、とイライラして言い返してしまったとします。

その場合「なぜ自分だけ?」と強く反感の言葉を発してしまう→「怒った」とメモをし、冷静に「怒りの原因」を客観的に分析してみましょう。

その後で振り返ってみると、周りのメンバーも業務で多忙だったり、依頼された仕事自体は数分で終わる程度のものだった、スキルアップにつながるものだったなど、上司の意向や周りの状況を相対的にみて、割り振られたことの妥当性を認識することができます。

こうすることを積み重ねることで、次に同じ状況になった時に、過去の経験から「多くの視点」から物事を捉えて感情をコントロールすることが可能になります。これが「EQ」の向上につながるのです。

周囲(会社)ができるEQを高める方法

エグゼクティブ向けのコーチングを実施

組織の中では、経営層やマネジメントの役割を担うエグゼクティブがEQの能力を伸ばすことが必要だと言われています。

EQコーチングでは、エグゼクティブの感情に焦点を当てることから始めます。コーチングを受ける対象者は、このプログラムを通して、自身の感情の扱い方を知り、判断力や推理力、論理的な思考力を高める効果が期待されます。組織で、エグゼクティブ層が意思決定をする際に、感情の乱れがあると的確な意思決定ができなくなり、結果、組織として最善の道を選択することが難しくなるのです。

EQコーチングでは、誰もが持っているこの「感情」に基づいた対処法を学び、いつでも的確な意思決定をできるように働きかけます。

コントロールできることと、できないことに分けて考えられるように働きかける

誰もが必要な際に力を出すために、余暇などを活用してリフレッシュすることは非常に重要です。

仕事が休みの日にはエネルギーを回復するため、ショッピングやスポーツ、旅行など好きなことをして過ごすことが大切です。仕事を早く終わらせようと休日に仕事をしても、それが本人にとって本来望んでいることでなければ気持ちがついていかず、感情も理性も働かなくなるので、結果、能率的で質の高い仕事にはつながりません。

ITやIoT、AIの時代にあわせて、EQの高い組織づくりを柔軟に行うことを意識することが、これからの時代では重要になってきます。

「EQ」を個人と組織の相乗効果で高める

EQは育成することが可能であるが、短期的に改善することは難しいため、中長期的な人材育成が求められます。

EQを高めるためには本人の努力が必要不可欠であるが、会社としてサポートしたり、常に高められる環境を構築することが、中長期の期間が必要なEQ育成を効率よく進められるようになることに意味があるのです。

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