数値化できない企業の課題は様々ある
組織の中では様々な課題が定性的な形で現れます。「~が問題である」や「~がうまくいっていない」など、うまく数値化できない概念的な情報を定性的な情報と呼びます。このままでは上手く対処できないので調査等を行って、具体的に数値化していくことが必要です。
社内の問題を定量的に把握するために注目されているのが「従業員サーベイ」です。
従業員サーベイで明らかになる課題とは
「従業員サーベイ」とは「従業員満足度調査」のように、組織活性化や従業員と企業の関係改善などを目的として、現状把握のために行われるアンケートのことをいいます。
HR proの調査で行われた社内のコミュニケーションに課題があると思うかという問いに対しては、約8割の企業が社内コミュニケーションに課題があると感じていると回答しています。
出典元『HR pro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
調査の対象となった会社の社員の9割以上がコミュニケーション不足が業務の障害になると考えており、社内コミュニケーションの重要性を認識しています。
出典元『HR pro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
挙げられたコミュニケーションの阻害要因の1位は「組織風土・社風」でした。コミュニケーションという定性的な課題を解決するためには、「組織風土・社風」という定性的な要因を改善することが必要だと考えられています。
出典元『HR pro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
ダイヤモンド・オンラインが全国の男女会社員に行ったアンケート調査では「仕事に対してやる気が出ない会社」であると回答した社員が63%と、過半数を超える結果が出ています。
出典元『DIAMOND online』なぜ「やる気」が出ないのか?会社が知る由もない社員のホンネ大調査
ベイン・アンド・カンパニーとプレシデント社が共同で調査した結果、「やる気に溢れる」社員の生産性は、「満足している」社員と比べて約2.3倍、「満足していない」社員と比べると3倍以上もの生産性になると報告されています。
出典元『PRESIDENT Online』”3人に1人”の不満社員を奮起させるには
これらは全て「従業員サーベイ」の一例です。「コミュニケーション」や「組織風土・社風」「やる気(モチベーション)」などは具体的な数字として表現しづらい定性的な情報ではあるものの、自社の課題を見つけて改善するためには「実際に社員の何パーセントがそう思っているか」や「どれくらいの数値になるのか」などの量や数字で表せるような定量的な情報に落とし込む必要があり、従業員サーベイによってそれが可能になります。
従業員サーベイの意味や定義とは
「サーベイ」は英語で「調査」や「アンケート」を指します。「従業員サーベイ」とは従業員に向けたアンケートや調査を行うことであると言えます。
従業員サーベイを実施する目的とは
従業員サーベイを実施する主な目的は、従業員満足度を向上させることであり、それによって自社に対する社員の愛着や熱量を高め労働生産性や企業としての安定的かつ持続的な成長に繋げることです。
企業価値の源泉として、顧客満足度の向上と持続的なイノベーションの創出が求められる中、従業員との関係は重要な要素となってきています。従業員満足度の高い会社は離職率も低く安定している上、社員一人ひとりのモチベーションも高く生産性が高くなります。
最終的なゴールに到達するための第一歩として、企業と従業員の関係性の改善を、データに基づいて推し進めるために使われるのが「従業員サーベイ」です。様々な尺度で従業員の抱える不満や組織構造の問題点を把握し、その解決へと繋げていきます。
従業員サーベイのビジネスシーンでの活用方法
従業員満足度などを調査した従業員サーベイの結果が出たら、問題に対してアプローチしていきます。
例えばコミュニケーション不足と情報共有の方法に不満が多く集まったとしたら、これを解決するため、情報共有の仕方が見直しされ、連絡事項に関しては上司だけで解決するのではなく、部下も含め議論を進めるようにすることでコミュニケーション不足の解消を図るという対策が取られます。紙媒体やメールを使うなど情報共有手段を増やすことで職場のコミュニケーションが活発にし、情報の共有漏れを減らすことができます。
従業員サーベイを調査自体で終わらせずに、結果をどう活かしていくかが重要です。
従業員サーベイを実施するメリットについて
挙げられるメリットは、会社の問題点を客観的に把握できることです。
上手く解決していければ、生産性の向上や顧客満足度の向上につなげていくことができます。
従業員サーベイを実施するデメリットや注意点について
調査は勤務時間を削って行われることが多いため、目的を明確化することは従業員に納得感を与え不満を抱かせないために重要です。その上で、率直な意見を集めるために匿名性を守りましょう。
匿名性が担保されていないと会社の問題点を指摘することに抵抗がある社員が多くなってしまいます。やりっぱなしにせずに、結果に対しては社員に適切にフィードバックしましょう。
従業員サーベイの実施は、従業員の理解が大事
従業員サーベイは、自社で働く従業員を対象とした意識調査であり、定性的な組織の強みや課題を定量的に把握し、課題解決に活かす方法です。
悪い結果が出てしまったときは従業員に共有しづらいですが、しっかりとフィードバックしながら、今後どのような取り組みを行うのかを明確化し、従業員に対して理解を得ることが、従業員サーベイの精度向上と有効活用につながっていきます。