採用における学歴での絞り込みは、面接の質向上にも役立つ
採用における学歴での絞り込みは、一定以上の基礎学力や、受験勉強における努力の歴史を把握できるほか、上手く活用できれば面接の質向上にも役立ちます。
しかし学歴の絞り込みを行ったせいで、自社に合う人材を排除してしまったり、自社で活躍している人物との相関がない絞り込みをしてしまうなど、人材獲得に失敗するリスクも秘めているのです。
採用における学歴絞り込みの実態とは
dodaの調査「学歴は中途採用で求められる?−学歴と転職の関係−」によると、学歴が最も求められている業種は総合商社で、次に金融/保険の中でも特に銀行、教育、コンサルティング/リサーチが続きます。
出典元『doda』学歴は中途採用で求められる?−学歴と転職の関係−
大卒以上を求める求人は全体の44%、六大学クラス以上は7%、旧帝大・早慶クラスは6%とのことです。
出典元『doda』学歴は中途採用で求められる?−学歴と転職の関係−
アイデム「2018年卒 新卒採用に関する企業調査」によると、学部・専攻に対して学歴フィルターをかけている企業は、43.8%にも上ります。母集団形成に苦戦するしながらも、学歴による絞り込みを続けるのかどうか。採用における学歴での絞り込みが、自社の求める業務遂行力を見極めるのに見合っているかどうか、改めて検証が必要なのではないでしょうか。
出典元『株式会社アイデム 人と仕事研究所』2018年卒 新卒採用に関する企業調査
採用における学歴制限が設けられる理由
従来の終身雇用制度においては、決められた業務をミスなく忠実に遂行できる能力を持つ人材を、長期的な視点で育成していたため、伸びしろが高いと思われる高学歴な応募者が重宝されました。このため、高学歴(いわゆる偏差値の高い大学を出ている)人ほど優秀な人材だったという“成功体験”を持つ上司や役員がいる場合には、合否判定の承認を得やすくなるようです。
最近では、採用に係るマンパワー削減を理由に、学歴制限を設ける企業もありますが、画一化された受験勉強の結果では、激変するビジネス環境で必要となる柔軟性や創造性は判断できないとして、採用における学歴制限を止める企業もあります。
採用における学歴制限を面接に役立てる方法
学歴だけでは人材を判断できない、これは当然のことですが「定量化した情報で応募者をスクリーニングできる」という点では、採用における学歴制限は有用です。一定の基準で応募者をスクリーニングすることで、面接で見極めるべき項目を絞り込みやすく、面接の質向上にも役立つという利点があります。
学校名や学部・専攻などいわゆる偏差値による学歴制限だけでは、面接の質向上には役立たないのではないでしょうか。自社の社員でどのような人材が活躍しているのか、ロールモデルとなる人物像を明確にした上で、その人材のどのような学歴の特徴が人的な特徴に相関があるのかなど、十分に分析を行うことが大切です。
採用で学歴制限を行い、面接の質向上を図るために
採用において学歴を選考基準の一つにすることは、適性検査などで定量情報を得て選考の判断材料にするのと同じだと捉えてみてはいかがでしょうか。明らかに自社の採用要件にミスマッチな候補者を選考早期にスクリーニングすることで、採用効率を上げることが目的ですから、ある程度のバッファを持たせて「欲しい人材」を排除しないよう注意することが重要です。
まずは自社で活躍している、定着している社員の情報を参考にして、自社にマッチする人材、自社で活躍しやすい人材の要件定義を明確にしましょう。そのうえで、学歴のどんな情報を定量情報としてスクリーニングすべきか、項目と合否判定基準を設けます。
定量情報によるスクリーニングの角度を上げられれば、面接で掘り下げたい項目を絞ることができたり、人材の見極めや入社意欲向上のためのフォローなど、人事担当者が本来注力したい業務に割ける時間は増え、限られた時間を有効活用できるようになるのです。