マクレランドの欲求理論とは?理論の概要や企業での活用方法について

マクレランドの欲求理論にもとづいたモチベーションマネジメントとは?

社員のモチベーションマネジメントは、企業の成長を支える上で非常に重要な要素です。

ベイン・アンド・カンパニーとプレジデント社の共同調査によると「やる気に溢れる」社員の生産性は、単に「満足している」社員と比べて約2.3倍高いという結果が出ています。

意欲の度合いによる社員の生産性
出典元『PRESIDENT Online』”3人に1人”の不満社員を奮起させるには

モチベーションの高い社員は生産性が高くなる一方で、モチベーションの低い社員は生産性が低い、離職率が高いなど、企業にとってさまざまなデメリットがあります。

労働人口の減少による人手不足に悩む現代日本では、社員一人ひとりの生産性向上や離職防止が重要な課題となっています。社員のモチベーションマネジメントは、単に社員にやる気を出させるためだけでなく、生産性向上や離職防止による人手不足問題の緩和・解消方法として注目されているのです。

モチベーションに関わる理論の中に「マクレランドの欲求理論」というものがあります。マクレランドの欲求理論は、仕事における動機や欲求に着目して提唱された理論であるため、企業におけるモチベーションマネジメントの重要な参考になります。

今回の記事では、マクレランドの欲求理論の概要や各欲求が強い人の特徴、企業におけるマネジメントへの活用方法についてご紹介します。

マクレランドの欲求理論とは?理論の概要や企業での活用方法について

マクレランドの欲求理論が提唱された背景とは?

マクレランドの欲求理論は、アメリカの心理学者でハーバード大学の心理学教授を務めていたデイビッド・C・マクレランド氏が提唱しました。

マクレランドの欲求理論(McClelland’s Theory of Motivation)は、提唱者であるマクレランド氏によって1976年に発表されました。マクレランドの欲求理論における欲求のひとつである達成欲求は、その後アメリカ国務省の委託を受けた研究へと発展し、優秀な人材の行動特性を表す要素として「コンピテンシー」と名付けられました。

マクレランドの欲求理論の概要とは?

マクレランドの欲求理論とは、従業員の行動には「達成動機(欲求)」「親和動機(欲求)」「権力動機(欲求)」のうちいずれかの動機が存在するという理論です。

提唱された当時は上記3つの動機が定められていましたが、後に4番目の動機として「回避動機(欲求)」が追加されました。今回の記事では、回避動機を含めた4つの欲求としてご説明します。

マクレランドの欲求理論における4つの欲求とは?

マクレランドの欲求理論では、従業員の行動の動機を「達成動機(欲求)」「親和動機(欲求)」「権力動機(欲求)」「回避動機(欲求)」の4つに分類しています。

それぞれの動機が強い人の特徴は、以下のようになります。

  1. 達成動機(欲求)が強い人の特徴
  2. 親和動機(欲求)が強い人の特徴
  3. 権力動機(欲求)が強い人の特徴
  4. 回避動機(欲求)が強い人の特徴

1.達成欲求(欲求)が強い人の特徴

  • 個人的な進捗に最大の関心があるため、何事も自分の手でやることを望む
  • 中程度のリスクを好む
  • 自分が行ったことの結果について迅速なフィードバックを欲しがる

2.親和欲求(欲求)が強い人の特徴

  • 人の役に立とうと努力する
  • 他者からよく見てもらいたい、好かれたいという願望が強い
  • 心理的な緊張状況には一人では耐えられなくなる傾向がある

3.権力欲求(欲求)が強い人の特徴

  • 責任を与えられることを楽しむ
  • 他者から働きかけられるよりも、他者をコントロール下におき影響力を行使しようとする
  • 競争が激しく、地位や身分を重視する状況を好む
  • 効率的な成果よりも信望を得たり、他者に影響力を行使することにこだわる

4.回避欲求(欲求)が強い人の特徴

  • 失敗を恐れて適度な目標をあえて避けようとする
  • 批判を恐れて周囲に合わせようとする

マクレランドの欲求理論をモチベーションマネジメントに活用する方法とは?

マクレランドの欲求理論をモチベーションマネジメントに活用するためには、従業員の欲求や行動が、4つの動機のうちどの動機にもとづいているのかを理解する必要があります。

マクレランドの欲求理論における4つの動機は、従業員のスキルの活かされ方に関わるため、モチベーションを高めるだけでなく生産性の向上にもつながります。

  1. 達成動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?
  2. 親和動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?
  3. 権力動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?
  4. 回避動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?

1.達成動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?

達成欲求が高い人は、業績に対する意識が高い人が多いため、結果が分かりやすく数字に出る営業職に向いています。

2.親和動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?

親和欲求が高い人は、社交性が高い人が多いため、チームの構築や来客応対といった対人業務に向いています。

3.権力動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?

権力欲求が高い人は、部下のコントロールに長けている人が多いため、マネージャー職に向いています。

4.回避動機(欲求)が高い人に向いている仕事とは?

回避欲求が高い人は、受動性が高くトラブル回避能力に長けている人が多いため、安定したルーチンワークの多い事務職に向いています。

マクレランドの欲求理論をマネジメントに活用しよう!

マクレランドの欲求理論とは、従業員の行動には「達成動機(欲求)」「親和動機(欲求)」「権力動機(欲求)」「回避動機(欲求)」のうちいずれかの動機が存在するという理論です。

マクレランドの欲求理論は、仕事における従業員の動機や欲求に着目した理論であり、コンピテンシー(行動特性)の基礎となる概念です。

近年の採用市場では、業績に対する意識が高い(達成欲求が高い)人材に人気が集まりがちですが、欲求が高いからといって能力が高いわけではない点に注意が必要です。

個人の価値観にもとづく動機や欲求を変えることは困難ですが、欲求に適合する能力に関しては、教育研修による習得が可能です。マクレランドの欲求理論をもとにマネジメントを行う際は、人材の能力と欲求を照らし合わせて考えるようにしましょう。

スポンサーリンク