アクノレッジメントに求められるスキルとは?伝え方を意識しよう

アクノレッジメントは離職率低下や生産性向上を期待できる

会社経営において人事問題はきわめて重要度が高く、特に昨今では求人倍率の増加が象徴するように「人が採れない」ことが深刻化しています。

完全失業率、有効求人倍率
出典元『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』図1 完全失業率、有効求人倍率

人材採用の難易度が上がっているがゆえに、いまいる従業員の定着・育成に力を入れるようになった企業も増えました。特に新卒入社した正社員の3年以内の離職率は3割と言われているだけに、戦力として数えられる人材をどれだけ増やせるかを中長期的に検討することが人事業務のカギと言えるでしょう。

新規学卒者の離職状況
出典元『厚生労働省』新規学卒者の離職状況

制度としての労働環境や待遇といった管理システムの充実だけでは人材の定着・育成は達成できません。従業員は人間ですから、組織内での信頼関係の構築がまず大切です。

ポイントになるのが「アクノレッジメント」というスキルです。翻訳すると「承認」を意味するアクノレッジメントは、リーダーシップやコーチングを支えるものだと位置付けることができます。相手の承認欲求を満たすことで、「ここにいてもいい」という安心感を与えるとのびのびと働くことができます。

安心感は職場環境の精神的な快適さをつくるために重要です。風通しのよい組織ではクリエイティブに富んだ発想が生まれやすく、取り組みをきちんと評価してくれる風潮では自立心が育ちます。ゆえに、アクノレッジメントは離職率の低下や生産性の向上につながると考えられています。

この記事では、働きやすい環境づくりに欠かせないアクノレッジメントとはなにかを紹介します。

アクノレッジメントで求められるスキルとは

アクノレッジメントは、相手を肯定・承認することで安心感を与えるスキルです。求められるのはしっかりと相手の話に耳を傾ける「傾聴」というスキルと言えるでしょう。

ただ話を聴くだけではなく、相手をポジティブな行動へと促すこともアクノレッジメントには必要です。相手の感情や自分の考えを俯瞰して構造的に捉える力、そしてそれを言語化するスキルも欠かせません。

すべてに共感を示すだけではなく、客観的な視点を持って、相手の存在を承認できるようなロジックを作れることもアクノレッジメントには求められます。

「アクノレッジメント」と「褒める」の違い

アクノレッジメントは「なんでもかんでも無条件に褒める」ことではありません。アクノレッジメントで重要なのは、相手の言動それ自体だけでなく、至るプロセスを承認することです。単純な「褒める」とちょっと違うかもしれません。

たとえば、子どもがテストで良い成績をとったとします。このとき点数だけを褒めるのではなく「どんな勉強をどれだけしたから、良い成績がとれた」という相手の努力も含めて褒めてあげると、「なぜ良い成績がとれたのか」という試行錯誤も承認したことになります。

「因果関係を事実として伝える」「主観性の低い事柄を承認する」ということで、相手の自発性を高める効果があります。

アクノレッジメントの種類について

アクノレッジメントのテクニックとして、「Youメッセージ」と「Iメッセージ」の2つがあります。相手への伝え方のテクニックですが、簡単にいうと主語により機能が異なるということです。

Youメッセージは、相手の言動に対する率直な承認です。たとえば「あなたは社内で初めてのプロジェクトを成功させましたね」など、実際に相手がした事実を承認するものです。

Iメッセージでは「相手の言動により、私(自分)にもたらされた影響」を伝えます。たとえば「あなたが社内で初めてのプロジェクトを成功させたので、私も頑張ろうと思いました」というのがIメッセージです。相手の行動によって自分のモチベーションが上がったと伝えることで、自己完結しない承認を与え、あなたと私の間の関係性を作ります。

アクノレッジメントを実践する際に大切なこととは

アクノレッジメントの実戦で大切なことは3つあります。

1つは「相手の可能性を信じること」です。

アクノレッジメントの目的は、相手に自発的な行動を促すことにあります。何か行動を起こそうとするとき、人はポジティブな想像とネガティブな想像の間で揺れます。いかにポジティブな方向に持っていくかがアクノレッジメントのポイントです。相手の可能性をまず信じることが重要です。

2つ目は「相手の強みを理解すること」です。

相手の可能性を信じるだけでは、客観的な根拠が不足しています。相手に自信をつけてもらうためには、具体的な根拠を提示する必要があります。根拠があるからこそ安心できるのです。

重要になるのが、どれだけ相手を知っているかということです。「この人の強みは何か」を理解していると、具体的で客観性のあるアクノレッジメントが可能になります。

3つ目は「心の底から承認する」ことです。

承認は信頼関係を作るものであるのと同時に、信頼関係で成り立っているものでもあります。つまり、承認の言葉や気持ちに少しでも嘘や偽りがあると、信頼関係や存在の承認が根本から揺らいでしまう恐れがあります。

アクノレッジメントの気持ちに嘘や偽りが入り込む余地がないくらいに、徹底的に相手に寄り添い、強さも弱さも全部理解するように努めましょう。

アクノレッジメントの育成は「伝える技術」を普段から意識する

アクノレッジメントを実践するためには、まず相手の話にしっかりと耳を傾ける技術や、考えを的確に言語化するスキルが必要です。その上で、「Youメッセージ」と「Iメッセージ」などの伝え方のテクニックを身につけると効果的です。

アクノレッジメントとは単に褒めるではありません。相手に寄り添いながらも客観的な視点から相手の言動を承認することで、与えられる安心感の大きさも変わってきます。これらは普段からちょっと意識するだけで身につけることができるものです。簡単なアクノレッジ研修を設けるなどして、従業員に日常的に意識してもらうことからはじめてみると良いでしょう。

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