上司と部下の信頼関係をどう作るのか?
会社を経営していくにあたって、「人を育てる」ということはとても大切です。一言でいってしまえば当たり前すぎるのですが、昨今の求人倍率の上昇や新卒入社した人材の3年以内で離職する割合が3割を超えている現状を見ると、多くの企業にとって早急に対応せねばならない事案だと考えられます。
会社は人の集まりである以上、管理システムだけでなく「信頼関係」の構築が極めて重要です。信頼関係の強い職場であれば離職率は低くなるだけでなく、従業員が自由に発想し、自発的に行動するようになると言われています。「信頼・尊敬できる上司」とはどんな人材でしょうか?
レジェンダ・コーポレーションの入社9年目までの社会人を対象とした調査によると、上司に求める人間力として「コミュニケーションスキル」「リーダーシップ」が過半数を超えています。
出典元『レジェンダ・コーポレーション株式会社』若手社会人の意識/実態調査
コミュニケーションスキルやリーダーシップは、教育研修などによって伸ばすことが可能です。信頼される上司を育成するためには、管理職を対象とした教育研修を実施するだけでなく、管理職になる前から中長期的な育成を見据えて教育研修を実施する方法が有効です。
今回の記事では、上司と部下の信頼関係構築に役立つスキル「アクノレッジメント」を紹介します。
アクノレッジメントの意味・定義とは
アクノレッジメントは翻訳すると「承認」という意味になります。言葉の通り、アクノレッジメントは「相手の言動を承認する」「相手の承認欲求を満たす」というコミュニケーションスキルとして使用されています。
アクノレッジメントではまず相手の存在を認めることが大切です。相手の変化や成長も見えるようになります。どう変化し、成長したことで、どんなことができるようになったかのマイルストーンとして、アクノレッジメントは有用なスキルです。
アクノレッジメントの目的とは
アクノレッジメントスキルの目的は、相手の存在の肯定と自発的な行動を引き出すことにあります。
職場でのアクノレッジメントに注目してみると、従業員にはそれぞれすべき仕事、期待されている成果というものが存在しています。それをこなして行くことが会社というシステムからみた「存在意義」ですが、従業員も人間ですので、成果として現れない部分をきちんと評価することが大切です。それが精神的なケアになります。
アクノレッジメントは結果だけでなく因果関係やプロセスを重視するので、たとえ最終的な結果が良いものではなかったとしても、相手を承認することは可能です。何もかもが間違っていたわけじゃない、全体としてどういう貢献ができたかをきちんと褒めることで、組織内での相手の存在価値を客観的に示すことができます。
存在承認により生まれる安心感により、従業員はのびのびと発想し、自発的に工夫できるようになるのです。
アクノレッジメントを行うメリットについて
アクノレッジメントスキルをうまく使える人材が多い会社では「職場の雰囲気が良くなる」ことが期待されます。1番のメリットとして挙げられるのはこれでしょう。
アクノレッジメントがきちんと行えている職場では信頼関係が強くなります。風通しが良く、メンバーの自発性も高い環境になりますので、業務の生産性とクリエイティビティが向上します。
アクノレッジメントを行うときの注意点
アクノレッジメントは「なんでもかんでも無条件に承認する」ことではないです。アクノレッジメントで重要なのは、相手の言動自体だけでなく、至るプロセスを承認することです。そういう意味では単純な「褒める」とちょっと違うかもしれません。
たとえば、子どもがテストで良い成績をとったとします。このとき点数だけを褒めるのではなく「どんな勉強をどれだけしたから、良い成績がとれた」という相手の努力も含めて褒めてあげると「なぜ良い成績がとれたのか」という試行錯誤も承認したことになります。
「因果関係を事実として伝える」「主観性の低い事柄を承認する」ことで、相手の自発性を高める効果があります。
アクノレッジメントは「ここにいていい」という安心感を作る
アクノレッジメントとは、相手の承認欲求を満たすことです。特に組織の牽引や構成員の教育で重要なスキルであり、リーダーシップやコーチングなどでよく用いられます。
アクノレッジメントが定着した職場では人間関係が良好になり、早期離職が防止できます。従業員のモチベーションが上がり労働生産性の向上などの効果も期待でき、教育研修を導入するなどして積極的に導入する企業も増えている有用なスキルです。