リシュ面(履修履歴面接)が、学生の「嘘と誇張」を防ぐ
リシュ面は、履修履歴面接の略です。学生に履修履歴や成績表の提出を求め、その内容にもとづいて質問する面接手法です。
履修実績に沿って、意思決定の理由や行動内容、結果や自己評価をヒアリングします。企業側で事実確認したうえで対話できるため、学生の嘘と誇張を防止し、人柄を把握しやすいというメリットがあります。
リシュ面実施の背景には、新卒採用の難しさ
「2019年卒 マイナビ企業新卒採用予定調査」によると、過半数の企業が「採用環境は厳しくなる」と回答。(文系採用では55.9%、理系採用ではは59.7%。)新卒採用の見通しは、年々厳しさを増しているのです。
出典元『マイナビ』2019年卒 マイナビ企業新卒採用予定調査
最大の理由は「母集団(エントリー数)の不足」が挙げられます。企業は減り続ける母集団の中から、従来通り一定数の内容を獲得せねばなりません。
いかに精度高く自社とのマッチングを図れるか。面接の精度向上が、ますます重要になってきているのです。
リシュ面で面接の精度向上を図る
「就職白書 2018」から、面接精度向上へのヒントが伺えます。面接において企業が重視する項目と、学生がアピールする項目に、ギャップがあるのです。企業の92.1%が人柄を最重要視しているのに対し、学生が最もアピールしたいのは、アルバイト経験でした。
アルバイトやサークル活動は、企業側では事実や実績を確認することができません。学生の主観にもとづいた誇張や、故意による嘘や虚偽が含まれていても、見抜くことは非常に困難です。
その点、リシュ面(履修履歴面接)では、事実にもとづいて学生の価値観や行動特性をヒアリングできます。リシュ面は、学業の成績を評価するためではなく、学生の人柄を深く理解し自社とのマッチ度を測ることに役立つため、いま注目を集めているのです。
リシュ面(履修履歴面接)の意味と定義とは
リシュ面は、履修履歴活用面接とも呼ばれる、新しい面接手法です。学生に履修履歴や成績証明書の提出を求め、履修科目や成績などの事実にもとづいて対話します。採用面接の冒頭にリシュ面を取り入れる企業が多いようです。
リシュ面は、学業を中心とした面接であると定義されますが、成績の良し悪しに注目するものではありません。履修科目選択の理由や、成績が上下した原因などを質問して、学業に臨む姿勢から学生の考え方や行動特性を明らかにする面接であると定義されます。
リシュ面(履修履歴面接)を実施する目的について
リシュ面(履修履歴面接)を実施する目的は、自社とのマッチ度を見抜くことです。
履修履歴や成績という「事実」に基づいて質問することで、学生の考え方や価値観、行動特性、ストレス耐性などを多面的に把握し、学生の人物像を深く掘り下げて理解することを目的としているのです。
リシュ面(履修履歴面接)を実施するメリット
リシュ面(履修履歴面接)を実施する企業側のメリットは、学業における考え方や行動について聞くことができ、学生の人柄をより正確に把握できるようになるという点です。「どの学生も同じに見える」という悩みから、解放される一助となるでしょう。
リシュ面では、下記のような多様な視点から、学生の素顔を掘り下げることができます。
- 学生が地道に続けた努力
- 苦手なことへの取り組み姿勢
- 興味関心の対象
- 得意なこと
- 努力して習得したこと
- やりたくないことに対するストレス耐性
- 自己分析能力
- コミュニケーション能力
学生の人柄をより正確に把握することで、入社後の行動予測に役立つというメリットがあるのです。自社の文化や業務内容に対する適性を測るのにも有用です。
学生側にも、リシュ面(履修履歴面接)の実施はメリットがあります。自分の強みを客観的にアピールしやすいという点です。自分のしたかったことや得意なことはもちろん、やらなければならないことをいかに遂行したか、価値観や頑張りを事実ベースで伝えられるため、説得力のある自己PRが可能になります。
リシュ面(履修履歴面接)のデメリット
リシュ面(履修履歴面接)には、デメリットもあります。
成績にもとづいて質問を繰り返すため、詰問された・圧迫面接だと感じて学生が萎縮してしまうことは、企業側が最も意識すべきデメリットです。企業がリシュ面を取り入れる際には、学生が本音を話しやすい雰囲気作りを心がけましょう。
リシュ面(履修履歴面接)を実施する学生側のデメリットは、盛れない・脚色できないという点でしょう。履修履歴や成績について質問された際には、面接官への印象を気にしすぎず、自分という人物に関心を持たれているのだと好意的に捉えて真摯に応じましょう。
リシュ面では「質問の意図を明確にする」ことが重要
リシュ面(履修履歴面接)を実施する際は、「なぜその科目を履修したのか」や「その科目のどのような内容に興味を持ったのか」など、質問の意図を明確にしたうえで学生と対面することが重要です。
成績の良し悪しに注目しているのではなく、学生の考え方や頑張り方を知りたいという意図を伝えてから質問を投げかけましょう。学生の緊張を和らげて本音を引き出すことは、面接の精度を向上させるためには不可欠です。