メンター制度の概要や後継者育成への課題
経営プロの調査によると、メンター制度またはそれに準ずる制度がある企業は約半数であり、これらの制度は主に新入社員や若手社員の育成を目的として実施されています。
出典元『経営プロ』若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!
若手社員が役員や管理職を育成するリバースメンタリングという制度があります。富士通総研の調査によると、リバースメンタリング制度に参加したことがある回答者は約15.6%と少数ですが、一部の企業では役職や年齢が高く、仕事経験の豊富な社員が部下からメンタリングを受ける仕組みや組織体制を変えるための取り組みの場が設けられていることがわかります。
参加者によるリバースメンタリングの効果について、「リバースメンタリングのような制度は、自社の企業文化には合わない」というリバースメンタリング制度に対する否定的な回答は29.9%と意外と少ないことがわかっています。全体的に見れば肯定的な回答のほうが上回っていますが、全体の半数近くは「どちらとも言えない」と回答しており、中間層がかなり多く存在しています。全体を見ればリバースメンタリング制度に肯定的な割合が多く、その効果について大きな期待が寄せられています。
今回は、リバースメンタリングプログラムのメリットや導入時の注意点について説明します。
リバースメンタリングプログラムの概念や導入時の注意点
リバースメンタリングとは、若手社員や部下がメンターとなって上司や先輩社員に助言する仕組みのことです。一般的なメンター制度とは逆方向となることから、逆メンター制度ともいわれています。
労働市場では、ゆとり世代やミレニアル世代、ジェネレーションYと呼ばれる若い世代が増えています。彼らは、従来の社員とは異なる価値観や感覚を有しており、新たな視点や気づきを与える存在であると考えられています。
伝統的企業ではミニレアル世代の人材の確保に大きな課題を抱えています。そこで人材確保の解決策として注目されているのがリバースメンタリングです。若手社員と幹部がペアを組み、若手社員の視点で仕事を遂行していくリバースメンタリングは、幹部に対して仕事の姿勢や考え方を問い直す機会を与えます。
リバースメンタリングを活用するメリットについて
リバースメンタリングを導入すれば、企業は若い世代が有するデジタルテクノロジーに対する知識を最大限利用できます。アイデアや指示が上から下へ流れていく体制を打破するのに非常に有効な施策といえます。
リバースメンタリングを導入すれば、企業の経営層が若い世代に対して新しいテクノロジーに関する知識を積極的に受け入れる姿勢があることを示すことにもなります。
リバースメンタリングは、若手社員から幹部へとコミュニケーションを重ねていくため、世代や役職を超えた強い絆が育まれやすくなります。役職や世代を超えてできた強い絆は、縦方向が緩和された良好な職場環境を築くことへと繋がっていきます。
先輩社員へ臆することなく自分の意見を伝えやすい職場環境は、キャリア形成の過程で直面する問題や課題に対して、直接的な支援を受けやすくなります。上司にとっては、本来なら顔を合わせてコミュニケーションすることのなかった若手社員と会話が生まれるため、平等であらゆることが開かれた会社へと変わっていきます。
リバースメンタリングプログラムを実施する上での注意点とは
リバースメンタリングプログラムを導入する際は、下記の2点について注意しましょう。
- 若手社員の仕事の負担が増える
- ペアの組み合わせが難しい
メンターとなる若手社員は、通常の仕事に加えて上司にメンタリングするため、全体的な業務量が増加します。特に入社したばかりで仕事に慣れていない状況下では、リバースメンタリングプログラムが大きな心理的負担となる可能性があるため注意が必要です。
若手社員と上司のペアの組み方を間違えてしまうと、お互いにストレスになります。そのためペアを考える際は、お互いの性格や価値観から慎重にマッチングさせることが大切です。
他にも、先輩社員は若手社員が発言しやすいようにコミュニケーションを重ねていくと、お互いに信頼しやすい関係性ができあがり、リバースメンタリングプログラムで大きな効果を得られやすくなります。
リバースメンタリングプログラムでは先輩社員のサポートが大切
リバースメンタリングとは、逆メンター制度とも呼ばれ、若手社員が上司や役員などに対してサポートを行うシステムのことです。ITに関する知識や市場動向などに敏感な若手社員などからスキルや知識を学ぶためには、上司や役員などのメンティが積極的に若手から知識を吸収する姿勢が必要不可欠です。若手社員と積極的なコミュニケーションを行うことで、社内の活性化にもつながる一方で、有効なコミュニケーションがとれなければ人間関係を悪化させてしまう原因にもなります。
メンター制度同様に、メンター・メンティの組み合わせについてはお互いの性格や価値観から慎重に行う必要があります。その他にも、リバースメンタリングプログラム導入における心理的負担の解消やメンター面談を形骸化させないためのサポートも重要です。