ジュニアボード制度とは?意味や目的、導入時の注意点について

後継者問題の解決には、ジュニアボード制度が有効

日本能率協会の調査によると、現在の経営課題には「収益性向上」や「人材の強化」が挙げられていますが、3年後には「人材の強化」と「新製品・新サービス・新事業の開発」が課題となり、5年後には「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」「新製品・新サービス・新事業の開発」が課題となると挙げられています。

経営課題
出典元『日本能率協会』日本企業の経営課題2018

RMSの調査では、新規事業創造の障害として「社員の関心・力量の不足」や「経営の力量不足」が課題として挙げられています。

新規事業創造の障害
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』新規事業創造に関する人事の実態調査

社員の経営への関心を高め、人材の力量を強化し、企業の後継者問題を解決するにはジュニアボード制度の導入が非常に有効です。

今回は、若手社員・中堅社員が疑似役員会を開いて経営施策に対して提言する「ジュニアボード制度」について説明します。

ジュニアボード制度の導入前に押さえておきたい基礎知識

ジュニアボード制度とは、自薦・他薦によって集められた若手社員や中堅社員によって構成される擬似的な経営役員会のことです。疑似役員会(ジュニアボード)では、本来の役員会とは別に将来有望な社員を5人~10人程度集め、経営課題の調査や解決策の提案などを行います。

ジュニアボード制度の目的について

経営層の組織に対する保守的な考えは、新たな取り組みを実施しづらく、現場で働く社員との間に軋轢を生むことも少なくありません。

経営に関する問題に対してジュニアボード制度を導入すれば、将来有望な若手社員や中堅社員の柔軟性に優れたアイデアや経営層にはなかった有益な発想を取り入れられます。

ジュニアボード制度導入における企業にとってのメリットについて

ジュニアボード制度では、経営課題に対する具体的な解決策を考えていきます。定期的に若手社員や中堅社員と議論していく中で、経営者や幹部は最優先で解決すべき経営課題を再確認できるメリットがあります。

ジュニアボード制度導入における従業員にとってのメリットについて

ジュニアボード制度を導入すれば、若手社員や中堅社員の経営への参画意欲を高められます。

ジュニアボード制度で社内全体の課題について議論を重ねれば、議論終了後も全社的な取り組みに積極的に応じたり、企業経営に非常に協力的になったりと、全従業員へ大きな効果が期待できます。

ジュニアボード制度導入における企業にとってのデメリットや問題点

ジュニアボード制度は、若手社員や中堅社員の主体性を高めます。その結果、企業内に主体性を履き違える社員が増える可能性があります。例えば「この仕事は、興味や関心がないのでやりたくない」「自分の能力が発揮されないのは、部署が悪いからだ」「上司と自分が合っていないから、仕事ができない」などの主張が生じるといったデメリットです。

最終的に社内全体の指揮がとりづらくなることもあるため、定期的な制度の見直しが必要です。

ジュニアボード制度導入における従業員にとってのデメリットや問題点

ジュニアボード制度を導入するには、一定の時間的な余裕が必要となります。日々の仕事に追われる中で議論を重ねることは、従業員の大きな負担になる可能性があります。

ジュニアボード制度の導入により「経営者の近くでアピールしておけば、自分の評価が上がるのでは」「希望部署へ異動しやすくなるのでは」など短期的な視野となり、会社全体ではなく目下の自分事にしか関心を寄せなくなる問題が生じる可能性もあるでしょう。

本来の会社の目的を見失わないためにも経営者層と若手社員・中堅社員とのビジョンの見直しが重要です。

ジュニアボード制度は経営への意識を高めるのに有効

ジュニアボード制度とは、若手・中堅社員が企業経営の施策に対して提言する疑似役員会のことであり、若手・中堅社員の経営への参画意識を高めるのに非常に有効な手法です。

ジュニアボード制度の歴史は古く、日本企業でも導入が行われていましたが、成功した企業ばかりではないため、他社がなぜ過去に失敗したのか、自社にとって有効な施策であるか、導入する場合にはどのような点に懸念しなければならないのかを明確にしておく必要があります。

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