組織の活性化を目的としたマネジメント手法は多数ある
組織の活性化を目指し、様々な施策を試みてもなかなか成果につながらない企業が多いようです。
HR総研が2016年に実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート」によると、調査対象企業の80%が「課題になっている」と回答。「コミュニケーション不足が業務の障害となっている」という認識も、90%以上の企業が有しているという結果も出ており、組織マネジメントで要であると認識されている「社内コミュニケーション」が、多くの企業で根深い問題となっていることが、ここからも見て取れます。
出典元『HR総研』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
社内コミュニケーションを隔てる壁として、組織全体(地域)と縦(部署や職種)、横(役職や年代)の3つの壁があり、これらの壁を越えたコミュニケーションが求められます。
出典元『HRpro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
一方で社内コミュニケーションを阻害する原因の1位として「組織風土・社風」が挙げられており、原因を解消しなければ社内コミュニケーションの活性化は難しいでしょう。
出典元『HRpro』「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
今回はフィッシュ哲学を効果的に実践する方法について説明します。
フィッシュ哲学の実践方法とは?4つのマインドを意識する
フィッシュ哲学とは、アメリカ西海岸・シアトルにある魚市場が発祥の組織を活性化するためのマネジメント手法です。仕事への取り組み方を従業員が自分たちで選択し、楽しみながらポジティブに目の前の顧客と向き合うことが理念とされています。
行動原理(マインド)がシンプルなため、サービス業だけでなく、医療現場や教育の場など、さまざまな業種で導入されています。
フィッシュ哲学をうまく導入できれば、活気に溢れ、従業員が楽しみながら働ける職場をつくることができます。職場の雰囲気がよくなることで、さまざまな効果を期待できます。
フィッシュ哲学をうまく活用し従業員満足度が向上すると、個人個人の仕事へのモチベーションやサービス精神なども向上するため、顧客満足度の向上につながると考えられています。フィッシュ哲学のマインドでは、顧客や相手に意識を向け、喜ばせる事もあげられており、顧客満足度の向上も目指しています。
フィッシュ哲学における4つのマインドについて
- 注意を向ける(Be There)
- 遊ぶ(Play)
- 喜ばせる(Make Their Day)
- 態度を選ぶ(Choose Your Attitude)
上記4つのマインドをもって仕事に取り組むことで、個人個人のモチベーションを向上し、組織を活性化することができると言われています。
注意を向ける(Be There)
最初に紹介するのは「注意を向ける」です。
フィッシュ哲学では、自分の周りにいる人へ注意を向けることを重要なマインドの一つとしています。周りの人間とはお客様だけでなく一緒に働く人も含まれており、その人に気を配って求めているものに共感しようとする姿勢や進んで人と関わろうとする態度が、コミュニケーションや人間関係の改善に大きな効果を発揮します。
遊ぶ(Play)
2つ目は「遊ぶ」です。遊ぶというとあまり良くないイメージがあるかもしれませんが「仕事を楽しむ」というマインドを大切にしています。
特に日本の職場はマニュアル重視で時間に追われ、目の前の作業だけに打ち込む傾向があります。自分たちで前向きにアイデアを出す、創造することを楽しむ等、遊び心をもつことで「人と違ってもいい」「自分を出してもかまわない」などの安心感が生まれ、柔軟な発想につながります。お互いに楽しんで仕事に向かうことで、信頼関係も育まれていきます。
従業員同士の仲間意識が高まって満足度も高まることにより、結果的には顧客への対応やサービスにも良い影響がでるようになります。
喜ばせる(Make Their Day)
3つ目は「喜ばせる」です。
お客様や目の前にいる相手を幸せな気持ちにさせることも重要なマインドの一つです。大切なのは相手に貢献することで自分も幸せになれるという考え方で、直接的な見返りを求めて喜ばせるものではありません。見返りは求めず、相手を「幸せにしたい」という気持ちこそが大切という考え方です。
具体例として周囲の人の良い点を意識して探す、相手の良い点を見つけたら積極的に褒める、相手に望まれないことはやめるなどがあります。
態度を選ぶ(Choose Your Attitude)
4つ目は、「態度を選ぶ」です。
周りからの刺激に影響されず、周りへの態度や仕事に取り組む姿勢を自分自身で選択するというマインドです。同じ仕事でも、無愛想に向き合うのと明るく前向きに向き合うのとでは周りへの影響も自分自身の成果も全く変わってきます。
自分の態度を選ぶための第一歩は、自分に意識を向け、周りへどんな態度をとっているかを気づくことです。それができれば、自分のとるべき理想の態度を自分で選ぶことができるようになってくるでしょう。
フィッシュ哲学は職場全体で取り組むことが必要不可欠
フィッシュ哲学はシンプルな4つのマインドを持つことで実践できるマネジメント手法です。導入するためにまずは経営者や人事部がマインドの内容をよく知り、自社の従業員に周知し、実践できる職場環境を構築するサポートを行うことが大切です。
企業全体で協力してフィッシュ哲学を推進していくことができれば、組織を活性化していくことができることでしょう。