サッカー型組織とは?臨機応変で主体的な組織を目指すために

組織構造には様々な種類が存在する

昨今、従来の日本経営型の組織構造が変化をよぎなくされています。

厚生労働省の調査によると、裁量労働制を導入している企業の割合はあまり増加していないものの、裁量労働制を導入した目的として「労働者の想像力を高め、能力発揮を促すため」が最も多く、導入効果として「効率よく仕事をすすめるように従業員の意識が変わった」などが挙げられおり、裁量労働制適用も7割以上が満足しているという結果になっています。

導入のきっかけ
出典元『厚生労働省』裁量労働制等に関するアンケート調査

働き方として、個人それぞれに権限を与えて能力発揮を促すだけでなく、組織として社員一人ひとりに権限を与えるような組織の形を「サッカー型組織」と呼ばれ、最近注目を集めています。

今回は、「サッカー型組織」について概要を説明します。

サッカー型組織とは?従来の組織とどう違うのか

サッカー型組織とは、社員一人ひとりが経営方針に従い、状況変化に応じて主体的に判断・行動する自律の進んだ組織のあり方を表現したもので、サッカーのチームマネジメントの特性になぞらえて「サッカー型組織」と呼ばれています。サッカー型組織に対し、監督が逐一指示を出して選手を動かす、野球チームのような管理統制型の組織を「野球型組織」と呼ばれています。

国や企業の多くで進められている「働き方改革」ですが、根本にはより柔軟性のある組織、つまり「サッカー型組織」への移行とそのための改革を進めようという国レベルの生産性向上の取り組みとも言われています。

サッカー型組織の目的や特徴について

サッカーは個人の自立した働きと、緩やかで柔軟な役割分担によって機能しているスポーツです。野球のように攻守で決まった順番で動くのではなく、試合が始まれば、選手は入り乱れ、ポジションやフォーメーションを流動的に変化させながら、臨機応変に活動します。チームを監督する立場の監督やコーチが、プレーの一つひとつを指示することはできません。重要なことは、チーム全体で共有した戦術に基づき、一人ひとりが時々の展開や局面に応じて最適なプレーを選択し実行していくことです。

変化への柔軟な対応と素早い意思決定が求められる現在のビジネス環境において、こうした自律型の組織「サッカー型組織」が求められています。実際に「サッカー型組織」の考え方を組織づくりやマネジメントに活用している企業も少なくありません。

写真撮影スタジオを全国展開する「スタジオアリス」は、「すべてのことは店で始まり、店で終わる」という現場主義の理念のもと、店舗ごとにスタッフが主体的な状況判断で業務を遂行する「サッカー型経営の確立」を経営基本方針として打ち出し、成功しています。

サッカー型組織と野球型組織との違いとは

組織構造を語るとき、「野球型」か「サッカー型」かで比べられることがよくあります。「野球型」と「サッカー型」は異なる特徴を持っています。「野球型」「サッカー型」のどちらが良い、悪いということではなく、時代や環境、会社の規模や風土によって異なります。

サッカー型組織:変化に臨機応変な自律型組織

サッカーは試合が始まると、監督がプレーを指示することはありません。試合の中で選手は、ポジションやフォーメーションを流動的に替えながら、自律的に動き、得点するために努力します。野球とは異なり、サッカーはチームで考えた戦略・戦術に基づき、選手が試合の展開や状況に応じて臨機応変にプレーしていくものです。

会社にあてはめると、経営層が経営方針や戦略を練り、実現方法は現場の社員に任せるといった、自律型の組織と言えます。

野球型組織:トップダウンの管理型組織

野球では、監督やその意向を受けたコーチが指示を出し、選手はその指示通りにプレーすることが求められます。それぞれの選手の役割が明確になっており、ポジションや打順はあらかじめ決められており、攻撃と守備も固定的に交互に展開します。野球型の組織は、監督が戦略や戦術を練り、采配を振るう管理型の組織です。

会社にあてはめると、経営者がトップダウンで製造や営業、事務など現場に指示するような組織です。

サッカー型組織における企業のメリットについて

サッカー型組織は、変化への柔軟な対応と素早い意思決定ができるというのが大きなメリットです。攻守が瞬時に入れ替わる状況のなか、自らドリブルをしてシュートを打つような、変化に対応する素早い意思決定によって、組織はより生産性の高い活動を可能にしていくのです。間違いやより効果的な方法があれば、迅速に変化させ、もっと良いアイデアがあれば提案しより高いレベルを求めて変化させていくことができる組織です。

リゾート運営の星野リゾートグループでは、階層を最小限にした「ユニット型組織」を採用しています。運営に必要な数十人規模の従業員で構成されるユニットは、ユニットディレクターと呼ばれるチームのキャプテンが指揮統率します。一人ひとりのスタッフは自律して動きながら、同じ目標に向かって切磋琢磨するという、サッカー型の組織づくりを理想としています。

サッカーでは、オフェンスとディフェンスが目まぐるしく入れ替わります。選手は常に全体を把握しながら行動する、つまり臨機応変に動くことが要求されると同時に、高いアウトプットも求められます。指揮命令者としてふるまう必要がある場面では、マネジメントも担当していきます。さまざまな場面でフレキシブルにさまざまな業務を担える人材がいることは、組織にとって大きなポテンシャルになるのです。

サッカー型組織における従業員のメリットについて

従来のヒエラルキー型組織では、経営トップ層の指揮のもと徐々に企業の意義や事業目的、経営戦略が策定されます。目的を達成するために、各部署に売上目標や役割が与えられ、それらの目標が細分化されながらチーム単位の作業に展開されます。こういった組織ではマネジメントなど管理する役割が必ず存在するため、部下は上司に評価されるために職務に臨みます。こういった組織では自分に適正がない職務もこなす必要があり、職務を遂行できないと、昇進や昇給に影響があるというネガティブな恐れが生じます。

サッカー型組織では、戦略以降の実行は社員一人ひとりの力量で進めることができる自律的な組織で、社員一人ひとりの個性やスキルを発揮できるメリットがあります。現代のような変化が激しく、答えがない時代にこういった組織で業務を遂行することは、社員にとっても大きな経験となるのです。

スピードを持って結果を出すことが重要なため、より能率的で生産性の高い業務を遂行する思考を身につけることもできるでしょう。組織の目的達成のために個人の主体性が自然と発揮されることは、組織にとってはもちろん、社員一人ひとりのモチベーションも高めるというWin-Winの結果につながるのです。

共通の目的を達成するために主体的に行動する組織

サッカー型組織とは経営方針に従って従業員一人ひとりが主体的に行動する組織のことです。

テクノロジーの進化や市場のグローバル化など、変化の激しい時代においてサッカー型組織は非常に有意義なものです。とはいえ、社員一人ひとりに裁量が与えられていなければ実現・実行することができません。サッカー型組織として運営していくためには、経営層からの推進が必要不可欠であることは知っておく必要があります。

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