両立支援等助成金の女性活躍加速化コースとは?どの企業でも申請できる

ワークライフバランスが注目されている現状

求職者から企業のワークライフバランスの実現について注目されています。

株式会社マイナビの調査から、20年卒の新卒学生が「行きたくない会社」として挙げた中で「ノルマのきつそうな会社」「転勤の多い会社」「残業が多い会社」などの比率が増加しています。横ばいの「休日・休暇がとれない(少ない)会社」も考慮すると、新卒学生においてもライフワークバランスが重視されていることがわかります。

行きたくない会社
出典元『マイナビ』2020年卒マイナビ大学生就職意識調査

第二新卒・既卒の就職活動でもワークライフバランスが重視されています。UZUZの調査によると、再就職する会社に求めるものとして「良好な人間関係」と「ワークライフバランス」がともに1位として挙げられています。

再就職する会社に求めるものは何ですか?
出典元『UZUZ』第二新卒・既卒とも就職活動で重視するは「ワークライフバランス」「良好な人間関係」。会社の「将来性」や「安定性」を求めるのは少数派

多くの企業で人手不足が問題になっている中で、企業間の人材獲得競争を勝ち抜くためには、若い人材が重視しているワークライフバランスの推進が重要でしょう。ワークライフバランスの推進は働き方改革の一環として政府が助成金制度などの支援を行っており、自社制度の設計や運用に役立てられます。

今回の記事では両立支援等助成金の女性活躍加速化コースについて詳しくご紹介します。

女性活躍加速化コースの概要や目的について

両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立支援や女性の就業・活躍推進に取り込む中小企業に対して支払われる助成金のことです。その中のひとつが女性活躍加速化コースです。

女性活躍加速化コースとは2016年4月よりスタートしている「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、通称「女性活躍推進法」に基づき、自社の女性の活躍、例えば女性社員の採用や管理職への登用等に関わる数値目標達成に向けた取り組みやその目標を達成した中小企業に支給される助成金です。日本の労働力不足により女性の社会進出や管理職への登用率の低さなど課題が浮き彫りになっています。その女性活躍をサポートする助成金として生まれました。

女性活躍加速化コースの受給要件について

女性活躍加速化コースはAコースとNコースとコースが2種類用意されています。それぞれ受給要件が異なるのでわけて説明致します。

Aコースの助成金を申請するのは、常用労働者数が300人以下の中小企業のみ(産業は自由)に限られています。また以下4つの条件を全てクリアする必要があります。

  • 女性活躍推進に関する数値目標を盛り込んだ事業主計画を策定し、都道府県労働局長へ届け出る。また、策定した計画は労働者に周知し、公表すること
  • 長時間労働是正などの働き方改革に関する取組を行っていること
  • 女性活躍推進法の第16条に基づき、自社の女性の活躍に関する情報を公開すること
  • 策定した行動計画に沿って、行動計画期間ないに取組を実施したこと。また、複数の取組目標を掲げた場合は、そのうち少なくても1つの計画を実施したこと

Nコースでは300人以下の中小企業でも、300人以上の常用労働者がいる企業でもどちらでも申請が可能です。ただし300人以上の常用労働者がいる企業はAコースに申請ができないためNコースのみとなります。条件はAコースの4つの条件に加えて2つの条件も満たす必要があります。

  • 取組目標を達成した日の翌日から3年以内に行動計画に定められた数値目標を達成し、さらに助成金支給申請日までその状数値目標を達成したこと
  • 数値目標を達成した旨をサイトに掲載し公表していること

女性活躍推進法では常用労働者が301人以上の企業では女性が職業生活で能力を発揮し、活躍できる環境を整備することを義務化しています。それを支援するための助成金でNコースは300人以上の企業への助成となるため、女性活躍を推進していきたい政府の意志を感じます。

行動計画・数値目標・取組目標のそれぞれの意味ですが、まず行動計画とは、女性活躍推進法に則り、自社の女性の活躍状況を分析して自社の課題解決のための行動計画をたてることです。必ず盛り込まなくてはいけない項目が定められています。

  • 採用者に占める女性比率
  • 勤続年数の男女差
  • 労働時間の状況
  • 管理職に占める女性比率

数値目標とは、この分析から雇用や職務、役職においての男女差の課題があった場合その課題を解決するための数値による目標のことで、取組目標はその数値目標を達成するために行う取組のことです。行動計画は、自社の分析から計画期間、課題の数値目標、数値目標達成のための取組目標、実施時期を明記することが必要です。

女性活躍加速化コースの取り組みの具体例について

では具体的にどのような取り組みが支給対象となるのでしょうか。

例えば数値目標として部署や管理職における女性の割合を〇%以上にすると設定し、取組目標として採用枠を拡大する、教育研修を実施するなど、課題に紐づいた数値目標とその達成に向けた取組目標をセットで考えましょう。

採用であれば、数値目標を、ある採用区分における女性採用人数を△人増やし、全採用者に占める女性割合を□%にすると設定し、取組目標を多くの女性応募が増えるよう、女性向けパンフレットやHPの作成等を設定します。

女性活躍加速化コースの支給金額について

女性活躍加速化コースの助成金額は、Aコースでは数値目標達成にむけた取組目標を2つ以上達成した場合に38万円(生産性要件を満たした場合48万円)が支給されます。

Nコースでは、数値目標達成にむけた取組目標を達成した上で、その数値目標を達成した場合に、28.5万円(生産性要件を満たした場合36万円)が支給されます。また女性管理職比率が上昇し、かつ15%以上となった場合は47.5万円(生産性要件を満たした場合60万円)支給されます。

女性活躍推進は、行動策定を設けたり数値目標があったりといろいろやることは多く簡単ではありません。しかし、女性活躍推進の優良企業には「えるぼし」という女性活躍に関する一定の基準を満たした企業の中から、より優良な企業に与えられるシンボルをもらうことができます。えるぼしには、1つ星から3つ星まであり、星3つが最も優良な企業です。えるぼしについては下記の記事で詳細ご覧ください。

出生時両立支援コースの申請方法について

申請期限は、Aコースの場合2つ目の取組目標達成の翌日から2か月以内。Nコースでは数値目標達成日の翌日から2か月以内です。目標達成期限は、Aコースでは行動計画期限内、Nコースでは取組目標達成の翌日から3年以内となっています。

提出書類は下記です。

  • 女性活躍加速化コース支給申請書
  • 支給要件確認申立書
  • 行動計画
  • 行動計画策定時の雇用管理区分ごとにみた職務又は役職における男女労働者数がわかる書類、申請事由となった数値目標及び取組目標に関連する自社の女性活躍の課題がわかる書類
  • 行動計画の労働者への周知をしていることがわかる書類
  • 目標達成に係る対象者の雇用契約書、労働条件通知書及び短時間正社員の制度について記載した就業規則など
  • 支給申請対象となる取組目標を達成したことが明らかにする書類
  • (Nコースのみ)支給申請対象となる数値目標を達成したことを明らかにする書類

費用負担が軽減され、ワークライバランスの推進に活用できる

女性活躍加速化コースとはワークライフバランスの推進を目的とした両立支援等助成金のコースのひとつです。両立支援等助成金には、女性活躍加速化コース以外にもさまざまなコースがあり、受給要件さえ満たせば、ワークライフバランスを推進するための制度の導入にかかる費用の一部を政府に支給してもらえます。

ワークライフバランスの推進に取り組む上で、費用が課題になっているのであれば、両立支援等助成金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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