リバースメンタリングは役員や管理職を育成できる
経営プロの調査によると、メンター制度またはそれに準ずる制度がある企業は約半数であり、これらの制度は主に新入社員や若手社員の育成を目的として実施されています。
出典元『経営プロ』若手育成に「メンター制度」は本当に効いている?!
日本能率協会の調査によると、現在の経営課題には「収益性向上」や「人材の強化」が挙げられていますが、3年後には「人材の強化」と「新製品・新サービス・新事業の開発」が課題となり、5年後には「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」「新製品・新サービス・新事業の開発」が課題となると挙げられています。
RMSの調査では、新規事業創造の障害として「社員の関心・力量の不足」や「経営の力量不足」が課題として挙げられています。
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』新規事業創造に関する人事の実態調査
リバースメンタリングを導入すれば、若手社員の仕事に対する意識を変え、世代や役職を超えた強い絆のある組織形成が可能となります。
今回は、役員や管理職の育成を行う目的で導入されるリバースメンタリングについて説明します。
リバースメンタリングとは?従来のメンター制度との違い
リバースメンタリングとは、若手社員や部下がメンターとなって上司や先輩社員に助言する仕組みのことです。一般的なメンター制度とは逆方向となることから、逆メンター制度ともいわれています。
労働市場では、ゆとり世代やミレニアル世代、ジェネレーションYと呼ばれる若い世代が増えています。彼らは、従来の社員とは異なる価値観や感覚を有しており、新たな視点や気づきを与える存在であると考えられています。
伝統的企業ではミニレアル世代の人材の確保に大きな課題を抱えています。そこで人材確保の解決策として注目されているのがリバースメンタリングです。若手社員と幹部がペアを組み、若手社員の視点で仕事を遂行していくリバースメンタリングは、幹部に対して仕事の姿勢や考え方を問い直す機会を与えます。
リバースメンタリングを活用する企業としてのメリットについて
リバースメンタリングを導入すれば、企業は若い世代が有するデジタルテクノロジーに対する知識を最大限利用できます。アイデアや指示が上から下へ流れていく体制を打破するのに非常に有効な施策といえます。
リバースメンタリングを導入すれば、企業の経営層が若い世代に対して新しいテクノロジーに関する知識を積極的に受け入れる姿勢があることを示すことにもなります。
リバースメンタリングを活用する従業員としてのメリットについて
リバースメンタリングは、若手社員から幹部へとコミュニケーションを重ねていくため、世代や役職を超えた強い絆が育まれやすくなります。役職や世代を超えてできた強い絆は、縦方向が緩和された良好な職場環境を築くことへと繋がっていきます。
先輩社員へ臆することなく自分の意見を伝えやすい職場環境は、キャリア形成の過程で直面する問題や課題に対して、直接的な支援を受けやすくなります。上司にとっては、本来なら顔を合わせてコミュニケーションすることのなかった若手社員と会話が生まれるため、平等であらゆることが開かれた会社へと変わっていきます。
リバースメンタリングは目標決定が大切である
リバースメンタリングとは、逆メンター制度とも呼ばれ、若手社員が役員に対して仕事の助言を行う仕組みをいいます。若手社員はデジタルネイティブと言われるインターネットや新しいサービスに敏感であるなどの世代ごとの傾向だけでなく、現場社員ならではの悩みや動向などの知識を持っています。若手社員の知識を役員などが吸収していくことで、激変する市場などに対応した施策や考え方を学ぶことができるだけでなく、若手社員にも役員との距離が近くなり、役員ならではの思考なども理解できる場となります。
リバースメンタリングでは参加者が達成したい目標を具体的に決めることが非常に大切です。たとえば「上司と部下で同レベルの仕事の推進力を共有する」や「社内全体の仕事を俯瞰するスキルを向上させる」などがあります。
明確な目標は、リバースメンタリングの導入における効果や達成度を計測するための指標となります。これにより、組織内の地位や役職などの立場に関係なく、あらゆる社員が自ら成長し、他人から学ぶ習慣を持てるようになります。