長時間労働が会社に引き起こす影響や問題点とは?課題を理解しよう

長時間労働は日本社会の課題

長時間労働は日本社会の抱える深刻な問題であり、2019年に行われた調査によれば、調査対象となった企業のうち実に4割以上で違法な時間外労働が常態化していました。

参考URL『厚生労働省』長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果を公表します

Karoshi(過労死)という言葉が海外で話題になるなど、日本の労働問題が国際的に注目を集めるようになり、長時間労働による生産性の低下などが指摘される中、政府も対応に乗り出しました。

政府が推進する「働き方改革」では長時間労働の是正を解決すべき課題の一つとして取り上げ、2019年4月1日より施行された働き方改革関連法案でも、労働時間規制などの内容が盛り込まれることになりました。

個人ブログやSNSなどで長時間労働による疲弊や違法な時間外労働などが比較的容易に訴えられるようになり、また、大企業などでの長時間労働による精神障害の労災請求や過労死が頻繁にニュースに登場する中、社会的な関心は非常に高まっています。

長時間労働は企業にとっても大きな問題

長時間労働は社会的に大きなニュースとなっていますが、実際は各企業に対してもマイナスの影響を及ぼしており、企業にとっても優先的に解決すべき課題です。

業界や企業によって問題の質は多少違いがありますが、今回の記事では、一般的に多くの企業に共通して見られる問題をピックアップし、説明していきます。どのような問題が起こっているのでしょうか。

長時間労働が企業にもたらす影響や問題点とは

今回は長時間労働が企業に及ぼす問題を4つ取り上げます。どれも放っておけば企業の利益を損ないます。

  1. 労働生産性の低下
  2. ワークライフバランスの悪化
  3. 働き方の画一化
  4. 入社希望者の減少

1.労働生産性の低下

日本の労働生産性の低さは国際的に指摘されており、一人あたりGDPを労働時間で割った労働生産性は、ドイツなど高い国と比べ50%近く低く、日本の多くの企業においては、人的資本の無駄遣いが起こっていると言えます。

時間あたりの労働生産性と国際比較
出典元『公共財団法人 日本生産性本部』労働生産性の国際比較 2017 年版

仕事がなくても上司が帰るまで帰れない、あるいは会社に遅くまで残っている社員が偉いとされる風潮があったりする企業も少なくなく、長時間労働を是とする風潮が労働生産性を下げ、会社全体の業績にも悪影響を与えています。

2.ワークライフバランスの悪化

会社で働いている誰もが、労働者であると同時に生活者、消費者であり、友達や恋人との付き合いもあり家に帰れば家での生活が待っています。更にボランティア活動や趣味に勤しむ時間など、仕事とプライベートの時間の両立は、誰にとっても重要です。

長時間労働が状態化するとプライベートの時間が取れなくなり、精神状態や健康状態の悪化や倦怠感を感じたり、会社に対してマイナスな感情を持つようになることが多くあるだけでなく、生産性も下がることになります。

3.働き方の画一化

長時間労働が一般的になってしまうと、柔軟な働き方をするのが難しくなり、会社に対して大きな時間を割くことができる人だけが残る会社になってしまいます。能力はあってもプライベートの時間を大事にしたい社員や、家事や育児に時間を割く必要のある社員、とりわけ女性にとって働きづらい会社になってしまうことは、会社にとって大きな損失です。

外国人の多くは日本的な長時間労働に馴染めず、そのような企業では働きたがりません。柔軟な働き方が認められれば、勤務時間の長さや勤務体系に関わらず能力のある社員を採用することができ、会社としての業績の上昇も見込めるでしょう。

4.入社希望者の減少

長時間労働が常態化している企業は、世間での評判も低くともすれば「ブラック企業」とのレッテルを貼られてしまいがちです。一度付いてしまったイメージは中々払拭できず、入社希望者の量や質に大きな影響を及ぼしてしまいます。

採用する側も求職者も長時間労働前提での採用・入社になってしまうと、状況の改善を訴えることも難しく、その後の改善も困難になってしまうでしょう。

長時間労働を改善する早めの対応が必要

長時間労働は従業員(労働者)だけでなく、自社企業にも大きな問題をもたらします。1日2日の長時間労働であれば、普段よりも多くの業務をこなせるかもしれませんが、1週間・1ヶ月など長時間労働が常態化してしまうと、普段の業務効率が低下するだけでなく、優秀な人材の確保・採用にも大きな影響を与え、中長期的な成長を阻害する要因となってしまいます。

政府による調査でも、多くの企業で長時間労働が発生していることが明らかになっていますが、法施行などによって、社会的な関心が高まるだけでなく、取り締まりが厳しくなることも予想され、長時間労働を是正できない企業はより問題が深刻になる可能性があるため、企業側としても早期に対処すべき問題であると言えるでしょう。

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