面接で応募者の緊張をほぐす必要性とは
アイスブレイクという言葉を聞いたことはあるでしょうか。初対面の人同士で話し合う際、緊張を解きほぐし、お互いにコミュニケーションしやすい雰囲気を作ることです。
面接では、初対面のことがほとんどです。面接官も不慣れなうちは大変緊張しますが、一般的には応募者の方が緊張しています。緊張したままの面接では、会話は当たり障りのないものに終始し、応募者の本質を見抜くことが難しくなります。
本来採用すべき人材を落としてしまわないためにも、まずは応募者の緊張をほぐす必要があるのです。
面接官の対応が入社志望度に影響を与える
就職イベントを行う株式会社DYMの学生調査で興味深い結果が公開されています。
今の学生が求めているのは、「個」を見てくれる面接であり、目をあわせない面接官に対しては「対応が悪い」と考えて、志望度が下がったとのデータがあります。
出典元『PR TIMES』<2020卒 就活生アンケート>面接官の向き合いで、就活生の入社志望度が変わる!?面接官の神対応1位は『目線を合わせること』
相手と目を合わせる「アイコンタクト」はコミュニケーションの基本とされています。シャイな面接官が「恥ずかしいから目を合わせない」というのはコミュニケーションスキルの向上によって改善でき、目を合わせない理由にはなりません。
アイコンタクトなどで相手の緊張を解くことで、応募者の本音を引き出しやすくなるばかりか、応募者の志望度も向上する可能性があります。
応募者が緊張したままだと、面接官にそのつもりがなくても、圧迫面接だと感じられることもあります。面接ではまず、応募者の緊張をほぐし、リラックスした雰囲気で素の自分を出してもらうことが大切です。
面接で応募者の緊張をほぐす目的とメリット
面接で応募者の緊張をほぐす目的とは、初対面である相手との場が和むことで、応募者の素に近い状態を見るためといえます。
応募者の緊張をほぐすことは、応募者の本質を見抜きやすくなる、面接が誘導尋問になったり圧迫面接だと感じられてしまうことも防止できるというメリットがあります。
面接で応募者の緊張をほぐす質問例
応募者の緊張をほぐすためには、選考に関係ないアイスブレイクから面接を始めることが有効です。アイスブレイクの質問には、以下のような話題が挙げられます。
1.交通経路
「ここまでどうやっていらっしゃったんですか?」
「迷わずに来れましたか?」
面接会場までの交通手段や経路について聞きつつ、「ご足労いただきありがとうございます」と、面接のために来訪してもらったことへの感謝を伝えます。
2.天気
「雨の中(猛暑の中)、大丈夫でしたか?」
「最近は寒暖の差が激しいですが、体調崩されたりしていませんか?」
天気の話は王道です。面接冒頭でさりげなく、相手を気遣っていることを笑顔で伝え、リラックスムードをつくりましょう。
3.ご飯の話題
「お昼ご飯は、これからですか?」
「お夕飯の時間帯になってしまいましたが、ご自宅で取られるんですか?」
面接の開始・終了時刻によっては、食事の時間帯に差し掛かります。相手の生活リズムへの配慮を伝えることで、ワークライフバランスを大切にできそうな会社だという印象を与えられるでしょう。
4.好きなものや趣味
「〜〜がお好きなんですね」
「私の兄も同じ趣味でしたが、〜〜という点が楽しいようですね?」
相手の趣味嗜好について、話題を広げてみましょう。自分という個人に対して、好意的だと伝わることで、応募者は話しやすいなと感じられるでしょう。
(5)出身地や出身校
「〜〜ご出身なんですね」
「〜〜校を卒業されているんですね」
自分や、家族・友人など近しい人と応募者との共通項を見つけたら、それについて話題を広げてしましょう。お互いの親近感を得られれます。
面接で応募者の緊張をほぐす質問をするうえでの注意点
アイスブレイクとなる質問や話題は色々とありますが、これらの質問をしたからといって必ずしも応募者の緊張がほぐれるわけではないので、注意も必要です。面接に関係ないことを話したために、警戒されたり、マイナスイメージを持たれる可能性も否めません。相手の温度感をみて、緊張しているなと感じたとき、適宜こうした質問を織り交ぜることが有効でしょう。
面接で聞いてはいけない法的NGワードもあります。出身地や家族のこと、価値観や信条についてなど、つい聞いてしまいそうな内容もNGワードに該当するので要注意です。
面接ではお互いの緊張をほぐして、双方向コミュニケーションを
面接はほとんどの場合が初対面同士であるため、応募者はもちろん、面接官自身も緊張するものです。できるだけ自己開示し、自分自身の緊張をほぐすよう心がけましょう。お互いが緊張をほぐして本音で対話できることは、応募者にとってもメリットが大きいものです。
面接は、企業が応募者を見極める場であるのと同時に、応募者にとっても面接官を通じて会社の本質を見極める判断材料を得る場だからです。
目の前にいる応募者は、採用合格であれば将来の同僚や後輩となり、長い付き合いになる仲間です。また不採用であったとしても、いずれ自社の顧客やビジネスパートナーになる可能性がある人物です。面接では双方のコミュニケーションを成り立たせる意識を持つことが必要なのです。