新卒採用面接のための「質問集」で、採用コスト削減を
新卒採用は、短期間で多くの面接を実施し、スピード感を持って学生に内定を出す必要があります。様々な部署の社員や役員が面接官として採用活動に携わるため、統一した採用選考基準に則って合否を決めることが極めて重要です。
面接マニュアルや質問集は、採用関係者への採用選考基準の統一化や、面接担当者の教育・訓練にも役立ちます。新卒採用に特化した質問集を作成することで、誰が面接官であっても自社に合う学生を見抜きやすくなり、面接実施後の評価のばらつきを抑えられるため、採用コスト削減につながるのです。
52.8%の企業が、社内関係部署の協力体制に悩む
「就職白書2019」によると、面接は、99%の企業が実施するといわれる一般的な採用手法です。しかし76.4%の企業が、採用に係るマンパワー不足に悩んでおり、社内関係部署の協力体制を構築するのに課題を感じている企業も52.8%に上ります。一度に大量の面接を実施しなければならない新卒採用において、社内関係部署からの協力を十分に得られないことは致命的です。
労働人口の減少が進むいま、新卒採用の難易度は、上がりこそすれ下がることはないでしょう。社内関係部署の協力体制を構築し、全社一丸となって新卒採用に取り組むことは、会社・事業存続の観点からも、もっと重要視すべき課題だと言えます。
新卒の採用選考における評価項目
新卒採用面接における質問集を作成する前に、まずは自社の評価項目と評価基準を明確にする必要があります。そのなかから面接で優先して見極める項目を選び、質問集作成に着手するためです。自社の評価項目がまだ曖昧な場合には、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」を参考にするのもよい方法です。
下記の項目は、特に新卒採用において評価項目とされやすい項目です。
- 向上心
- 貪欲さ
- 責任感
- やるべきことを自らやれる自律性
- 約束をきちんと守れるか
- 素直さ
- 愛嬌
- 粘り強さ
新卒採用面接だからこそ、注視すべき項目とは
新卒採用では、人柄や性格などの見極めを重要視するべきです。
アルバイトやインターンシップなどの経験が豊富な学生であっても、そこから社会人としてのビジネススキルを測ることは、多くの場合が難しいものです。業務遂行能力やスキルを見るよりも、性格や価値観など、教育や研修で変えることは難しい「人物特性」を注視すべきです。
「どういう状況で、どういうアクションを起こせるポテンシャルを持った学生が、自社で活躍を期待できるか」という評価項目と「どういう裏付けを持っている学生なら、その評価項目を満たしていると判断するか」という評価基準を明確にし、面接で注視すべき項目を設定して行きます。
限られた時間で学生を見極めるためには、選考の前から学生にリーチできる「リクルーター制度」を導入したり、履修履歴に沿って学生の人物特性を掘り下げていく「リシュ面」という面接手法を導入することも、有用です。
新卒採用面接における質問集
新卒採用面接で、学生の本質を見抜くための質問を紹介します。ここでは、新卒採用面接で注視すべき6つの評価項目を例に挙げて、評価項目ごとに具体的な質問例と意図を紹介します。
1.主体性
「グループで何かをやるとき、リードする方ですか?」
「発言は多い方ですか?」
「自ら課題を発見して取り組んだ経験はありますか?」
主体性といっても、グループにおける主体性、対話における主体性、物事に対する取り組み姿勢としての主体性など、様々な見極めポイントがあります。
行動量や発言量が多いことイコール主体的、と見なすのも一面的です。計画性など他の視点も踏まえて質問を投げかけ、どういう主体性を持つ人物なのかを掘り下げることが大切です。
2.計画力
「計画を立てて取り組んだことを聞かせてください」
「計画を立てるとき、どんなことを予測しましたか?」
「計画通りに行かないとき、どのように対応しましたか?」
自ら計画を立てて物事に取り組むことは重要ですが「なったらいいな」という希望的観測にのみ立った計画では、まさに机上の空論です。
計画を立てる際、先々に起こりうることを見通す力があるか、計画通りに行かない場合に自ら軌道修正をできるかなども含めて、計画力を見極めましょう。
3.チームワーク
「チームで何かを達成した経験はありますか?」
「チームの中で、どのような役割をにないましたか?」
「チームワークが乱れたとき、どのように対処しますか?」
チームで物事に取り組む際、どのような役割を果たし、チームにどのような貢献をする人物かを把握します。
どのような相手とうまくやれるか、またうまくやれないのかなどチームワークの傾向や、またそれはどういう性格や価値観だからかを深く把握することがポイントです。
4.自己成長意欲
「学生時代に一番頑張ったことは?」
「学生時代に得たことは?」
「最近頑張っていることは?」
「最近読んだ本は?」
どんなことを頑張れるのか、どのように努力する人物なのかを見極めます。
興味関心の対象や自己成長意欲の源泉となっている想い、苦手なことでも頑張れるための動機づけなど、多様な面から人物特性を引き出すことができます。
5.自己理解力
「あなたは長所は?」
「あなたの短所は?」
「周りの人から、あなたはどんな人だと言われますか?」
「学生時代に頑張ったことを踏まえて、志望動機をお聞かせください」
自己理解の深さや相手に伝える力を把握できます。同時に、周囲からの自分に対する評価に傾聴できるか、周囲からのアドバイスを受け入れて自己成長につなげる力があるかを見極めます。
自己理解と志望動機を合わせて学生を評価することで、主張に一貫性があるかなども把握できます。
6.ストレス耐性
「興味や関心が薄くても、努力を続けた経験は?」
「これまで最も困難だったことは?」
「就職活動中も、よく眠れていますか?」
仕事は楽しいばかりではありません。苦手なことや困難に際して、どのようにやりがいを見出すか、どのように対処するかを見極めます。
就職活動中というストレスを抱えている状況での睡眠時間を聞くことで、ストレスに強いか弱いかを予測するのに役立ちます。
新卒採用面接では、人柄や性格の「裏付け」となる質問を
新卒採用では、自社の企業文化に馴染み、長く活躍してくれる学生を見極める必要があります。業務スキル面よりも、人柄や性格などの見極めが重要です。面接という限られた時間の中で学生の本質を見極めるためには、履歴書やエントリーシート、性格適性検査の結果から、面接でより重点的に確認したい項目を予め絞っておくことが大切です。
書類選考や性格適性検査の結果から予測される人物特性について、裏付けとなる内容を引き出せる場は、面接しかありません。想定される回答をいくつか挙げて、どういう内容なら合格とするのか、事前に評価基準を具体化しておくことで、自社が求める人物像により近い学生を採用することが可能になります。