インテグリティとコンプライアンスの関係とは?炎上から自社を守ろう

インテグリティとコンプライアンスが重要な理由とは?

インテグリティ(integrity)とは、直訳すると「高潔さ」や「真摯さ」を意味する言葉です。ビジネスにおけるインテグリティの概念を提唱したのは、ウォーレン・パフェット氏とピーター・ドラッカー氏だと言われています。

パフェット氏は、インテグリティを「雇用の際に重要な概念」として、インテグリティに欠けた人材を雇うと会社経営が危機に陥る可能性を指摘しています。ドラッカー氏もまた、パフェットに同意する形で、会社経営において欠かせない概念として「インテグリティ」という言葉を用いました。ただし、ドラッカー氏は「インテグリティの具体的な定義」は難しいと指摘しています。

2000年代以降インターネットが一般化し、現代ではSNSなどを通じて誰もが簡単に情報発信を行えるようになりました。情報発信の手軽さから、個人のちょっとした発言が「炎上」と呼ばれる大規模な騒動を引き起こす事件が度々生じるようになり、普段の振る舞いの「誠実さ」が常に問われるような状態になっています。

普段の振る舞いの誠実さが問われるのは、個人レベルに限った話ではなく、企業にとっても重要です。内部告発によるコンプライアンス違反の発覚によって倒産・廃業した企業は多数存在し、組織レベルの「誠実さ」が内部からも外部からも絶えず監視されています。

組織のマネジメントを行う上では、インテグリティという価値観を強く意識して、従業員や顧客との信頼関係を構築する必要があります。

今回の記事では、インテグリティ・マネジメントによるコンプライアンス違反の防止方法をご紹介します。

インテグリティ・マネジメントとは?コンプライアンス違反による炎上を防止しよう!

「インテグリティがある状態」とは、組織を構成するために必要な「人」と「規範」が尊重され、組織が健全に運営されている状態を意味します。インテグリティがある状態の具体例として、インテグリティがある組織における従業員の特徴を以下に例示します。

  • 正義感があり、不正に対して厳しい態度が取れる
  • 利己的な態度でなく、組織の利益を優先できる
  • コンプライアンスを尊守できる
  • 他社の人格を尊重できる

一方でコンプライアンスとは「法律や社会的な通念を守ること」を意味する言葉です。コンプライアンスはインテグリティのうち、特に「規範」に焦点を当てた考え方であると言えます。コンプライアンスがインテグリティに比べて具体性が高い概念である理由は、ある程度の明文化が行われているためと言えるでしょう。

インテグリティ・マネジメントの意味や定義とは?

インテグリティ・マネジメントとは、組織を構成する「人」と「規範」に対する誠実さを軸とした組織経営を意味する言葉です。

インテグリティ・マネジメントにおける「誠実さ」とは、法や規範として明文化されているルールだけが対象ではないため、意味や定義をより広くとるために「コンプライアンス」ではなく「インテグリティ」という言葉が使われています。

インテグリティ・マネジメントは「経営者が組織の管理活動の中で直面する倫理的諸問題について、オープンな討論と計画化された意思決定を促進する方法である」と定義されています。

インテグリティ・マネジメントの目的とは?

インテグリティ・マネジメントの目的としては、誠意に欠ける振る舞いによって組織にもたらされる不利益の防止が挙げられます。

IT技術の爆発的な進歩によって、社会には従来以上に大量の情報が溢れるようになりました。個人レベルでの情報発信も容易になり「炎上」に代表される「不適切な発信」が頻繁に問題になっています。

不適切な発信が起きる原因としては、他者や社会への影響をかえりみない、発信者の不誠実さが挙げられます。炎上に代表される不適切な発信は、まさしく「インテグリティの欠如」によってもたらされるものであると言えます。

インテグリティ・マネジメントの目的は、インテグリティの欠如によってもたらされる不利益から組織を守り、従業員や顧客との信頼関係を築くことなのです。

インテグリティ・マネジメントを実践するメリットとは?

インテグリティ・マネジメントを実践するメリットとしては、前項で挙げた不適切な発信の防止に加えて、組織全体の生産性の向上が挙げられます。

組織の先頭に立つ人間がインテグリティを尊重した態度を取ると、インテグリティという抽象的な概念が組織の重要人物によって具体化され、他のメンバーが「背中を見て学ぶ」ことができるようになり、組織の秩序が自発的に守られるようになります。

経営層や管理職が率先してインテグリティ・マネジメントを実践すると、組織内で良い相互作用が起こって組織内の信頼関係が強化され、Googleのプロジェクト・アリストテレスで報告された「成功するチームに重要な要素」である「心理的安全性」の獲得につながります。

また、近年では「誠実な企業」を表彰するということも生まれてきました。

近年では「誠実な企業」を表彰する文化も生まれ始めています。株式会社インテグレックスは、企業のインテグリティを調査して「誠実な企業賞・Integrity Award」を実施しており、過去には伊藤忠商事株式会社が最優秀賞を、株式会社滋賀銀行と東レ株式会社が優秀賞を受賞しています。

インテグリティを尊重する価値観は、社内の人間関係や顧客との信頼関係の構築に役立つだけでなく、企業のブランディングにもつながるようになってきているのです。

インテグリティ・マネジメントは中長期的な計画を立てて実践しよう!

インテグリティ・マネジメントとは、組織を構成する「人」と「規範」に対する誠実さを軸とした組織経営を意味する言葉です。

様々な企業がコンプライアンス違反によって倒産・廃業・ブラック企業認定を受けるなど、インテグリティに欠ける振る舞いが原因で、企業が致命的な打撃を受ける例が多数見られます。インテグリティ・マネジメントは、健全な企業経営を行い従業員や顧客との信頼関係を構築する上で、今後さらに重要になると見られています。

人の価値観は一朝一夕で変わるようなものではないため、組織で一丸となって中長期的な実践計画を立て、インテグリティ・マネジメントによる「誠実さの育成」に取り組みましょう。

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