リーダーシップと表裏一体の「フォロワーシップ」
チームがうまく機能するために重要なスキルとして考えられるのが「リーダーシップ」です。
リーダーがいかにチームマネジメントするかによって組織の機能や成果が決まってくるというのは間違いではないのですが、厳密にはそれだけではありません。リーダーがリーダーの役割を果たす一方で、メンバーはメンバーとしてリーダーをサポートする役割を持ちます。それがフォロワーシップです。
フォロワーシップとリーダーシップは相補的な関係にある概念です。リーダーシップはチームの方針や目標といったコンセプチュアルな側面を担保するのに対し、フォロワーシップは実務的な側面を担保します。つまり、実際に成果が出るかどうかはフォロワーシップによる寄与が大きいと言えるのです。
中部産業・労働政策研究会の調査によると、リーダーとなりうる上司を対象とした調査では、8割以上の上司が「相談できる部下がいる」「部下を頼ることができる」と回答していながらも「部下が心から支援している」と考えるのは半数以下であり、ビジネスライクな関係に留まっていることが伺えます。部下を対象とした調査では、「上司を頼ることができる」のは約7割で、上司の結果よりも低い数値となっていますが、フォロワーシップが形成されていると報告されています。
出典元『中部産業・労働政策研究会』フォロワーシップに関する集計結果
今回は、「理想のフォロワーシップとはどのような行動か」に着目して、いくつか例を紹介します。
フォロワーシップに求められる行動とは?
フォロワーシップとは、リーダーをサポートしながらも、チーム全員が最大のパフォーマンスを発揮するために必要な能力です。チーム全員が最大のパフォーマンスを出すために、どのような行動が求められるのでしょうか?
積極的に発言する
重要なのは、メンバーとしての存在感を出すことです。
チームが直面する問題に対して自分なりに考え抜いたものがあるならば積極的に提案する姿勢をとりましょう。意見・提案が採用されなかったとしても、議論を深めたり活発化させることにつながれば、組織としての機能の運動性を高める役割を十分に果たしています。
ただ、強すぎる自己主張はチームの和を乱すことになりえるので注意しましょう。
自分の利益でなく「全体」への貢献を考える
目先の自分のノルマだけでなく、チームや会社全体、顧客や業界全体など、より多くの人を含む「全体」への貢献まで視野を広げてみましょう。
「全体への貢献」までの視点を持つことで、「組織を牽引する立場の人間」が何を考えているのかを理解できるようになり、一周回って自分が何を求められているかがより鮮明にわかるようになります。
組織のミッションを第一とした行動をとる
フォロワーとして求められているものは、組織のミッションを最短距離で達成することです。
目的から逆算して限られた時間を効率的に使い、業務を最適化して行動することが、組織への着実な貢献になります。
倫理観を厳守する
仕事をしていれば、顧客から「無理だと思うけれどなんとかなりませんか?」というような倫理規定に違反するような案件を持ちかけられたり、社内で規定違反をもみ消そうとする行為を見かけたりすることもあるかもしれません。
倫理観の軸をブレずに持ち続け、違反に対して厳しい態度を撮り続けることが、組織の正義を守ることにも繋がります。
上司を理解する
上司は組織に対して大きな責任を持っていますが、同じ人間ですので「完璧な存在」ではありません。方針や計画にミスが出たり、得意不得意が部下の目にも見える形で現れることもありますが、そうしたときに上司を非難するのではなく「理解」するようにしましょう。
上司や組織全体に足らないところを、どう立ち回れば補えるかがわかるようになります。
組織の最終決定に納得する
組織の構成員として大事なのは最終意見に不平不満を言わないことです。
組織の方針が決まれば、全員がそれにしたがって動くことになります。不平不満をズルズルと残していると、コンセプト共有の際の説得力も失われ、組織全体の結束力を弱める恐れが生まれます。
自社の社員と組織のギャップを明確に
自社従業員のフォロワーシップを高めるためには、まず組織としての態度を明確化することが大切です。どのような行動を起こしてくれるのが理想なのか、目標を明らかにしておくことが必要です。
自社のスタンスと自社の従業員とのギャップを踏まえて、行動に至らない理由や原因について検討してみましょう。
社員の自発的な行動を起こすためにはどのような施策や研修を行うべきかを見極め、適切な教育を施すことがフォロワーシップを実現するポイントになります。