ダニング=クルーガー効果とは?自信や自己評価に関わるバイアス

日常生活はバイアス(先入観)に満ちあふれている

「バイアス」は、英語の「bias」をベースにしている日本での名称(カタカナ語)です。もともと「bias」の意味は、「傾向・先入観・偏見」などがあり、日本で「バイアス」として用いられる場合も、同じく「先入観」「偏見」を意味することが多くあります。日常生活においては、心理・心情的な意味で使われることが多く、たとえば「上司の意見は常にバイアスがかかっている」と言った場合は、偏見や先入観が混じった意見であるということを指しています。

バイアスはビジネスシーンで用いられることが多い言葉とも言われています。特に心理学からビジネスに応用されることの多い「確証バイアス」や「認知バイアス」は有名でしょう。一般的な用法としては、「彼の意見はバイアスがかかっている」「あのミーティングの結論にはバイアスがあるのでは…」という文脈で用いられます。

今回はバイアスの一種である「ダニング=クルーガー効果」について説明します。

ダニング=クルーガー効果とは?

ダニング=クルーガー効果とは、この説を提唱した米国のコーネル大学の研究者の名前で呼ばれれているメタ認知的な現象の一つで「自分が優れている」という一種の思考の錯覚(認知バイアス)を指します。

ダニング=クルーガー効果は、コーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーダニング氏が、大学において学生の成績と自己評価の関係を調べた実験に端を発します。実験の結果、成績が悪い人ほど自分が全体の中で占める位置を過大評価していること、一方で成績優秀者は自分のレベルを控えめに評価していることを示しました。彼らは「優越の錯覚を生み出す認知バイアスは、能力の高い人物の場合は外部(=他人)に対する過小評価に起因している、一方で能力の低い人物の場合は内部(=自身)に対する過大評価に起因している。」と述べています。

ダニング=クルーガー効果は「自分が優れているという、一種の思考の錯覚(認知バイアス)」「自分の欠点を見れないことが原因による、自己の過大評価」であり、自信過剰で実力が伴っていない人物や現象をさします。

ダニング=クルーガー効果のバイアスとは?

人は自分自身を客観的に捉えることが苦手です。自分のことを高く評価していても、周りの人から見た時には、自分が考えている評価と全く異なる、低い評価になってしまうことは往々にしてあります。

自分の能力が低い人ほど自己を過大評価してしまう傾向があります。この傾向は特定の分野に限る訳ではなく、勉強や運動、仕事、恋愛など、さまざまな分野や場面で見られる傾向です。

能力が高い人ほど、自分を過小評価してしまいがちです。この傾向は優越の錯覚とも呼ばれています。

ダニング=クルーガー効果が発生するタイミングとは?

ダニング=クルーガー効果の具体例を、二つの点から紹介していきます。

自分の能力が低いと、自己評価を正しくできない

能力が低い人は、社会や周りのことに関して概ねあまりよく知りません。つまり能力が低いということは、周りときちんと比べることができないため、自己評価を正しくできないとも言えます。

結果、能力が高い人ほど謙虚であるという現象が発生します。

株式投資でのミス

株式投資を始めたばかりの初心者を例に挙げます。株式投資では、特に初心者は「自分は他の人達よりも有利な情報を握っている」と勘違いして、株式の短期売買を繰り返す人が多いといわれます。結果、負ける可能性が高い勝負をし続けてしまうことで、ほとんどの初心者トレーダーは株取引で損をしてしまいます。

一方でプロの認識は、株式投資では短期的な未来を正確に予測することは不可能で、統計学に基づいて判断する必要があることを理解しています。その結果、銘柄や投資時期などをきちんと分散することでリスクをできるだけ小さくし、大きな損失を回避しているのです。

ダニング=クルーガー効果のメリットとは

ダニング=クルーガー効果は悪い面ばかりではありません。程度にもよりますが、自己評価を盛り気味にすれば自尊心を高められるからです。何事も自信を持って行動できるようになり、行動する楽しさも増すでしょう。よい結果がでれば、さらに自信が高まります。そうやっているうちに、自分の実力と認識のズレがなくなる可能性はあります。

また「根拠なき自信」があるからこそ恐れを知らずチャレンジできるとも言えます。新しい領域にチャレンジするときは、誰もが実力不足です。大切なことは「必ずできる」「どうにかなる」と根拠なき自信を持って一歩踏み出すことです。

ビジネスシーンにおいては「障壁の高い業界へ新規参入する」ということもあるでしょう。ある会社が航空分野に異業種から新規参入し、大きな成功を収めました。会社のトップは「こんなに大変ならやらなかったかもしれない」と言っていたといいます。知らなかったから参入し、結果的に成功を収めたということです。

ダニング・クルーガー効果のメリットで、無知だから自信が保てる=世の中で誰もやったことがないことや本当は困難なできごとに進むことができるのです。

ダニング=クルーガー効果がもたらすデメリットとは

ダニング=クルーガー効果が最近になって注目されているのは「できない人ほど自分のことを過大評価する」傾向が、社会の中で目立つようになってきたからではないかと言われています。経営者や政治家など、社会のリーダーになるべき人の中にも、ダニング=クルーガー効果でいうところの「自信過剰な人」が目立つようになってきた印象があります。

自分自身を客観的に観察する能力を「メタ認知」と呼びます。メタ認知がなければ、自己評価もできず、自分の欠点もわかりません。結果、目指すべき目標もつかめないのです。

メタ認知ができず「ダニング=クルーガー効果」に陥った場合のデメリットは、次のようなことがあると言われています。

フィードバックを受けない

フィードバックを過去にどれだけ受けていたかによって、ダニング=クルーガー効果の促進度合いが異なるという仮説です。

特に否定的なフィードバックを受けたか、仲間内で肯定的なフィードバックばかり受けていなかったかなどは、その後のその人の価値観にかかわるからです。

原因を把握していない

失敗をしたとき、その要因は多様で複雑ですが、ある程度はきちんと掘り下げることが必要です。

ダニング=クルーガー効果に陥りがちなタイプは、外的要因(外の環境のせいにする)に注目しがちとも言われます。外部に原因を求めても、自己改善を図ることはできません。

他人の能力を正しく評価できない

私たちは「他人の能力」を見て、相対的に自分の能力を判断します。しかし、その物差しが偏っていた場合、自分の能力も正確に評価できません。

他人をきちんと客観的に評価できることが、ダニング=クルーガー効果に陥いらない一歩なのです。

ダニング=クルーガー効果を理解しよう

ダニング=クルーガー効果とは、能力の低い人材ほど自分の能力不足に気が付かず、実際よりも高い評価を行ってしまうことであり、能力の高い人材は自分の能力を低く評価してしまうことです。

ダニング=クルーガー効果は根拠のない自信を持つ効果であるため、教育研修などによって根拠ある自信へと置き換えていくことで、モチベーションの高い人材に育成するできる可能性もあるバイアスであることは認識しておきたいところです。

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