ウィリアムソンの特性因子理論とは?人材アセスメントを有効活用しよう

人と仕事のマッチングの影響は大きい

7・5・3問題とは、中卒者の7割、高卒者の5割、大卒者の3割が3年以内に離職すると言われる問題です。厚生労働省の調査によると、大卒者の新卒3年以内の早期離職率は、20年以上経っても、30%以上で推移しており、改善されていない状況であることがわかります。

学歴別就職後3年以内離職率の推移
出典元『厚生労働省』学歴別就職後3年以内離職率の推移

労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査では、初職が正社員であった離職者の初職を辞めた理由が公開されており、「労働条件・休日・休暇の条件がよくなかった」「人間関係が良くなかった」「仕事が自分に合わない」といった退職理由が並んでいます。

初職を辞めた理由
出典元『労働政策研究・研修機構』第6章 早期離職とその後の就業状況

このようなミスマッチが20年以上も変わらず発生していることを鑑みると、人と仕事のマッチング、適材適所が如何に重要であるかがお分かり頂けると思います。

今回は、100年以上前に「人と仕事のマッチング」を唱えた、特性因子理論をご紹介します。

ウィリアムソンの特性因子理論とは?

特定因子論とは、端的に言えば「人と仕事のマッチング理論」のことです。キャリアカウンセリング理論の中の特性因子理論では、その人を構成する特性(スキル、能力、性格、価値観等)と、その職業の条件(仕事内容や仕事に必要な要件)を上手くマッチングさせることが重要である、という考え方を示されています。

キャリアカウンセリング理論には様々な提唱者による理論がありますが、特性因子理論は100年以上前のアメリカで提唱された理論で、キャリアカウンセリング理論の中でも歴史が古い理論です。

エドムンド・ウィリアムソン(Edmund Griffith Williamson,1900-1979)は、20世紀のアメリカの心理学者です。パーソンズの職業選択理論の流れを汲み、カウンセリングを理論化しました。中でも、思春期・学生期にあるクライアントのカウンセリングに力を入れ、1939年に『How to Counsel Students』を著しています。

心理検査やアセスメントツールを用いて職業適性を調べると、就職に効果的であることがミネソタ大学の高い就職実績によって証明され、当時同大学で進路指導を率いていたのがウィリアムソンでした。

進路指導のみならず、学生生活における心理的な悩み、経済的な悩みなど、学生生活全般を支援する学生カウンセリングが展開されました。ウィリアムソンの特性因子理論は、このような背景から生まれたのです。

ウィリアムソンが提唱した特性因子理論の内容について

ウィリアムソンは、個人が有する仕事に関するスキル・能力と、それぞれの仕事が必要とするスキル・能力とのマッチングが、よい職業選択や職業適応をもたらすとの考えを示しました。キャリアに関する課題は「選択しなかったことによる課題」「不確かな選択」「賢明でない選択」「興味と適性のズレ」の4つに分類でき、これらの課題は事前に予測が可能であると考えました。

キャリアカウンセリングを実施するにあたっては、クライアントが抱える問題が先述の4つのうちのどれに当てはまるかを判断した上で、次の6段階のカウンセリングプロセスを経ることを提唱しています。

  1. 分析段階
    心理テストや心理アセスメントを行い、問題点をヒアリングしたり整理したりする。
  2. 統合段階
    職業情報や労働情報を収集し、統合する
  3. 診断段階
    問題点を洗い出していき、優先順位をつける
  4. 予後段階
    問題から予測される結果と、適応の可能性を判断して、将来の見通しを立てる
  5. 処置段階
    カウンセリングを実施し、指導助言をする
  6. 観察段階
    フォローアップをし、経過を観察する

心理テストや心理アセスメントの結果を用いて、カウンセリングを進めるところに、ウィリアムソンの理論の特徴があります。彼が「人の個性や適性は開発され、発見され、測定される」と考えていたことが影響していると言えるでしょう。

アセスメントを用いて人材の適材適所を実現する

ウィリアムソンは、人々が有するキャリアに関する課題は4つに分割できると考えました。クライアントが抱える課題が4つのうちのどれに該当するかを判断した上で、カウンセリングを行うことが重要と唱えました。

各種心理テストやアセスメントツールの結果を基にした彼のカウンセリング手法は、人事面談や1on1などでも活用できるのではないでしょうか。100年以上も前の理論ではありますが、社員の適材適所を考える上で、今日においても有効に活用できる理論であると言えるでしょう。

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