逆境指数(AQ)を決定する要素と5つのレベルとは?AQを見極める

ビジネスの現場では心の逆境指数(AQ)が求められている

近年、ビジネスの現場はますます予測困難な時代になっています。市場のグローバル化に伴う競争の激化や、人工知能などのテクノロジーが一層速いスピードで進化している現代は「VUCAワールド」とも呼ばれています。

『人でないとできない業務』もまだまだ多いことも事実です。業務自動化を行う「RPA」も近年大きく注目されていますが、現状活用されているのは主にデータ入力などの定型業務であり、非定型業務を自動化するのに寄与するまでにはまだまだ時間がかかると予測されています。企業活動を担う人材の重要性は、依然高い状態であると言えます。

その中で知能指数「IQ」やこころの知能指数と言われる「EQ」とあわせて注目されている人の能力の一つが「AQ=逆境指数」です。AQは生まれ持ったものではなく、本人の意識や行動、上司などの周囲の環境によっても変化しうる概念でもあります。

今回は心の逆境指数(AQ)についてより深く理解するために、心の逆境指数(AQ)を決める要素と5つのレベルについて掘り下げます。

心の逆境指数(AQ)を構成する要素と5段階のレベル

AQでは、人の逆境に対する反応は「Core」と呼ばれる4つの要素が組み合わさって決まるとされています。4つの要素とは「コントロール(Control)」「責任(Ownership)」「影響の範囲(Reach)」「持続時間(Endurance)」で、それぞれの要素の頭文字を組み合わせて「CORE」、AQを判定するコアというわけです。

人はその逆境への対処方法で「脱落組」「キャンパー」「登山家」の3タイプに分けられるともいわれています。組織に属する人材の80%以上は「キャンパー」であり、逆境のような状況が続くと逃げ出したり、現状を維持しようとします。

今組織で求められるのは、直接困難に向き合い、解決し、さらには新しいものへと発展させて頂上を目指す「登山家タイプ」なのです。

心の逆境指数(AQ)の5段階のレベル

AQのレベルは以下の5段階に分類されます。

  1. レベル1 逃避(Escape)……逆境に立ち向かわず逃げようとする
  2. レベル2 サバイブ(Survive)……なんとか生き残ろうとする
  3. レベル3 対処(Cope)……とりあえずは対処する
  4. レベル4 管理(Manage)…… 逆境を管理し解決しようとする
  5. レベル5 滋養(Harness)……ピンチをチャンスに変え逆境をもとにさらなる飛躍を目指す

AQのレベルは、逆境に対する反応や対応のしかたによって、低位から順番に
レベル1「エスケープ(逃避)」→レベル2「サバイブ(生存)」→レベル3「コープ(対処)」→レベル4「マネージ(管理)」→レベル5「ハーネス(慈養)」
の5段階に分かれます。

レベル1の人は、逆境に直面するとそれに立ち向かうことができず「逃避」してしまいます。レベル2のタイプは、何とかそのピンチの中でも「生存」できるという程度で、問題を解決することができません。レベル3も対処はするのですが、単に対応することにとどまってしまい発展性がありません。レベル4になって初めて、直面する逆境を「管理」して解決しようという姿勢がでてきます。とはいえ、それでもまだ十分ではありません。

AQが最も高いレベル5に達すると、人は逆境そのものを受け入れ対応し発展させていきます。試練や苦難を糧として、さらなる成長を遂げるようになります。AQの高い人は窮地に追い込まれても前向きなモチベーションを持ったまま対応していけます。失敗や挫折を成長の機会ととらえられるからこそ、成功するまで粘りきることができるのでしょう。

米国でAQをはじめとするコミュニケーション関係の心理学に詳しいストルツ博士によれば、過去のアメリカ大統領選挙において23回中22回は、AQのより高い候補が勝利しているといいます。AQの高いリーダーが率いる組織のほうが、そうでないリーダーが率いる組織よりも、優れたパフォーマンスを継続的に挙げることも分かっています。

部下のAQを低下させてしまうリーダーの傾向として「実行できない約束をする」「気まぐれ」「物事のマイナス面ばかりを指摘する」「ユーモアに不寛容」「創造力を奨励できない」「権限の伴わない責任を課す」などの共通点も挙げています。

企業や組織の経営を成功に導くことができる経営者やリーダーとしては、レベル4以上のAQが求められています。そしてよりAQが高いリーダーの方が成功するともいわれています。

AQは持って生まれたものではなく、トレーニングや経験によって鍛えることが可能です。逆境に耐えぬく力を養うことは、組織の一員としても個人としても役に立つものなのです。

逆境指数(AQ)を組織でどのように生かしていくか

AQとは企業経営に重要な概念であり、経営者やリーダーになるにつれて、より高いレベルが求められる概念です。

高いレベルを目指すためには、各従業員のAQの現状を把握しながら、次のレベルを目指すために何が必要なのか、具体的にどの要素を育成することが有効なのかを明確にすることが重要なのです。

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