ジュニアボード制度のやり方とは?研修実施前の事前準備や注意点について

ジュニアボード制度の研修前に知っておくべきこと

ジュニアボード制度とは、若手・中堅社員が企業経営の施策に対して提言する疑似役員会のことであり、若手・中堅社員の経営への参画意識をつける上で非常に有効な手法です。ジュニアボード制度の歴史は古く、1930年代のアメリカで取り入れられており、日本企業でも導入されましたが、残念ながら全てが成功したわけではありません。

日本能率協会の調査によると、現在の経営課題には「収益性向上」や「人材の強化」が挙げられていますが、3年後には「人材の強化」と「新製品・新サービス・新事業の開発」が課題となり、5年後には「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」「新製品・新サービス・新事業の開発」が課題となると挙げられています。

経営課題
出典元『日本能率協会』日本企業の経営課題2018

RMSの調査では、新規事業創造の障害として「社員の関心・力量の不足」や「経営の力量不足」が課題として挙げられています。

新規事業創造の障害
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』新規事業創造に関する人事の実態調査

社員の経営への関心を高め、人材の力量を強化し、企業の後継者問題を解決するにはジュニアボード制度の導入が非常に有効です。

次世代のリーダー育成や後継者育成を実施するには、ジュニアボード制度の具体的なやり方を学び、社内研修時の注意点について知っておくことが大切です。今回は「ジュニアボード制度」のやり方について説明します。

ジュニアボード制度の研修導入の流れとは

ジュニアボード制度とは、自薦・他薦によって集められた若手社員や中堅社員によって構成される擬似的な経営役員会のことです。疑似役員会(ジュニアボード)では、本来の役員会とは別に将来有望な社員を5人~10人程度集め、経営課題の調査や解決策の提案などを行います。

ジュニアボード制度の目的について

経営層の組織に対する保守的な考えは、新たな取り組みを実施しづらく、現場で働く社員との間に軋轢を生むことも少なくありません。

経営に関する問題に対してジュニアボード制度を導入すれば、将来有望な若手社員や中堅社員の柔軟性に優れたアイデアや経営層にはなかった有益な発想を取り入れられます。

  • 若手、中堅社員の起業経営への参加意欲を高める
  • 部署間の障壁を乗り越え、組織内を横断するコミュニケーションを可能にする
  • 意思決定による経験を重ねることで、次期リーダーを育成する
  • 経営層と従業員で社内課題を共有する
  • 経営層にはなかった新しいアイデアを発見する

ジュニアボード制度に寄せられる目的は多様であり、大きな効果が期待できます。

ジュニアボード制度の研修のやり方について

ジュニアボード制度の研修を進めていくうえでのやり方をご説明します。

メンバーの選定

まずはジュニアボードの参加メンバーを選定します。

自らの積極性を尊重する場合は自薦、次世代のリーダーや事業後継者など将来有望な若手・中堅社員がいる場合は他薦など、会社のマネジメント方法に応じて5~10人程度を選出するケースが多いです。

経営課題の選定

ジュニアボードの参加メンバーが決定したら、解決を目指す経営課題を選定します。最初の経営課題には、次のようなものが良いでしょう。

  • 経営方針の見直し
  • 新規事業の展開方法
  • 長期販売可能な新商品の考案
  • 新規顧客の開拓方法
  • 社風や組織構造の見直し

経営層と従業員の双方が取り組める経営課題を選定し、議論へと発展させていくことが大切です。

経営課題の調査・提案

ジュニアボードで議論する経営課題が決定したら、次回の討論会までに周辺情報の調査を命じます。後日、調査によって判明した解決策や課題の解決に繋がるアイデアについてジュニアボードで提案し、討論します。

経営層は若手・中堅社員の提案に真摯に耳を傾け、意見を述べます。もし有益な提案内容であれば、新規プロジェクトを立ち上げ、提案者に推進させても良いでしょう。

意欲的なメンバーを集める秘訣について

ジュニアボードの参加メンバーが選出されたら、1人ずつ面談を行いましょう。

面談では、ジュニアボード実施の目的や開催期間を伝え、意欲的に取り組む気持ちがあるのかを確認すれば、目的とするメンバーを集めやすくなります。

アドバイスする上での注意点について

若手・中堅社員から提案があった場合は、経営層は「よく調べてくれたね。ありがとう。」と最初は感謝の気持ちを伝えましょう。なぜなら、経営課題について考え慣れていない社員に対して「うちで何年、働いているの?経営について全然わかってない。」と伝えてしまうと、経営への参画意欲が大きく損なわれてしまうからです。

経営層は社員の前向きな姿勢を保つにはどうすれば良いのかを考えましょう。突飛なアイデアから解決の糸口を見つけようとする粘り強さや話を聞こうとする姿勢を示し、モチベーションの向上に繋げていくことが大切です。

ジュニアボード制度は事前準備や懸念点について考慮しておこう

ジュニアボード制度とは、若手・中堅社員が企業経営の施策に対して提言する疑似役員会のことであり、若手・中堅社員の経営への意識をつける上で有効な手法です。

ジュニアボード制度を導入すれば必ずうまくいくわけではないため、事前の準備などについてもしっかりと理解し、制度化する前に様々な懸念点に対して対策を考慮しておく必要があります。

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