企業の人材育成にも活用が期待されるアダプティブラーニング
アダプティブラーニングとは、日本語に訳すると「適応学習」と言われています。アダプティブラーニングを導入すると、従来の学習手法のように、同じ内容、同じ手法で行われる学習とは違い、その人の習熟度にあった内容と方法で学ぶことが可能になります。近年このような考え方が、企業の人材育成の現場においても必要だという声が挙がっています。
入社時点でもその人が学んできた内容や理解度もそれぞれ違います。その人個人に合わせた教育方法を行うことで、より効率的に人材育成ができるのでは無いかというのが、アダプティブラーニングの考え方と言えます。
具体的な方法としては、アダプティブラーニングに注力したe-learningシステムを導入している企業が多いようです。日本能率協会マネジメントセンターが国内企業360社に行った調査結果によりますと、人材教育にe-learningを用いて実施している企業が80%と増加傾向にあることが分かります。導入理由として最も多かったのが「社員の同時教育が可能」という意見で、次に多いのが「手軽に学べる」でした。
出典元『日本能率協会マネジメントセンター』国内企業360社対象 e ラーニングに関する実施状況調査
出典元『日本能率協会マネジメントセンター』国内企業360社対象 e ラーニングに関する実施状況調査
今後企業の人材研修においても、ますます需要が増えるであろうアダプティブラーニングについてメリットやデメリット、導入時の注意点について紹介します。
教育現場から生まれたアダプティブラーニングとは
アダプティブラーニングは教育現場で生まれた考え方です。直訳では「適応学習」と訳されます。
同じ学習をしたとしても、その人個々により習熟度や理解力は異なり、どうしても差が生まれます。こうした学習進捗度(学習進度)に合わせ、学習者一人ひとりにあった学習方法や教材などを提供するという考え方がアダプティブラーニングです。
IT技術が進歩する中、教育現場でもIT技術を活用する動きが高まりつつあります。EdTech(Education Technology)の方法の一つとしても、アダプティブラーニングは世界中から注目されている考え方と言えます。
従来の学習方法とアダプティブラーニングの大きな違いとしては、やはり一人ひとりの学習進捗に合わせた教育内容や学習レベルを調整し提供できるということです。従来の日本の教育方法では、先生が授業態度やテストの成績などから生徒一人ひとりの学習進捗を分析し、見極め個別指導や特別授業といった方法でフォローする必要がありました。しかしアダプティブラーニングを活用することにより、個別の判断を先生自身はする必要がなくなり、全てシステムによる自動採点と分析が可能になります。
個々に合わせた授業内容などを都度提供する必要はなくなり、最適化された個別学習のコンテンツも、自動的に判別され配信されるという仕組みができます。教える側の負担の軽減だけではなく、生徒一人ひとりの成長にもアダプティブラーニングは最適な教育手法だと言えます。
こうした教育手法は今学校現場だけではなく、企業の人材教育の現場でも活用ができるとして注目されています。アダプティブラーニングはインターネット回線と電子機器を活用して導入する自主学習ソフトeラーニングの一択となります。
企業におけるアダプティブラーニング導入のメリット・デメリットとは
企業がアダプティブラーニングを導入するメリットとしては、学習者側(従業員)から考えると、時間と場所を選ばずに学習できることや有用な知識の収集やスキルアップに活用ができるなどが挙げられます。
提供する企業側のメリットとしては、常に最新情報や知識などを提供できる事により生産性やモチベーションのアップが期待できることや、従業員一人ひとりの学ぶ姿勢に対して学習機会を均等に提供することで従業員の満足度アップに繋がるといったことが挙げられます。
デメリットとしては、導入にはある程度のコストが必要なことが挙げられます。学習内容を検討するための準備も必要です。企業側はその環境だけ与えて満足してしまい、効果や従業員への影響力をしっかりと認識しないまま運用されてしまうということも考えられます。反対に従業員側はそれさえやっておけば、学んだ気になり、実際には成長としては何ら効果を得ていないということも考えられます。
アダプティブラーニングで企業の人材育成に変化が期待できる
アダプティブラーニングを活用するためには、メリットデメリットを理解した上で、企業側は導入を検討する必要があります。アダプティブラーニングの導入は、多くの社員を抱える企業にとっては、同時教育を可能にし、なおかつ社員一人ひとりの進捗や理解度に合わせた学習方法を提供することができます。
人手不足により、様々な人材活用が求められる現状において、結果人材教育にかかる人的コストの削減や早期戦力化させる仕組みとして、今後アダプティブラーニングが生きて来る可能性が大いに期待できると考えられます。