早期離職の理由と問題点とは?改善策や事例も紹介!
目次
早期離職の実態
まずは早期離職の実態を把握して、自社の早期離職率と比較してみましょう。
入社3年以内に約3割が早期離職する
厚生労働省が調査したデータによると、新規学卒就職者のうち大卒の就職者が入社後3年以内に離職した割合は32.3%で、短大卒等の就職者は42.6%となっています。
学歴 | 早期離職率 |
---|---|
大学 | 32.3% |
短大等 | 42.6% |
大学卒業者の早期離職率は短大等卒業者に比べると低いですが、3人に1人が3年以内に離職していることがわかります。
業種別の早期離職率
次は業種別に新規大卒就職者の早期離職率を見てみましょう。
「宿泊業・飲食サービス業」が51.4%と最も高く、ほぼ2人に1人が早期離職している状態です。次いで「生活関連サービス業・娯楽業」が48.0%、教育・学習支援業も46.0%と高いことから、業種によっても早期離職率が大きく変わることがわかります。
業種 | 早期離職率 |
---|---|
宿泊業・飲食サービス業 | 51.4% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 48.0% |
教育・学習支援業 | 46.0% |
医療・福祉 | 38.8% |
教育・学習支援業 | 46.0% |
小売業 | 38.5% |
サービス業(他に含まれないもの) | 37.3% |
不動産業・物品賃貸業 | 35.9% |
調査産業 | 32.3% |
学術研究・専門/技術サービス業 | 31.9% |
建設業 | 30.1% |
実は長らく改善されていない早期離職率
早期離職が会社にもたらす損失は、景気の良し悪しや人材の売り手市場・買い手市場に関わらず、会社を維持・発展させていくためには常に対策しなければならない問題です。
普遍的な問題であるはずの早期離職ですが、厚生労働省の調査によると、早期離職率は10年以上前からほとんど横ばいであることが分かっています。
早期離職率の改善が進まない理由は、早期離職による人材育成コスト損失の大きさは中長期的な視点で見なければ理解しきれないからかもしれません。日常的な業務や会社の売り上げなどの目先の問題に精一杯で「いかに人材を育成していくか」という問題が軽視されがちです。
早期離職による企業のデメリット
せっかく入社した従業員が早期離職となった場合、企業にとってどんな損失やデメリットがあるのかを解説していきます。
早期離職は1人あたり600万円以上の損失となる
入社3年以内が早期離職とすると、新入社員が完全に独り立ちするまでには最低でも3年以上が必要となり、約4年間は人材育成のための投資期間と考えられます。ではこの投資には、具体的にどれだけの金額がかかるのでしょうか?
弊社が全業界の平均値等で調査した結果によると、入社後1年で早期離職してしまった場合に発生する1人あたりの損失額は、新卒採用の場合で657万円、中途採用の場合で774.0万円となります。内訳として人件費が占める比重が多く、入社後2年目の離職のほうが当然損失額は高くなります。
逆に考えると、1人の離職を防止するのに300万円を使ったとしても、十分にペイできると考えられます。早期離職による損失は、様々な費用が影響するため試算しづらいですが、今一度損失額と離職防止にかける費用に関して見直してみるのもオススメです。
新入社員の損失額については、以下記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。
>>「若手人材の早期離職によるコストは600万円以上!損失額の内訳を知ろう」
主力となる人材が育たない
優秀な人材を採用しても、早期離職が続くと会社の将来を担うリーダーが一向に育ちません。将来のリーダーを育てるためには定着率を高め、早い段階から重要なプロジェクトに参加させて経験や実績を積ませる必要があります。
しかし、若手の早期離職が続くと会社のスキルやノウハウも伝承できず、将来の主力となる人材を育てることができなくなります。
また、若手の早期離職が多いと、会社の平均年齢も上昇していき、時代のニーズに沿った柔軟な発想も難しくなります。その結果、新たな事業やアイデアで競合他社に勝つことや生産性の向上も困難となり、会社の成長が停滞する可能性も高まります。
企業イメージの低下
早期離職者が多いと企業のイメージが低下し、今後の採用活動にも影響を与えます。理由としては「早期離職が多い=働きにくい会社orなにかある会社」と不信感を抱くためです。
特に昨今では新卒・中途問わず、求職者はSNSや口コミサイトから事前に企業の内部情報を収集して、応募の有無や内定受諾を決めます。
「早期離職者が多い」「ハラスメント気質の会社」など、ネガティブな情報はすぐに投稿・拡散されるため、今後採用活動を強化しても内定者を獲得するどころか応募者すら来なくなる可能性が高まります。
早期離職が発生する原因と理由
ではなぜ早期離職が起こるのでしょうか。
ここでは新卒、中途別に早期離職を考えるきっかけとなった原因や理由を解説していきます。
新卒の早期離職理由
まずは新卒で入社し、社会経験が3年未満の方が転職を考える理由や原因をみてみましょう。
学情の調査によると、転職をしようと思う理由では1位が36.2%で「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」、2位が35.8%で「給与・年収をアップさせたい」、3位が26.8%で「残業を減らしたい・休日を確保したい」、4位が23.6%で「より会社の風土や考え方が合う企業で働きたい」となっています。(緑の社会人経験3年未満の第二新卒参照)出典元『学情』仕事観・転職意識に関するアンケート調査 2023年8月版
転職を考える上位の理由をみてみると「仕事へのやりがい・評価に見合った対価」「働きやすい環境」を求めていることがわかります。
中途の離職理由
次に中途の方が転職を考える理由や原因をみてみましょう。
マイナビの調査によると、転職活動を始めた理由の1位が27.3%で「給与が低かった」、2位が23.3%で「仕事内容に不満があった」、3位が22.1%で「職場の人間関係が悪かった」、4位が20.3%で「会社の将来性・安定性に不安があった」となっています。
新卒同様に「給与面」による理由が上位にランクインしていますが、中途者が転職を考える主な理由は「人間関係・仕事内容が合うか」の相性に関する問題を占めていることがわかります。
また、新卒・中途どちらの調査にも通じるのが「不満」が離職理由として挙げられていることです。パーソル総合研究所の調査でも、早期離職に限らず、転職者の8割が「会社への不満」を挙げています。
出典元『パーソル総合研究所』転職行動に関する意識・実態調査早期離職の防止対策
早期離職を防止する対策方法は「採用活動前における対策」「入社前における対策」と「入社後における対策」の3つに分けられます。それぞれ詳しく解説していきます。
採用活動前にできる防止対策
採用活動を本格的に行う前に、会社で行える早期離職の対策を2つ紹介します。
労働環境の改善
早期離職の原因に「残業時間を減らしたい・休日を増やしたい」が上位にランクインしていたため、労働環境を改善することも早期離職の防止につながります。
具体的には残業時間、有給の取りやすさなどを見直してみると良いでしょう。また、最近では共働き世代や、仕事とプライベートをわける方も増えています。
会社で可能であれば、フレックスタイム制や時短勤務制度を導入して、新入社員が働き方を選べる環境を用意することも早期離職の防止につながるでしょう。
待遇・評価制度を見直す
「早期離職が発生する原因」で新卒・中途ともに「給与が低い」が上位にランクインしていたため、待遇・評価制度を見直すことも早期離職を防ぐ対策になるでしょう。
自身の頑張りが適切に評価され、給与にも反映されていると新入社員も意欲を発揮しやすくなり、モチベーション高く業務をこなしてくれるでしょう。
一方で業務量やスキル、結果に見合った評価がされず、昇給も微々たるものの場合、頑張っても報われないと感じてしまい、モチベーションや生産性の低下につながります。
業務量や結果に応じた評価・待遇を用意することで、従業員満足度が向上し早期離職を防止することにつながります。
最近では成果・実績を重視した評価制度を設ける会社も増えており、転職も数年前より前向きなイメージに変化していることから、給与に不満がある方は適切な評価制度・給与に反映してくれる会社に転職しやすい状態になっています。
また、同業他社と比較しても給与水準が低く賞与もないとなると、新入社員をいくら採用しても早期離職の流れを止めることは難しくなります。
自社の待遇・評価制度が適切かも人事部または管理職を巻き込んで見直すと良いでしょう。
入社前にできる防止対策
入社前の採用選考の過程で行える早期離職の対策を2つ紹介していきます。
選考過程で価値観等を確認する
早期離職の本質的な原因の1つは、会社と新入社員の誤解や齟齬によるミスマッチです。そのため、選考の過程で以下を確認・説明することが重要です。
- 自社の社風やカルチャーにマッチする人材か
- 仕事内容を説明して十分な理解を得る
- 具体的な評価制度
- 昇給額の実績
- 労働環境や働き方の説明 など
仕事内容や待遇、働き方については偽りなく説明することで入社後のミスマッチを防ぐことにつながるでしょう。
しかし、社風やカルチャーについては、選考の限られた時間の中で採用候補者の性格・価値観を正確に理解し、マッチングを確かめることは難しいため、面接での質問に加えて性格適性検査を活用すると良いでしょう。
採用候補者の性格・価値観を客観的に理解し、選考を進めていくことで社風や人間関係のミスマッチを限りなく減らすことができるでしょう。
先輩社員の選考同席
「人間関係」が早期離職の原因となっている場合は、先輩社員や直属の上司となる方を面接で同席させるのも良いでしょう。
同席することで、先輩社員もしくは上司と採用候補者は相性を測れるだけでなく、雰囲気を知ることができるので早期離職を防止することにつながるでしょう。
面接の場だと堅苦しくなる場合は、選考前のカジュアル面談や内定後のオファー面談で先輩社員や直属の上司とフラットに話せる場を設けると効果的です。新卒で総合職の場合は、可能であれば複数部署の先輩と面談を行うと良いでしょう。
入社後にできる防止対策
入社後の早期離職対策は、新卒・中途ともに新入社員が早期に活躍できるようにサポートを徹底することです。入社後は「なんか思っていたのと違った」などのギャップが起こりやすいため、一人立ちできるまではフォローしつつ、オンボーディングも行いましょう。
オンボーディングとは新たに採用した人材が早期に活躍できるようにサポートする施策のことです。研修制度はもちろん、教育担当とは別にメンター担当の配置や交流会などを行います。
新卒採用だとオンボーディングの導入が増えていますが、中途採用の場合は「即戦力」が誤った認識で浸透されており、入社したらそのまま放置されて早期離職につながるケースが多いです。
中途のように経験者採用でも、会社によってやり方や環境が異なるため、会社に慣れるまではオンボーディングを実施してフォローしていくと早期離職を防ぐことにつながります。
応募者や社員ひとりひとりの性格・価値観を可視化「ミツカリ」
ここまで早期離職を防止する対策は、採用活動前には「労働環境の改善」「待遇・評価制度の見直し」、入社前は「選考で価値観の確認+会社の説明」「先輩社員との面談」、入社後は「オンボーディングによるフォロー」とお伝えしました。
しかし、早期離職理由ランキングの上位に入っている「人間関係・社風との相性」は面接等で正確に把握することは難しいため、よりマッチング度を向上させたい場合は、客観的な情報やデータ分析が行える適性検査の実施を取り入れると効果的です。
弊社「ミツカリ」では、適性検査とエンゲージメントサーベイを用いて応募者や既存社員ひとりひとりの性格や相性を可視化し、採用・配属・マネジメント・従業員のエンゲージメントをカバーするHRTechサービスを提供しています。
採用候補者と既存の従業員に約10分の適性検査を受検いただくことで、会社や各部署、先輩方との相性をスコアで可視化できます。
また、受検者の性格や価値観をベースに入社後に起きそうなミスマッチ項目を洗い出し、面接でどのような質問をすればミスマッチを減らせるのかなどをアドバイスした分析シートも確認できます。<
入社後の満足度については、約1分程度で計測できるエンゲージメントサーベイ機能で可視化できます。「社員のワークエンゲージメント」「報酬」「人間関係」「職務適性」「コミュニケーション」の5つの要素から、新入社員・既存社員の現在の状態を計測できます。
エンゲージメントサーベイは、新入社員のみなどグループを指定して実施できるので、新入社員の変化にいち早く気づきフォローするきっかけにも使用可能です。
早期離職率の改善事例
「ミツカリ」を導入して離職率を改善した企業様を紹介します。
離職率を30%以上改善
一般貨物自動車運送事業、国際貨物輸送事業などを事業展開する株式会社ロジクエスト様の成功事例です。
【課題】 各地方ごとに採用活動を行っていたため、採用基準が曖昧かつ採用者のデータを集められていないことが課題でした。統率を取るためや社内のカルチャー分析を行うためにミツカリを導入してくださいました。
【ミツカリの活用】 各支店の既存社員にも「ミツカリ」を受検いただき、応募者がどの部署と相性が良いのかを比較検討し、活躍の可能性を可視化して使用いただいています。
【結果】 「ミツカリ」のマッチ結果をもとに採用候補者を選定した結果、導入前は36%だった早期離職率が2年後には5%まで減少しました。
離職率を10%以下に改善
リユース事業・不動産事業・Web制作事業など、さまざま事業を展開しているレクストホールディングス株式会社様の成功事例です。
【課題】 新卒採用の離職率は低い一方、中途採用は入社3年以内の離職率が3割と高い点が課題で、性格や社風とのミスマッチが要因と想定されていました。
【ミツカリの活用】 応募者・既存社員に「ミツカリ」を受検いただき、既存社員は部署ごとにグルーピングをして、応募者との相性を可視化し、中途採用ではチームリーダーとの相性も比較検討して採用活動を行っています
【結果】 相性をスコアで可視化して採用活動を行った結果、中途の離職率は9%以下と大幅に改善されています。
社内環境を整えて早期離職を防止しよう
早期離職が慢性化すると、採用コストの損失や主力の人材が育たない、企業イメージがダウンするなど問題が発生します。
早期離職を考えるきっかけは「給与・評価」「仕事へのやりがい」「人間関係・社風との相性」が上位を占めているため、面接で評価制度や昇給率、キャリアステップなどを説明して齟齬がないように対策しましょう。
また、人間関係・社風との相性は選考の過程のみで判断することは難しいため、客観的な情報やデータを可視化できる適性検査を活用すると、ミスマッチによる早期離職をより防止できるでしょう。
弊社「ミツカリ」では、適性検査とエンゲージメントサーベイを用いたHRTechサービスを提供しています。
採用候補者と既存社員に受検いただくことで、会社や部署、上司との相性をスコアで可視化できるので、人間関係や社風との相性を分析することができます。
無料トライアルも実施中ですので、ぜひこの機会にご検討くださいますと幸いです。
社内環境を整えつつ、部署や社風の相性も考慮して採用活動を行い、早期離職率の改善に努めましょう。
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