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若手人材の早期離職によるコストは600万円以上!損失額の内訳を知ろう

若手社員の退職が続くと、採用や研修などのコスト増加や、企業の成長・競争力の低下につながり損失が大きくなります。

とはいえ、自社の採用にかかるコストや退職された場合の損失額を把握しているものの、他社はどのくらいの損失額・コストがかかっているのか、目安が知りたいと思う人事担当者や経営者もいるのではないでしょうか?

今回この記事では、若手社員の早期退職が企業にもたらす具体的な損失額やコストを、新卒・中途にわけて紹介するととともに、早期離職コストを試算する方法も解説します。

この記事を読むことで、社員の早期離職による損失額やコストを明確に理解できます。記事内に「早期離職のコストを算出するシート」も用意していますので、コスト算出を簡略化させたい方はぜひ活用してみてください。

大卒に限っても年間4万人以上が早期退職している

早期離職は長年解決されていない課題です。厚生労働省の調査によると、大学卒の3年以内の離職率は20年以上3割程度で推移しています。

学歴別就職後3年以内離職率の推移
出典元『厚生労働省』学歴別就職後3年以内離職率の推移

少子高齢化によって生産労働人口の減少が懸念されていますが、大学生の数は年々増加しています。平成元年時点での大学進学率が25%程度だったのに対し、2018年では53.3%と2倍以上になっているためです。

卒業者数・就職者数の推移(大学)
出典元『Good Story』平成の30年間の「大学数」、「学生数」、「就職者数」の推移をデータで振り返る

実際にどれぐらいの大卒の新入社員がいるのでしょうか?リクルートワークス研究所の調査によると、24年卒の大卒における民間企業への就職希望者は45.1万人と23年卒よりも0.2万人増加しています。調査結果のある1987年卒の人数は26.0万人、2000年卒の40.3万人と比べても増加していることがわかります。

求人総数および民間企業就職希望者数・求人倍率の推移
出典元『リクルートワークス研究所』第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)

民間企業の就職希望者全員が就職しているわけではありませんが、就職率の推移を見ると90%以上で推移しています。計算すると、毎年約40万人の大卒者が新卒として民間企業に入社していると考えられます。

就職(内定)率の推移(大学)
出典元『文部科学省』令和4年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)

離職率の推移から考えると、入社後1年で仕事を辞める新卒社員は約4万人、3年以内で仕事を辞める新卒社員は約12万人もいる想定となります。新卒採用は毎年行われているため、21年卒、22年卒、23年卒が毎年10%程度離職することを考えると、大卒での入社後3年以内の離職者は毎年12万人いる計算となります。

採用活動にかけた時間や広告費、入社後の人件費などを考慮すると、非常に大きな金額が使われています。

早期離職は企業にとって無視できないコストとなる

大卒での入社後3年以内の離職者が毎年12万人いる一方で、離職者1人に対して多額の費用や時間がかかっています。

採用活動にかかる費用として、求人広告費や会社説明会の会場費用、面接官や人事担当者の人件費などがかかっています。1人あたりに計算するとそこまで多くないかもしれませんが、それでも数十万円はかかってきます。

入社後は、入社前よりも多くの費用が発生します。教育研修費や講師の人件費だけでなく、最も影響が大きい「新入社員の人件費(給与)」が発生します。額面で月給20万円だったとしても、社会保険費用などの会社負担額も別途発生し、雇っている限り毎月発生してきます。入社後3ヶ月で100万円を超えるため、採用活動にかけた費用よりも多くの費用が発生します。

退職後にも、欠員補充を目的とした採用活動費用が再度発生します。本来不要であった採用活動が発生することによる人事業務の圧迫、離職者が発生したことによる教育担当者や先輩社員のモチベーション低下など、時間・金銭的コストだけでない部分にも悪影響を及ぼします。離職者が担当していた業務が他の社員の担当となり、業務過多によるストレスでの健康被害やワークライフバランスの崩壊などで連鎖的に離職が発生してしまった場合には、組織が崩壊するきっかけにもなりかねません。

早期離職は企業にとって多額の損失となってしまいますが、具体的にはいくら程度の損失となるのでしょうか?今回は早期離職コストの内訳から、具体例を交えて計算してみます。

早期離職による損失額は【新卒657万円】【中途774.0万円】

結論から言うと、入社1年後に早期離職してしまった場合にかかる損失額は、新卒採用においては657万円、中途採用においては774.0万円となります。1社あたりではなく1名あたりの平均額です。この金額を高いと思うか、安いと思うかは人それぞれですが、早期離職の防止施策に300万円/年をかけて離職防止できれば、十分にペイできるラインだと思います。

この金額は官庁などが公表している平均値から算出しており、業界等によってこれよりも高額になる場合もあれば安価になる場合もあります。まずは参考程度の金額としてご認識頂き、より詳細な損失額の内訳について確認してみましょう。

採用活動時にかかるコスト【新卒72.6万円】【中途84.8万円】

採用活動時には、求人広告費用や説明会の運用費用、面接担当者の人件費などがコストとして計上されます。採用した人が離職しなくても発生する費用となりますが、離職者の欠員補充を行う際には、想定していなかった再度の採用活動が必要になり、二重でかかってしまうため、二重でかかってしまう部分を損失額としています。

就職みらい研究所の就職白書2019によると、新卒採用では72.6万円、中途採用では84.8万円が1人あたりの平均コストとして報告されています。


出典元『就職みらい研究所』就職白書2019

全体感を掴むには良いのですが、より詳細なコストについて、他の調査も参考にしながら確認してみましょう。

採用活動時の外部コスト【新卒入社53万、中途入社100万】

求人広告費用や会社説明会などの運営費用になります。就職情報誌や就職情報サイトへの情報掲載、入社案内やホームページなどのツール作成費用などが含まれます。

求人広告費は中途採用でも発生します。マイナビの調査では「保育・教育・通訳」が最も低い13.2万円ですが、その他の職種においては40万円を超えており、「コンサルタント・金融・不動産専門職」の高い専門性が求められる職種については約90万円となっています。これらを平均すると中途採用の求人広告費は約58万円となります。

中途採用者1人あたりの求人広告費をお答えください
出典元『マイナビ』中途採用状況調査(2018年)

中途採用では、転職エージェントの利用も一般的になっています。dodaの調査によると、転職エージェントやヘッドハンターとも活動すると回答した転職活動者は35.0%となっています。

転職意識調査
出典元『doda』ビジネスパーソン2,000人の転職意識調査

転職エージェントを活用して採用した場合、成果報酬として年収の3割程度が手数料になります。dodaの調査によると、dodaのエージェントサービスに登録している正社員約56万人の2022年平均年収データは403万円でした。投信/投資顧問や医薬品メーカーなどは平均600万円を超えており、ばらつきがあるため正確な見積もりは自社の業種や募集する職種別で確認すると良いでしょう。

参考URL『doda』平均年収ランキング 最新版

すべての中途採用者が転職エージェントを介した採用であることは稀です。一般的な考え方である、中途採用の35%が転職エージェントでの採用かつ平均年収である場合は403万円×35%×30%の約42万円が中途採用1人あたりの成果報酬費として考えられます。求人広告費と転職エージェント費を合わせると、約100万円が必要となります。

採用活動時の内部コスト【9.04万円】

採用担当者が業務に携わる時間です。1人採用するのに、どれぐらいの時間がかかっているのでしょうか?

1人を採用するための採用活動について逆算していきます。マイナビの調査によると、内定者1人を獲得するのに71.0人の応募が必要であると報告されています。

1人あたりの平均値
出典元『マイナビ』2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査

内定を出したら必ず入社してくれるわけではありません。マイナビの調査結果に、内定辞退率を推測できるデータがあります。内定辞退率のデータから平均を計算すると、30.1%となります。1人入社してもらうためには、1.43人の内定が必要です。逆算すると、1人入社してもらうためには101.5人の応募が必要となります。

現時点での内定辞退率
出典元『マイナビ』2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査

工数について計算してみましょう。応募学生から一次選考者を決めるために1人あたり10分かけるとすると、1,015分(71.0人×1.43×10分=16.8時間)が必要になります。1次選考を1人あたり15分、面接官二人で対応する場合は369分(8.6人×1.43×2人×15分=6.15時間)となります。一次選考通過率を50%として二次選考を1人あたり30分、面接官二人で対応する場合も369分(4.3人×1.43×2人×30分=6.15時間)となります。二次選考通過率を65%として、最終選考を1人あたり60分、面接官1人で対応する場合は168分(2.8人×1人×60分=2.8時間)となります。最終選考の通過率を50%として、内定者フォローを1人あたり120分、人事担当者1人で対応する場合は168分(1.4人×1人×120分=2.8時間)となります。

合計すると採用選考を行い1人採用するために2,089分(34.8時間)の時間が使われます。

101.5人の応募を集めるための時間も必要です。50人規模かつ1時間の会社説明会を自社の会議室で開催し、3人で対応する場合は360分(3人×60分×2回=6時間)が必要になります。会社説明会の資料作成で1時間、プレゼンの準備で1時間かけるとすると、480分(360分+120分=8時間)が必要になります。

1人を採用するためには42.8時間が必要となります。月の労働時間を200時間と仮定し、人事の平均年収が507万円から計算すると、9.04万円が必要な費用となります。

参考URL『doda』平均年収ランキング 最新版【職種別】

合同会社説明会に出展する、最終面接を役員が担当するなどの場合には、さらにコストが上昇していきます。

入社後(採用活動後)にかかるコスト【新卒526.1万円】【中途612.3万円】

早期離職における損失においては、入社前(採用活動時)よりも入社後に発生する費用の方が遥かに高額です。離職する時期によっても変動しますが、今回は1年で離職した場合で考えてみましょう。

雇用にかかるコスト【新卒488.1万円/年】【中途599.6万円/年】

雇用にかかるコストとして、人件費および給与外人件費が挙げられます。

人件費は給与のことです。新卒・中途なのか、どのような業界・業種なのかによって大きく変動します。dodaのエージェントサービスに登録している正社員約56万人の2019年平均年収データは403万円ですので、年間403万円が雇用コストとして必要になります。

参考URL『doda』平均年収ランキング 最新版

給与外人件費は、福利厚生費や法定福利費など、給与に含まれていない会社が負担する費用です。

社会保険料の会社負担額は給与の約15%程度となります。福利厚生は会社によって制度は様々ですが、従業員1人あたり月額113,556円となっています。

福利厚生費と現金給与総額
出典元『日本経済団体連合会』第 63 回 福利厚生費調査結果報告

年間で必要な雇用コストとしては、599.6万円(403万円+403万円×15%+113,556円×12ヶ月)となります。

新卒に関しても同様に計算が可能です。厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、新規学卒者の平均賃金は22.85万円/月となっています。

夏季賞与
出典元『厚生労働省』令和4年賃金構造基本統計調査

4月入社の新入社員であっても夏季賞与に関しても支給する企業が大多数です。産労総合研究所の調査によると、4月入社の新入社員にも何らかの夏季賞与を支給しているのは8割、平均額は89,334円と報告されています。

新規学卒者賃金
出典元『産労総合研究所』2022年度 決定初任給調査

冬のボーナスもあり、企業規模によっても金額が異なるかと思いますが、今回は1ヶ月分で考えてみましょう。そうなると新卒の年収は約306万円(22.85万円×12ヶ月+8.93万円+22.85万円)となります。

新卒入社で年間で必要な雇用コストとしては、488.1万円(306万円+306万円×15%+113,556円×12ヶ月)となります。

教育にかかるコスト【新卒入社38万円、中途入社12.7万円】

中途採用であっても、入社直後から活躍できる人はほとんどいません。他社で活躍していたとしても、自社の業務の進め方を理解する必要があるためです。

新卒向けの研修期間としては、平均2.9ヶ月間となっています。事務系などは短い傾向にありますが、技術系の専門性が求められる場合には長期化する傾向にあります。中途採用は新卒採用の研修期間よりも短い傾向にありますが、約1ヶ月程度は想定しておくべきでしょう。

参考URL『fabcross for エンジニア』新社会人の研修期間は平均2.9カ月。一般職種の59.0%が1カ月以内で通常業務へ

採用者10人あたり研修担当者2名(講師・サポーター)がかかわると仮定し、研修担当者の人件費として新卒であれば3ヶ月分、中途であっても1ヶ月分の人件費が必要となります。研修担当者1名が1ヶ月で担当できる受講者は5人であるため、新入社員1人に対して新卒採用では0.6ヶ月分(1ヶ月÷5人×3ヶ月)の研修担当者人件費、中途採用では0.2ヶ月分(1ヶ月÷5人)の人件費が必要となります。

人事担当者が教育研修を実施する場合、人事の平均年収が507万円であるため、新卒採用では1人あたり25.35万円(507万円÷12ヶ月×0.6ヶ月)が必要ですが、給与外人件費も想定すると、1人あたり38万円(25.35万円×1.5倍)が会社の負担額となります。中途採用の場合には、1人あたり12.7万円(507万円÷12ヶ月×0.2ヶ月×1.5倍)が必要となります。

参考URL『doda』平均年収ランキング 最新版【職種別】

離職後にかかるコスト【新卒58.3万円】【中途76.9万】

離職後であっても、残された業務の引き継ぎや離職率悪化による採用活動効率の低下などのコストが発生します。

離職後の引き継ぎにかかるコスト【新卒56万円】【中途74.6万円】

離職が発生したとしても、離職者が担当していた業務がなくなるわけではありません。場合によっては、周囲の従業員が残業して業務を行わなければならないこともあるでしょう。

内閣府によると、年収600万円の人が6ヶ月間休職した場合、周囲の従業員に与えるコストとして約224万円と報告されています。離職者が発生した場合、欠員補充を行う採用期間も必要となります。

計算を単純化するために、新卒年収を300万円、中途年収を年収400万円とすると、3ヶ月間不在になったコストは新卒で56万円(224万円×(年収額300/600)×(期間3/6))、中途で74.6万円(224万円×(年収額400/600)×(期間3/6))となります。

新規学卒者賃金
出典元『内閣府』企業が仕事と生活の調査に取り組むメリット

離職率悪化による採用活動の難化コスト【新卒・中途2.26万円】

退職後にかかるコストとして、企業価値毀損コストが挙げられます。これは離職率が高くなることで求人の応募者数が減少し、採用効率が低下してしまうコストになります。

1年以内の離職率が10%未満の場合は平均的な離職率であるため、採用効率の低下は考慮しないこととします。10%~20%では平均~平均より上程度であるため、採用効率を従来の75%と仮定します。

今回は平均的な企業で想定するため、離職後の採用効率が75%になる場合には、従来の採用活動人件費である9.04万円の25%、2.26万円が採用一人あたり増加する金額になります。

自社の早期離職コストを算出する方法を提供します

業界平均での早期離職コストの算出を行いました。人件費だけでなく、求人広告費等においても業界別に平均費用は異なります。正確に算出するためには、自社業界での平均費用を算出し、平均金額と比べて高いのか低いのか、改善できる点はないかを模索することが大切です。

早期離職コストを正確に算出するための数字は、厚生労働省などが公開している調査結果を用いる方法が有効です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、産業別・年齢別の給与・賞与額だけでなく、従業員規模別にも知ることができます。また雇用動向調査では、産業ごとの入職率や離職率が公開されています。これらの調査データもうまく組み合わせることで、業界平均の離職コストが算出できます。

ミツカリでは早期離職コストの実態を把握するために、早期離職コストを記事内で説明した内容から更に細分化し、公庁などのデータを用いて簡単に早期離職コストを計算するためのExcelファイルを作成しました。

業界や従業員規模、採用した社員の平均年収や1年目~3年目までの離職率などを入力することで、離職コストだけでなく、採用や教育にかかっているコストの内訳別にコストを算出できます。サンプルのスプレッドシート(閲覧のみ)をご覧いただき、もしご興味があれば無償で提供いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

早期離職コストを算出するシートサンプルを見る

ミツカリではより詳しく早期離職コストを算出するために、より具体的な早期離職コストを各社毎に算出するサービスの提供を開始いたしました。EXCELよりも更に詳しい早期離職コストを算出したい場合には、お気軽にお問い合わせください。

早期離職における損失は日本全体で年間13兆円!自社の早期離職を算定するサービスの提供開始

自社の早期離職コストを算出し、改善目標を立てよう!

早期離職によって会社は多大な損失を被ります。採用費用が無駄になるだけでなく、早期離職した社員の人件費は非常に大きな金額となります。人手不足だからといって早期離職しそうな人を採用してしまうと、採用しなかった場合よりも大きな損失となってしまうことを認識しましょう。

会社として早期離職防止に取り組むのであれば、まずは自社の早期離職コストがいくらなのか、現実的な目標として早期離職を何人防ぐのか、防いた損失額から改善施策にいくらまでの予算を割けるのかを具体的な数字として落とし込んでいくことが大切です。

早期離職が発生する理由は様々です。早期離職が既に発生している場合には、多く挙げられる理由から優先順位をつけて対策していくことが大切です。そのためには自社を客観的に振り返り、どのような改善施策が考えられるのか、そのためにどのような制度やツールを導入スべきなのかを予算や人的リソースとの兼ね合いから決定していくことが求められます。

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