

内定辞退を防止するために会社の雰囲気や人間関係の相性を活用しよう
目次
採用予定人数1人に対して、内定者数は1.85人が必要
日本の人材市場は、リーマンショック以降年々増加する求人倍率が示すように、現在「売り手市場」となっています。コロナ禍による一時的な需要減少で、有効求人倍率は低下しましたが、withコロナとなり需要が回復した結果、求人倍率はコロナ禍以前の水準に達するほど増加しています。多くの企業で人材不足が叫ばれる中で、必要人員の確保のための採用競争が激化の一途を辿っています。
リクルートキャリアによる調査によると、近年の新卒就活生の平均内定数は、約2.5社だという結果が報告されています。1人の就活生が実際に入社できる会社は当然1社しかないため、ほとんどの就活生が1社以上に対して内定辞退を行なっているという現状が見受けられます。
出典元『リクルートキャリア』【確報版】「2019年3月度(卒業時点)内定状況」就職プロセス調査(2019年卒)
一方で、内定辞退の現状を企業視点から見てみるとどうでしょうか?
ディスコの調査によると、内定辞退者が減ったと回答しているのは約2割の企業であり、内定辞退者が増えたと回答しているのは約4割の企業という結果が出ています。つまり、半数近くの企業で内定辞退者数の増加が実感されているということがわかります。
出典元『DISCO』2019年卒・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査
内定辞退が増加している現状において、新卒採用を実施する際は内定辞退を想定して、実際の採用予定者数より多めに内定を出す必要があります。
リクルートキャリア「就職白書2019」によると、企業では採用予定人数に対して約1.7倍の内定者を出しているという調査結果が出ています。しかし、実際に入社する内定者は採用予定人数の90%ほどであり、1.7倍もの内定者を出しても採用人数に達しないのが現状です。逆算すると、1名の採用をするためには約1.85人(1.672人内定出し/0.906人入社)に内定を出す必要があります。
採用面接の目的は、求職者の見極めを行うほかに、求職者を「口説く」という側面もあります。採用活動には膨大なマンパワーが要求されますので、内定を出すまでにかけたコストが全て無駄になる内定辞退は、会社にとって大きな損失になります。内定者フォローは、内定者が入社に至る確率を上げるために重要なのです。
「会社や社員の雰囲気」が会社選び・選考辞退の基準となる
内定者に実際に入社してもらうためには、適切なフォローが必要です。しかし「内定者フォロー」といっても具体的に何をすれば良いのでしょうか?
内定者フォローの施策を考える上で重要な参考になるのが、入社先の企業を選ぶ基準や、選考辞退を行った理由です。
人と仕事研究所の調査によると、志望企業の選定基準として「会社・社員の雰囲気」を最も重視する学生が多く、母集団形成において「会社や社員の雰囲気を伝える」ことは非常に有効だと考えられます。
出典元『アイデム 人と仕事研究所』2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査
人と仕事研究所の別の調査では、志望企業の「会社・社員の雰囲気」が合わないことを理由に、選考辞退する学生が多いことも挙げられています。
出典元『アイデム 人と仕事研究所』2017年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査
内定者フォローで重視すべき施策として、「会社や社員の雰囲気」が本当に合うのかを伝える必要があります。社内イベントへの招待など、接触していない社員との接触回数を増やす方法や、具体的に「会社や社員の雰囲気」と何が合っていて、何が合っていないのかをデータを用いて伝えることで、相互理解を促す方法が挙げられます。
2位「志望度があまり高くなかったから」と3位の「入社後に成長できるイメージを抱けなかったから」という理由については、採用面接で「見極め」よりも「口説き」の比率を上げる、内定者のリクルーターとして将来のキャリアをイメージできるロールモデルを選定し定期的な面談を行う、などの方法が挙げられます。
参考URL:株式会社きゅうべえのミツカリ活用事例
入社後の「職場の人間関係」に不安を抱える内定者が多数
内定者フォローの目的は、内定者が感じている入社への不安の払拭です。内定者が具体的にはどんな不安を抱えているのか、リクルートキャリアの調査を見てみましょう。
出典元『リクルートキャリア』【確報版】「2019年3月度(卒業時点)内定状況」就職プロセス調査(2019年卒)
リクルートキャリアの調査結果から、実に75%以上の就活生が入社にあたって何らかの不安を抱えていることが分かります。
就活生が抱える不安の内容については、1位が「職場の人間関係」、2位が「仕事の忙しさ」、3位が「自分の能力について」、4位が「職場環境や雰囲気について」でした。就活生の不安の上位を占める内容は、3位以外は会社内部の定性的な情報であることが分かります。
会社内部の定性的な情報については、究極的には「実際に働いてみないと分からない」のですが、定性的な情報に対する不安が揃って上位に挙げられた理由としては、求職者の「内定先の会社で働いている自分が想像できない」という不安が原因であると考えられます。
内定者フォローで内定者の不安を払しょくするためには「入社したらどんな生活を送ることになるのか」を具体的にイメージできるようにするため、定性的な情報を定量的な情報に落とし込んで伝える方法、現役社員との交流や入社体験などのイベントを設ける方法が効果的です。
「性格や価値観による相性」を内定辞退の防止に活用する
内定者のコミュニケーションに対する不安は、単に「職場の人間関係が良い・悪い」だけを気にしているわけではなく「現状では学生である自分が会社員の人間関係に馴染めるか」という、根本的な部分での不安を抱えていることが多くあります。
内定者の多くは、学生として過ごしてきた今までとは違う、社会人としてのコミュニティに属することになる不安を抱えています。人間が新しいコミュニティに馴染むためには「どれだけ自分と似ているか」「共感できるか」が大切であるため、心理学において人間関係を構築する根本となる「性格や価値観」が職場と合っているかという視点が重要になるのです。
性格や価値観のマッチングは、理屈の問題だけで片付けてはなりません。具体的なフォロー方法としては「内定者と考え方(性格や価値観)が類似しているリクルーターやメンターを選定する」方法が挙げられます。考え方が似ているリクルーターやメンターをあてがうことで「未来の自分」というロールモデルを内定者が直接見ることができるので、不透明さゆえに抱えていた不安に対する具体的なヴィジョンが得られて、内定者の「安心」につながります。
参考URL:マルハニチロ株式会社のミツカリ活用事例
性格や価値観、社風や人間関係といった定性的な要素は、数字に落とし込んでの客観的な理解が難しいですが、内定者の意思決定に極めて大きな影響を及ぼします。内定辞退の防止につながる効果的な内定者フォローを行うためには「内定者が共感できる相談役」を内定者フォローの人員として用意することが大切です。
- 性格・価値観
- 社風・人間関係
- hrテック・ピープルアナリティ
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