エンゲージメントサーベイは匿名と実名どちらが良い?特徴を比較
「サーベイを匿名で行うべきか、実名で行うべきか迷っている」
「導入前に「匿名」と「実名」、それぞれの良い点・悪い点を理解したい」
エンゲージメントサーベイの導入を検討しているものの、匿名と実名どちらが適しているか迷っている人事担当者や経営者は多いのではないでしょうか。
匿名形式・実名形式、それぞれに特徴があるため、自社の目的に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。
当記事では、エンゲージメントサーベイの「匿名」「実名」それぞれの特徴や懸念点を解説するとともに、目的に応じた選択方法を、エンゲージメントサーベイを開発・提供している『ミツカリ』が紹介します。
「自社に最適なエンゲージメントサーベイを導入したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
エンゲージメントサーベイの基本的な知識について知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
目次
匿名のエンゲージメントサーベイが持つ特徴
まずは匿名型のエンゲージメントサーベイの特徴を3つ解説します。
従業員の心理的負担を軽減できる
匿名のエンゲージメントサーベイは、基本的に管理者であっても回答者を特定することができません。そのため、従業員も回答内容がバレる心配をせずに、安心して回答できます。
ただし、一部のエンゲージメントサーベイでは匿名形式を謳いながらも、仕様によって回答者が判明するケースもあります。
例えば、簡易画面で「誰が回答したか」を照合できる機能がある場合や、回答時に収集したログデータを管理者が確認できる場合などです。
一見、従業員から本音を収集しつつ、一人ひとりに適切な対策ができるので会社側からすると便利な機能です。しかし、従業員に仕組みがバレた場合は「信頼関係が損なわれる」「サーベイへの協力を得られなくなる」などのリスクがあります。
従業員のエンゲージメントや満足度を向上させる取り組みが、逆効果となる可能性があるため、導入する際はツールの仕様を入念に確認しましょう。
本音を引き出しやすい
匿名形式のエンゲージメントサーベイは、従業員が「匿名ならどんな回答をしてもリスクがない」と考えるため、本音を引き出しやすい特徴があります。
例えば、管理職とのコミュニケーション状態を把握するために「上司の指示は適切と感じますか?」という質問があったとします。
実名形式の場合は、上司にバレる心配や評価を気にして本音を隠しがちです。しかし、匿名形式であれば「一方的な指示が多い」「常に不機嫌で相談しにくい」など、従業員の本音を引き出しやすくなります。
正確な回答データをもとに「管理職に対して、コミュニケーション研修やマネジメント研修を実施しよう」などと、会社側も課題に応じた具体的な対策を立てることが可能です。
分析に必要なデータが集まりやすい
匿名形式のエンゲージメントサーベイは心理的な負担が軽減されるため、従業員の参加ハードルが低くなります。その結果、さまざまな意見が集まり、社内の現状を把握するのに十分なデータを収集できます。
例えば、十分なデータから分析して「報酬面に不満が多い」という傾向が明らかになれば、自社で優先的に取り組むべき施策が見えてきます。的確に組織改善の施策を実行できれば、従業員のエンゲージメント向上にもつながるでしょう。
匿名のエンゲージメントサーベイが持つ懸念点
匿名のエンゲージメントサーベイは「従業員の心理的負担を軽減できる」「本音を引き出しやすい」などの利点があります。しかし、組織や運用の観点からみたときに注意すべき懸念点も存在します。
ここでは、匿名形式のエンゲージメントサーベイがもつ懸念点を2つ解説します。
個々の社員へのフォローが難しい
匿名形式のエンゲージメントサーベイは回答者を特定できないため、従業員が抱える具体的な課題や悩みに対してのフォローが難しくなります。
例えば「人間関係の数値が低い」という結果でも、それがどの部署やチームの問題であるのか、あるいは特定の従業員がハラスメントを受けている個別のケースなのかを詳細に判断ができません。
社内に人間関係の問題があることはわかったものの、全容が見えないため、具体的な施策が実行できずに改善につながらない場合があります。
匿名形式の場合は、エンゲージメントサーベイの結果を見る経営者や人事担当者にも、回答を読み解く洞察力や慎重な判断緑も求められるでしょう。
深い課題の発見が難しい
匿名形式のエンゲージメントサーベイは、従業員が本音を伝えやすい反面、回答内容が表面的な問題で終わる場合があります。
特に自由記述形式の回答では、従業員が身バレを防ぐために詳細な内容を控えるケースもあり「どんな状況だったのか」など、課題の核心に迫る情報が得られにくくなります。
例えば、自由記述の回答で「上司の対応に不満」という回答があった場合でも、原因が以下のように多岐にわたる可能性があります。
- 上司のマネジメントスキルの不足
- コミュニケーションミス
- 上司の言動や行動がハラスメントと感じた など
しかし、具体的な状況が記載されていなければ、どのような問題があったのかを正確に特定することが難しく、根本的な解決につなげることが困難になります。結果的に会社として有効な施策を実施できず、従業員の離職につながるリスクがあります。
実名のエンゲージメントサーベイが持つ特徴
次は実名形式のエンゲージメントサーベイが持つ特徴を3つ解説します。
従業員一人ひとりにフォローができる
実名形式のエンゲージメントサーベイは回答者が特定できるため、従業員一人ひとりが抱える課題や悩みに対して的確なフォローが可能です。
例えば「人間関係」の数値が低下していた場合、早急に1on1や面談を実施して、状況を詳しくヒアリングできます。個別面談の実施により、問題の背景を正確に把握したうえで、部署異動やチーム編成の見直しなど、具体的な対策を講じることができます。
適切なフォローを実施することで、従業員が抱いている悩みや不満を解消し、離職防止やエンゲージメントの向上につながります。
具体的な改善施策の策定が可能
実名形式では、従業員一人ひとりの回答結果が把握できます。そのため、課題の原因を深掘りし、より効果的な改善施策を実施することが可能です。
例えば、ある従業員の「職務適性」の数値が急激に低下した場合、以下のような仮説を立てることができます。
- 役職を任された後に生じた課題か
- 新しい業務を割り振られたことによる負担か
- 部署異動後のストレスか など
仮説を基に面談を行うことで、従業員の悩みをよりスムーズにヒアリングできます。
さらにヒアリングした内容をもとに「業務の割り振りを再検討する」「業務が適正に合わないなら、特例で部署異動を行う」など、具体的な改善策の策定も可能となります。
面談を通じて従業員の悩みの背景を掘り下げることで、課題解決のための手がかりを得ることが可能です。結果として、従業員に寄り沿った対策を実施でき、職場環境の改善につながります。
オープンな関係を構築できる
実名形式であれば、エンゲージメントサーベイの結果をもとに従業員に寄り添ったフォローが可能です。
例えば、エンゲージメントサーベイの結果をもとに、会社が従業員の不満や課題を迅速に対応する姿勢を見せることで、従業員は会社に対して「自分たちの声が反映されている」「悩んだときに助けてくれる」などの信頼を抱くようになります。
ニーズに沿った改善施策の取り組みにより、従業員はエンゲージメントサーベイの回答に協力的になり、日頃から意見や感じていることを発信するようになります。
会社と従業員との間でオープンな関係が築かれることで、会社全体のコミュニケーションが活性化し、チームとしての一体感も生まれます。その結果、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上し、組織全体のパフォーマンスも高まるでしょう。
実名のエンゲージメントサーベイが持つ懸念点
実名形式のエンゲージメントサーベイは「従業員個々の状況を把握しフォローができる」ことに強みを持ちます。しかし、従業員や会社の観点から見ると懸念点もあります。
ここでは、実名形式のエンゲージメントサーベイが持つ懸念点を2つ解説します。
心理的な負担が増す
実名形式のエンゲージメントサーベイは回答内容を紐づけられるため、従業員にとって心理的な負担が増える可能性があります。
特に記述形式の回答ですが、例えば「上司との関係がうまくいっていない」や「職場環境に不満がある」などのネガティブな意見を正直に書いた場合、今後の評価や上司との関係に影響するのではないかという不安を抱きやすくなります。
心理的負担が強いと、従業員がサーベイ自体をストレスと感じるようになり、回答率が低下するリスクがあります。その結果、エンゲージメントサーベイ本来の目的である従業員の声を組織改善に活かすという効果が薄れてしまう可能性があります。
正直な意見を集めにくい
実名形式のエンゲージメントサーベイは、従業員が特定されることへの懸念から、率直な意見を控えるケースが多いです。
例えば「職場の人間関係に問題がある」と感じていても、実名形式では「悪くはない」といった当たり障りのない回答に留めることがあります。
特に、上司や会社に対して批判的な意見を述べる場合、職場内での自分の立場や評価への影響を考えて慎重になるため、当たり障りない回答をすることがあります。
正直な意見が集まらないと、サーベイの結果から組織の課題を正確に反映しにくくなり、データの信頼性が低下します。結果として、組織課題を把握し、適切な改善施策を実行することが難しくなるリスクがあります。
匿名?実名?どちらを選ぶべき?
結論からいうと、エンゲージメントサーベイは目的に応じて、匿名形式か実名形式かを選択することが重要です。
- 「従業員の率直な意見から、まずは組織課題のみを把握したい」→匿名
- 「従業員個々の状態を把握・フォローし、離職防止やエンゲージメント向上につなげたい」→実名
それぞれの形式がどのような目的に適しているのか詳しく解説します。
匿名形式:全体的な課題を把握したい場合に最適
「匿名」は、従業員が心理的な負担を感じずに率直な意見を述べやすい形式です。そのため、次のような目的の場合に効果を発揮します。
- 会社全体の課題を把握したい
- ハラスメントなど、敏感なテーマに関する意見を収集したい など
回答者を特定できないぶん従業員へのフォローは難しいため、まずは組織全体の傾向を把握するなど短期的な利用に適しているといえるでしょう。
実名形式:従業員フォローと具体的な改善策に最適
「実名」は、従業員一人ひとりの状況を把握し、必要に応じてフォローや改善施策を行える形式です。そのため、次のような目的の場合に効果を発揮します。
- 中長期的に離職防止やエンゲージメントサーベイ向上を目指したい
- 従業員の状態を把握し、具体的な施策を策定したい
多くの企業はエンゲージメントサーベイを「離職防止」や「エンゲージメント向上」のために導入するケースが多いです。そのため、迷った場合は「実名形式」を選択すると良いでしょう。
また、匿名形式でサーベイを開始し、後に実名形式に切り替えるとなった場合、従業員への説明や説得が必要になることがあります。最初から実名形式を導入することで、運用が円滑に進みやすくなります。
エンゲージメントサーベイの選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>【関連記事】エンゲージメントサーベイの選び方を解説!失敗しないための基準とは
従業員が本音を伝えやすい『ミツカリエンゲージメント』
弊社ミツカリでは、実名形式のエンゲージメントサーベイ『ミツカリエンゲージメント』を提供しています。
7問約1分で、従業員の離職やモチベーションにつながる「エンゲージメント」「職務適性」「報酬」「人間関係」「コミュニケーション」の5つの要素を数値で可視化します。
ここでは、代表的な機能や特徴を3つ紹介します。
選択式の回答で心理的な負担を軽減
『ミツカリエンゲージメント』は実名での実施ですが、回答形式は選択式です。そのため、文章を入力する手間がなく、従業員が抵抗感を抱かずに、自分の気持ちに近い感情をスムーズに選択できます。
7問すべてが選択式のため、従業員への受検負担も軽減できます。別で調査したい内容があれば、カスタマイズ機能で設問を増やすことも可能です(追加質問は記述式となります)。
会社・個人・部署など多角的な現状分析が可能
『ミツカリエンゲージメント』は、会社全体や個人の課題を把握するだけでなく、タグ機能を活用することで「部署・チーム」「新卒・中途」などにグルーピングしてサーベイの実施や分析が可能です。
「特定の部署・チームの離職率が高いから原因を明確にしたい」
「地方にある支社(または店舗)の状態も把握したい」
などのニーズにも対応可能です。
サポート体制も充実
導入後は1企業に1人専任の担当者がつきます。サーベイの使い方や疑問点への対応はもちろん、分析のやり方や施策立案に困った場合も担当者に相談が可能です。
専任の担当者がつくことで「導入してもうまく使いこなせない」「結局やりっぱなしになっている」などの課題を防ぎ、エンゲージメントサーベイを効率良く活用できます。
他にも多数の機能やサポート体制を用意しております。無料トライアルも実施中ですので、サービスの詳細についてはサービスページをご覧ください。
エンゲージメントサーベイ活用の成功事例
実名形式の『ミツカリエンゲージメント』を導入して、自社の課題解決に成功した企業の事例を2社紹介します。
一建設株式会社
「分譲住宅」や「注文住宅」など、住まいに関する事業を展開する一建設株式会社様の成功事例です。「課題」「ミツカリ導入の理由」「効果」の3つにわけて紹介します。
課題
全国に展開する住宅メーカーのため、新卒・中途ともに140ヵ所以上ある営業所に分散して働きます。営業所によって個性や雰囲気が異なるため、うまく馴染めずに若手が離職していることが課題でした。
ミツカリ導入の理由
- 管理画面がシンプルで使いやすかった
- 上層部に説明がしやすい設計だった
- 7問と社員に負荷がかからない点も魅力だった
- データ整理や分析も人事側で操作しやすかった
効果
短期間で辞めてしまう人が減り、6.5年だった平均在職年数も、今では8.7年に伸びています。
エンゲージメントサーベイを実施したことにより、社員の不満要素が明確になったり、上司によってコミュニケーションのスコアにバラつきがあったりしたので、人事側で新たな施策を立てるきっかけにもなっています。
株式会社中田製作所
冷間ロール成形事業に携わり、多くの新技術を開発している株式会社中田製作所様の成功事例です。「課題」「ミツカリ導入の理由」「効果」に分けて紹介します。
課題
今までは社員のストレスチェックや面談を通じて、ネガティブな要素をチェックしていました。しかし、「熱中」や「没頭」といったエンゲージメントに関連するポジティブ要素への意識が低かったことから、社員が仕事に熱中できる職場を作りたいという想いがありました。
ミツカリ導入の理由
- 7問と設問が少ないこと
- 手軽に答えられるためプレッシャーがないこと
- 計測できる項目も5つとシンプルで社員の変化を把握しやすい
- 社員の予兆を把握しやすい
効果
半年に一度行っている社員との面談で、エンゲージメントサーベイの結果を活用し、社員と深い会話ができています。
改善施策を実施しても数値が下がることがありますが、社員の声を聞きながら原因を把握することで、より深く考えるきっかけにもつながっています。
まとめ
エンゲージメントサーベイの匿名と実名のそれぞれの特徴や懸念点を解説しました。
結論として、社員一人ひとりに深くフォローしたい場合は「実名」、組織全体の課題の可視化のみを目的とする場合は「匿名」がおすすめです。
それぞれに良い点・懸念点があるので、自社の目的に応じてエンゲージメントサーベイを選定しましょう。
弊社ミツカリでは、7問約1分で社員の離職やモチベーションに関連する5つの項目を可視化できる『ミツカリエンゲージメント』を提供しています。
実名タイプのサーベイですが、選択式の回答により心理的な負担を軽減し、さらに会社・社員・部署やチームなど、さまざまな角度での分析が可能です。
また、専任の担当者によるサポート体制にもチカラを入れていますので、導入度の活用をしっかりとフォローします。
無料トライアルも実施中ですので、興味がある方はぜひサービスページをご覧ください。
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