

配属における適材適所とは?離職率改善につながる配属方法について
配属における「適材適所」の実現状況とは?
採用のゴールは、人材を獲得することではありません。新たに入社した社員が自社に定着し、会社に利益をもたらす働きができるように成長するまでのことも考えなければなりません。
新入社員の定着や成長ために重要になるのが、配属の判断です。新入社員が持つ能力やポテンシャルを最大限に活かせる環境に配置できるかどうかは、人事担当者の腕の見せ所です。
実際の現場では「適材適所」の配属はどのくらい達成できているのでしょうか?
リクルートの「現在の会社・職場・上司は合っていると思うか」というアンケート調査によると、会社・職場・仕事では約7割の人材が合っていると思っていることが報告されています。
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』一般社員、管理職492人に聞く、従業員自身が認識する「適材適所」の実態
半数以上の人材が現在の会社や職場、仕事について「合っている」と答えた一方で、上司が「合っている」と答えた比率は他の項目より1割ほど低い結果となりました。
全体的に「合っている」という回答が多く見られますが、実際は「合っていない」と感じた人々はすでに早期離職をしてしまっている可能性が考えられます。職場とのミスマッチは、早期離職の主たる原因だからです。
リクルートの同調査では「適材適所のために重視しているもの」についてのアンケートも行なっています。
出典元『リクルートマネジメントソリューションズ』一般社員、管理職492人に聞く、従業員自身が認識する「適材適所」の実態
適材適所のために重視しているものについて、一般社員・管理職ともに最も高いのは「人間関係の良い職場で働けること」という結果が出ており、適材適所を実現するためには既存社員と新入社員の人間関係を考慮することが最も重要であるとわかります。
職場の人間関係を良好にする・良好に保つためには、何をすればよいのでしょうか?
下の表は「人と環境の適合と関連する理論・モデル」の対応を示しています。RMS Messageで公開されている下表のデータによると、人材の適材適所を実現する研究では「スキル」よりも「価値観や欲求」の方が人と環境の適合と関連すると考えられていることがわかります。
出典元『RMS Message』適材適所 偶発をデザインする
以上のデータから、適材適所の人事配属を行うためには、社員の「できること」だけではなく「価値観や欲求」を軸としたマッチングが大切になると言えます。
配属において「適材適所」が重要な理由とは?
そもそもの話になりますが、なぜ「適材適所」が配属における重要なキーワードになるのでしょうか?
適材適所について考える上で知っておきたいのが、Googleによる労働生産性向上プロジェクトです。Googleは、2012年から数百万ドルの資金と4年の歳月を費やして様々なデータの採取や検証を行い「成功するチームの要因」を特定しました。成功するチームの要因の中で、特に重要とされるのが「心理的安全性」という概念です。
心理的安全性が高い状態とは「チームメンバーがリスクを取ることを安全だと感じ、お互いに対して弱い部分もさらけ出すことができる」状態のことを意味します。
仕事で成功をおさめるためには、リスクを取ってでも挑戦しなければならないシーンが度々訪れますが、重要なのは「リスクをとることができる環境を作る」ことです。「チームの中でミスをしても、ミスを理由に非難されることはない」というお互いの信頼関係がなければ、成功のためにリスクを取ることができなくなってしまいます。
心理的安全性が高いチームは、労働生産性が高いだけでなく、離職率が低く個性を活かしやすいことも大きなメリットとして挙げられます。配属における適材適所とは、人材の能力だけを基準に配属先を判断するのではなく、人材が配属先で心理的安全性を保てるかどうかを考えることが大切なのです。
「上司との相性が良い」ことがもたらすメリットとは?
リクルートによるアンケート調査でも指摘した通り「現在の会社・職場・上司は合っていると思うか」という質問では、他の項目に比べ「上司」については「合っている」という回答率が低く出ていました。上司と合っていると答えた人が少ないことから、新入社員の職場環境のマッチングでは、特に上司との相性を慎重に検討しなければならないことが示唆されています。
上司との相性が良い場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
TINYpulseの調査によると、従業員は「自分の働きが認められている」と感じるほどモチベーションが上がる傾向にあることが報告されています。
同調査では従業員が上司を高く評価することで、上司だけでなく会社への貢献意識も高くなることも言及されています。
ベインの調査によると、従業員のモチベーションは生産性に大きな影響を与え、意欲あふれる従業員は意欲のない従業員の2倍以上の生産性があることが報告されています。
出典元『プレジデントオンライン』”3人に1人”の不満社員を奮起させるには
ギャラップの調査によると、日本は「熱意ある社員」が6%しかいないことが指摘されています。6%という数字はアメリカの32%に比べて1/5以下という割合であり、調査対象の139カ国中132位と最下位クラスでした。
日本の「熱意ある社員」が非常に少ない原因について、ギャラップ会長は「主な原因は上司にある」と言及しており、社員のモチベーション・業務生産性は上司との相性に大きく左右されることが分かっています。
参考URL『日本経済新聞』「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査
適材適所の配属で重要になる「信頼できる上司」とは?
適材適所の配属は、社員のスキル・スペックだけでなく配属先の部署、とりわけ上司との価値観のマッチングが重要だと述べてきました。では「信頼できる上司」とはどんな存在なのでしょうか?
カオナビの調査によると、60%以上の人が「上司からの理解が仕事のパフォーマンスに良い影響がある」と考えていると報告されています。
出典元『カオナビ』約 6 割の社員が「上司からの理解が不十分」と回答
前章でも「上司からの理解」は「従業員のモチベーションアップや生産性の向上につながる」という調査結果を紹介しましたが、実際のところ上司は部下の個性をどれだけ理解できているのでしょうか?
カオナビの同調査で「上司があなたの個性等を理解しているか」という質問を行なったところ「理解している」と答えた人は約40%程度でした。
出典元『カオナビ』約 6 割の社員が「上司からの理解が不十分」と回答
部下のパフォーマンスを引き上げるためには上司の「理解・承認」が重要であることが明白であるにも関わらず、現場では上司の「理解・承認」が上手く行われていないという問題が生じています。
上司が部下に対して理解したいこと、部下が上司に対して理解してほしいことの比較では、上位3項目の内容は同じである一方で、順位が異なります。
出典元『上司と部下の間にある二つのすれ違い~「上司と部下の関係性」に関する調査結果2~カオナビHRテクノロジー総研調査レポート』約 6 割の社員が「上司からの理解が不十分」と回答
業務への希望・不満を理解するためには、1on1などの定期的な個人面談が有効です。定期的な面談スケジュールを組み、部下の評価のためでなく部下の育成の機会として、気軽に話せる環境・関係づくりが有効です。
性格については、採用選考時に性格適性検査を実施しているのであれば、お互いの結果を持ち寄り、相互理解を行う機会を作ることも有効です。一方で、仕事重視の上司がプライベート重視の価値観を理解するのは労力がかかるため、配属時になるべく性格・価値観が類似した上司を選定する方法が望ましいでしょう。職務内容の影響で、類似する上司を選定するのが難しい場合には、お互いの性格や価値観がどのように違うのか、上司も部下も納得できるまで話し合う機会を設ける方法もあります。
これまでの業務については、職務経歴書などをベースに、どのような業務をこなしてきたのか、具体的なエピソードを聞く方法が挙げられます。どのような業務が得意・不得意なのかを理解し、指示する業務によって適切なフォロー体制を構築することもできます。中途採用で職務経歴書の提出を必須としているのであれば、採用選考だけでなくマネジメントにも活用することで、人材情報の有効活用が行えます。
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