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母集団形成とは?採用戦略の基本的な手順や手法を解説

採用活動の成功は、集めた母集団の数や質によって大きく変わるので「母集団形成」は最も重要なプロセスといえます。しかし、以下の悩みを抱える人事担当者は多いのではないでしょうか?

  • 自社が求める人材がいない…
  • 求人を出しても応募が集まらない
  • そもそも適切な採用要件の作り方がわからない

そんな方のために、この記事では母集団形成の基礎知識をはじめ、実践で活用できる母集団形成を成功させるステップ新卒・中途採用別のポイント、手法などを紹介します。

この記事を読むことで、自社でどの手法を使って母集団形成を行うことがで適切かをイメージできるようになります。ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

母集団形成とは?

採用領域における母集団形成とは「自社に応募またか興味関心のある求職者の集団を形成する」ことを指します。

しかし、ただ闇雲に応募者を集めれば良いわけではありません。たくさんの応募を集められたとしても、自社の定める条件にマッチした人材(質)でなれければ、採用目的は達成されません。

そのため、「量」と「質」の両方を満たす母集団を形成していくことが採用活動成功の鍵となります。

母集団形成が重要視されている理由

自社の定めるターゲットにマッチした人材を採用するためにも、母集団形成は重要です。そのため、近年では、母集団形成の重要性が高まっています。ここでは、母集団形成が重要になっている理由を解説していきます。

少子高齢化などによる働き手の減少

数年前は求人媒体やハローワークに求人を出せば、応募者が集まるような時代でしたが、近年は少子高齢化による働き手の減少などによって、求人を掲載しても応募者が集まりにくくなっています。

帝国データバンクの調査によると、従業員が不足している企業の割合は増加傾向にあり、正社員は2024年1月時点で52.6%と過半数の企業で人手不足となっています。

人手不足の割合 月次推移

出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査

さらに厚生労働省のデーターによると、2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。働き手である生産年齢人口(15歳~64歳)で見ていくと、2040年に6,213万人だった人口が、2070年には4,535万人に減少していることがわかります。

日本の人口推移

出典元『厚生労働省』将来推計人口(令和5年推計)の概要

人口の減少背景も踏まえ、実際に有効求人倍率も1.29倍(令和5年7月時点)と、倍率が1.0以上を推移しています。

求人、求職及び求人倍率の推移(令和5年7月時点)

出典元『厚生労働省』求人、求職及び求人倍率の推移

日本では2012年以前は買い手市場で、企業側が有利な時期が続きました。当時は求人を出せば求職者が集まったため、母集団形成の必要はありませんでした。

しかし、現在は少子高齢化による働き手の減少、働き方改革、イノベーションの進化による新たな人材確保、売り手市場などによって、採用市場が激化しています。自社が求める人物像にマッチした人材を確保する方法として、母集団形成が重要視されています。

早期離職の防止

母集団形成がうまくできなければ「少ない応募者から採用者を決める」「採用要件と多少のズレがあるが採用する」「他の候補者と比較すると、優秀なので採用する」などの事態が生じます。

採用要件に満たないまたは期限に合わせて人材を採用すると、入社後にミスマッチが起こり、早期離職につながります。

以下、厚生労働省の調査を例にみてみると、若手の3年以内の離職が3割以上を推移していることがわかります。

新規学卒就職者の離職率

出典元『厚生労働省』新規学卒就職者の離職状況

せっかく採用をしても、3年以内に退職されては採用の時間とコストが無駄になるため、母集団形成が注目されています。

母集団形成を行うメリット

採用活動で母集団形成が重要視されていると伝えましたが、母集団形成を意識することで具体的にどのようなメリットがあるのかを解説していきます。

計画的な採用活動の実現

母集団形成を行うことにより、ターゲットと目標人数を明確化し、計画的な採用活動が可能となります。

例えば「前回の募集でも応募がかなりあったから今回も大丈夫」「応募してくれた中から採用しよう」と、曖昧なままで採用を決めてしまうと、採用人数を確保できなかったり、今回の募集で求めている人物像にマッチしていない人材を採用してしまいます。

しかし、母集団形成を行うことで、採用人数から逆算して母集団人数の予測や、選考の中で必要なスキル・人柄などを見極めての人材採用が可能となります。

採用コストを抑えられる

母集団形成をもとに採用手法を考えることにより、採用コストを抑えられます。母集団形成を行わず、とりあえずで求人媒体等に募集をかけることになります。

結果的に「応募が集まらずに再募集することになった」「応募人数は集まったが採用ができなかった」となり、工数と採用コストが増えただけとなってしまい損失につながります。

採用要件をもとに「求人媒体で〇人、エージェントで〇人」などと採用手法を考えて、計画的に母集団形成を行うことにより、応募人数をコントロールし無駄なコストを抑えることができます。

ミスマッチの防止

母集団形成が成功すれば、適正な応募数の中から自社に求めるターゲットにあった人材を採用できます。

選考の中で経験やスキル、人柄・価値観、カルチャーフィットなどを、採用要件をもとに慎重に判断して採用できれば、入社後のミスマッチを防止でき、定着率の向上につながります。

母集団形成ができていないと、限られた人数の中から採用者を決めることになるため、ターゲットと異なる人材をやむを得ず採用することとなり、入社後のミスマッチにつながりやすくなります。定着率が課題となっている場合は、母集団形成を行った方がメリットが大きいといえるでしょう。

母集団形成を成功させるステップ

採用活動における母集団形成を成功させるステップを紹介していきます。

採用の目的を明確化

まずは人材を採用する目的を明確にしましょう。例えば、以下の理由は新卒採用が最適となります。

  • 将来の幹部候補を育てたい
  • 幅広い業務に対応できる柔軟性と視点をもった人材確保
  • 若手の労働力を確保したい など

一方で以下が理由の場合は、中途採用が最適といえるでしょう。

  • 欠員が出たため、即戦力の人材が必要
  • 新事業、新サービス展開のために専門性の高い人材がほしい など

採用の目的を明確にすることで、自社で求める人物像をイメージすることができます。また、人物像が明確になることで、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

採用ターゲットを定める

採用の目的を明確にしたら、次は採用ターゲット(採用要件)を決めましょう。採用ターゲットの決め方は主に以下の2種類です。

  • 活躍している社員をモデルにターゲットを定義する(帰納的アプローチ)
  • 自社の展望から逆算して足りない人物像を定義する(演繹的アプローチ)

ターゲットを明確にする場合は、トップダウンによる全体的な視点と、ボトムアップによる現場の視点の両方を考慮して、バランスの取れた採用ターゲット(採用要件)を検討することが鍵となります。

採用予定数の決定

採用ターゲットが決まったら、採用予定数を検討し母集団の目標値を検討していきます。採用予定数は以下の5点から決めると良いでしょう。

  • 会社の事業計画
  • 採用実績
  • 自社の人員構成(年齢、雇用形態、職種など)
  • 現場のニーズ
  • 経営者層のニーズ

会社の事業計画をもとに、3年後・5年後の人員構成を視野に入れながら採用予定数を定めると良いでしょう。

母集団の目標値を設定する

採用予定数が決まったら、逆算して母集団の目標値を明確にしましょう。

例えば「採用人数が2人であれば、内定通知は5人には出して、そのためには最終選考に通すのは20人程度かな」など、採用フローごとに目標値を設定していき、母集団形成の目標値を決めましょう。

母集団は多すぎると選考に工数が取られて人材の見極めが難しくなり、逆に少なすぎると目標人数の採用ができなくなります。事前に採用人数から母集団の目標値を決めておくことで、適切な母集団の中で採用活動が行えます。

採用スケジュールの策定

いつまでに採用を行う必要があるのか期限を確認後、内定・面接・書類選考・求人掲載と逆算して採用スケジュールを立てましょう。また、求職者の動きが少なくなるゴールデンウイーク、お盆前、年末年始なども考慮して採用スケジュールを立てていくと良いでしょう。

アプローチ手法の選定

採用スケジュールを立てたら、次は母集団形成のアプローチ手法を決めていきます。採用手法は「年齢」「募集する職種」「雇用形態」「新卒か中途」など、ターゲットによって異なります。

例えば、新卒の正社員であれば「新卒用就職サイト」「合同説明会」などがあげられ、即戦力の中途採用であれば「転職サイト」「エージェント」などが最適な手法です。採用手法によってコストも異なるので、予算も考慮して選択すると良いでしょう。

採用活動を実施

アプローチ手法を決めたら、求人原稿を作成して募集を開始します。求職者は掲載された求人内容をもとに応募を判断するため、「自社の雰囲気」「募集の詳細」「キャリアパス」「給与・福利厚生」など、競合他社との差別化と採用ターゲットを意識して作成しましょう。

詳細に求人内容を記載することで、求職者は入社後のイメージがつきやすくなります。

採用活動の振り返りと改善

採用活動を進めていくと問題点や課題が見えてくるので、適宜振り返り・改善を行いましょう。

振り返る内容は、以下のような数値化できるデータを抽出すると良いでしょう。

  • アプローチ手法ごとの応募者数
  • 選考フローごとの通過率
  • 発生したコスト
  • 内定者数
  • 辞退者数
  • 募集から内定受諾までの期間 など

また、募集をかけた求人内容で「どんな人柄の方が多かったか」「採用ターゲットで定めたスキルをもった方からの応募はあったか」なども振り返り、今後の求人原稿の参考や達成できなかった要因を洗い出し改善していきましょう。

【新卒・中途採用別】母集団形成のポイント

母集団形成を効果的に行うために、新卒採用・中途採用にわけてポイントを紹介していきます。

新卒採用

新卒採用における母集団形成のポイントは「学生のスケジュールを踏まえた採用計画」と「選考を通じて学生の興味関心を育てる」の2点です。それぞれ詳しく解説していきます。

学生のスケジュールを踏まえた採用計画

経団連にが定める新卒の就職・採用活動のルールは以下の通りとなっています。

  • 広報活動開始:卒業・終了年度に入る直前の3月1日以降
  • 採用選考活動開始:卒業・終了年度の6月1日以降
  • 正式な内定日:卒業・終了年度の10月1日以降

引用元『日本経済団体連合会』2024(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について

上記のルールに沿って「内定を出す時期→面接→書類選考→説明会→求人掲載」と逆算して採用活動を行う必要があります。

新卒の採用活動は、他企業と同時にスタートするケースがほとんどです。採用活動を遅れてスタートすると、適切な母集団形成が難しくなるため、新卒採用のルールや学生のスケジュールを考慮して、採用活動と母集団形成を行いましょう。

多くの学生と接点をもつ

新卒採用では、常に多くの学生と接点をもつことが母集団形成を行ううえでも重要となります。

例えば、選考とは別に社内見学会や先輩社員と交流する場を設けたり、SNSを使って社内の雰囲気やどんな人柄の方が働いているかを発信することで、自社の魅力を伝えることができます。

新卒採用の場合、社会人経験の少ない学生がほとんどのため、学生の興味・関心を引き、応募の温度感を育てていくことが母集団形成を行うためにも重要になってきます。

中途採用

中途採用における母集団形成のポイントは「欠員が出たタイミングで適切な手法で行う」ことです。中途採用は必要に応じて採用活動を行うため、新卒採用のように過密なスケジュールは不要です。

しかし、具体的に必要とするスキル・経験はもちろん、人柄・価値観は重要になるため、採用ターゲットを明確にして、エージェントや転職サイトなど適切な手法で母集団形成を行いましょう。

また、新卒採用と比較すると選考のフローも短いケースが多いです。スキル・経験に加えて、社風に合う人柄・価値観も重視する場合は、性格適性検査などを使用して「質」を高めると効率的に採用活動が行えます。

母集団形成の手法

昨今、母集団形成を行う手法はさまざまです。ここでは、母集団形成の具体的な手法を8つとメリット・デメリットについて解説していきます。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が設置する公的な機関のため、採用コストをかけずに母集団形成を行えます。

利用者の年齢層も広く、様々なスキルをもった方に求人を見てもらえるというい特徴があります。

メリット

  • 無料で求人を掲載できるので採用コストを抑えられる
  • 企業規模、年数問わずに利用できる
  • 公的な機関なので安心できる

デメリット

  • 利用者の層が広いため、自社が求める人材が見つからず採用活動が長期化することがある
  • ハローワークとのやり取りが発生する
  • 求人票の内容が限られているので自社の魅力が伝わりにくい

求人媒体

求職者の登録が多い就職・転職サイトに求人を掲載することも、母集団形成を行ううえで有効です。

新卒採用であれば学生の利用率が高い「マイナビ」「リクナビ」、中途採用であれば「リクナビネクスト」「Indeed」「ビズリーチ」などがあります。

メリット

  • 利用者が多く母集団形成の「数」を集めやすい
  • 会社の雰囲気や業務内容を詳細に伝えられる
  • 地域問わず募集をかけられる

デメリット

  • 採用に至らなくても掲載コストがかかる
  • 求職者は募集内容をもとに応募を判断するので、自社が求める人物(質)からの応募が必ずあるとは限らない

人材紹介会社・ヘッドハンター

自社が求める人物像を人材紹介会社やヘッドハンターに伝えて、条件に合致した人材を紹介してもらう手法です。求人内容を非公開にして人材を探せるため、他社に知られたくない幹部候補や新規プロジェクトの募集にも向いています。

中途採用向けの手法に思えますが、新卒採用向けの人材紹介会社もあります。自社の採用ターゲットに合う求職者を紹介してもらえるため「ミスマッチを防ぎたい」「質の高い母集団形成を行いたい」会社にはぴったりといえるでしょう。

メリット

  • 採用ターゲット(質)に合う人材を紹介してもらえるのでミスマッチ防止につながりやすい
  • 採用担当者の選考工数を削減できる
  • 成果報酬型のエージェントもあるため初期費用が掛からない

デメリット

  • 採用コストが他の手法と比べると高額になりがち(採用者の年収30%など)
  • 採用ターゲット、自社の魅力を明確に伝えないと、異なる人材を紹介されることがある
  • 条件によっては希望する人材が見つからない可能性もある

合同説明会などのイベント

合同説明会は、ハローワークや大手人材会社などが主催する就職・転職イベントのことです。ブースを設置して、自社を知らなかった層の求職者に自社の魅力や情報を直接伝えることができます。

しかし、時間が限られている点と採用担当者1~2人程度で複数の求職者を相手にするので、一人ひとりとのコミュニケーションを取ることに限界があります。

メリット

  • 新たな層の母集団を形成できる
  • 自社の魅力や雰囲気を直接伝えられる
  • 応募前に求職者の人柄を確認できる

デメリット

  • 人気企業が出展していると、求職者が流れてしまうことがある
  • 一人ひとりとコミュニケーションを取りづらい
  • 来場者が少ない説明会だと母集団の形成ができないことがある

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者にアプローチしながら採用活動を実施することを指します。馴染み深いものだと、求人媒体の「スカウト」がダイレクトリクルーティングにあてはまります。

ダイレクトリクルーティングを行うと、自社で母集団形成をコントロールすることができます。自社が求めるスキル・能力をもった求職者に直接アプローチできるので、母集団を形成できるうえに質も担保できます。

メリット

  • 自社社が定める採用ターゲットに直接アプローチできる
  • ターゲットを絞って活動できるので採用コストの削減につながりやすい

デメリット

  • スカウトメール作成や求職者とのやり取りで工数が増加する
  • 求職者から必ず返信が来るわけではないので、施策が無駄になることがある

SNS

自社が求める人材をターゲットにして、SNSで情報を発信して母集団形成を行う手法です。最近では「採用マーケティング」と称してSNSを使う企業も増えています。

採用活動に使われているSNSは「X(旧Twitter)」「Facebook」「YouTube」「TikTok」「LinkedIn」などさまざまです。利用する年齢層も異なるので、採用ターゲットに合致する層が多いSNSで発信すると良いでしょう。

SNSは無料で情報発信ができるので採用コストがかからないうえに、これから就職・転職活動を始める潜在層にもアプローチできるため、母集団形成にも有効といえるでしょう。

メリット

  • 自社の魅力をダイレクトに伝えられる
  • 情報掲載のコストを抑えられる
  • フラットに求職者と接点がもてる

デメリット

  • 更新し続ける必要があり、効果もすぐには出ない
  • 何気なく投稿した内容でも炎上する可能性がある

学内セミナー

学内セミナーは新卒採用向けの母集団形成の手法で、大学や研究室、専門学校などに訪問して自社の説明会を実施します。各学校のキャリアセンターが合同説明会のようにブースを設けて、学生と直接話すことができます。

自社を認知していない学生も多いため、応募に進んでもらえるように自社の魅力を伝える紹介や動画、印象に残るパンフレットなどを用意すると効果的です。特定の学校・学部や専門性に特化した新卒者の母集団形成を行いたい場合に有効な手法といえるでしょう。

メリット

  • 出展して評判が良いと開催時に学校から声をかけてもらえる可能性が高まる
  • 学校とのパイプができれば、長期の母集団形成が可能になる
  • 学生と直接会話ができる
  • 学生は「母校に関心がある企業」と感じるため印象に残りやすい

デメリット

  • 参加者が少ない場合、母集団形成が難しくなる
  • 1回ではなく複数回または複数の学校に参加する必要がある
  • 人気の学校だと出展が抽選または難しい場合がある

リファラル採用(友人紹介)

リファラル採用は従業員が自ら、友人や知人に自社への入社を勧める手法です。どちらかというと中途採用向けですが、新卒者が後輩に自社を紹介するケースもあるため、新卒採用の母集団形成にも有効です。

すでに働いている従業員が友人や知人に、社内のリアルな情報を伝えてから選考・内定につながるため、ミスマッチが起きにくいメリットがあります。

リファラル採用で入社した人材が出た場合は、紹介者と新入社員にインセンティブを設けると、より母集団形成につながる可能性が高まるでしょう。

メリット

  • コストをかけずに人材の採用、母集団形成が可能
  • ミスマッチが起きにくいため、定着率の向上が見込める
  • 従業員自身が自社を紹介してくれるため人事の負担を軽減できる

デメリット

  • 従業員のエンゲージメント(自社への愛着)が低いと紹介が集まらない
  • 従業員のエンゲージメントを事前に高める施策が必要

母集団形成を行う際の注意点

母集団形成を行うにあたっての注意点を4つ解説していきます。

"応募数"集めが目的にならないようにする

母集団形成は応募者をとにかく集めることと勘違いしている方を時折見かけます。母集団形成は、自社の採用ターゲットにあてはまる候補者を集めることをいいます。

応募数を集めることと勘違いすると、採用の目的やターゲットがブレてしまい「数は集まったものの採用できなかった」「採用した人がすぐに辞めてしまった」ということになり兼ねません。

母集団形成は「数」と「質」の両方を意識して、応募者を集めることだと理解しておきましょう。

採用ターゲットを曖昧にしない

母集団形成を行う際は、採用目的や募集の背景から採用ターゲットを明確にしましょう。

「たくさんの応募者に会って面接で判断したいから、採用ターゲットは明確にしない」という声を聞くこともありますが、優秀な面接官であっても限られた時間の中で応募者の価値観やスキルを正確に判断することは難しいです。

面接ではお互い好印象に感じて採用したとしても、入社後にギャップを感じ早期離職しては会社も求職者も不幸になります。

スキルや価値観など、事前にわかる項目は母集団形成でスクリーニングを行い、面接では採用ターゲットにマッチしている人柄かをしっかりと確認しましょう。

他社の成功手法が自社に有効とは限らない

SNSの活用など比較的新しい手法や、他社で成功している採用手法は、活用してみたいと思ってしまいがちですが、他社が実施した手法が自社に有効とは限りません。

他社で成功している母集団形成の手法は、他社の状況やニーズに基づいて設計されているため、自社の状況と異なる場合があります。そのため、自社の業界や市場、文化、必要な人材に合わせて母集団形成の手法を決定することが重要です。

他社の成功事例を参考にすることは有益ですが、他社で成功した手法を模倣することは避けるべきです。

「数」だけでなく「質」の効果検証も

母集団形成は求人媒体やエージェント(人材紹介)、合同説明会などさまざま手法で行うことができますが、母集団形成は「数」と「質」の両方を満たしていることが採用成功の鍵となります。

各媒体ごとに採用候補者の情報を管理し「数」「質」の効果を検証しましょう。

例えば複数の手法で採用候補者を集めた場合、求人媒体は他の手法よりも採用候補者の「数」は集められたものの、求める人物像にあてはまる人材がおらず「質」に不満がある状況は往々にして起こり得ます。

「"数"は集まるのだから、次は"質"の良い人材が集めるだろう」と考えて、求人媒体にコストをかけても、求める人物像(質)にマッチする人材が集まる保証はありません。質を妥協して採用した結果、早期離職しては本末転倒です。

そのため、母集団形成の手法ごとに「質」についてもしっかりと検証を行いましょう。

とはいえ、母集団形成の「数」は定量的に検証が可能ですが、採用ターゲット通りの人材を集められたか(質)の検証は簡単ではありません。では、どのようにして母集団形成の「質」を検証するのか、方法について次で解説していきます。

母集団形成で「質」を確認する方法

母集団形成で「質」を確認するのに有効な方法は「適性検査」の活用です。

適性検査は採用候補者がもつ能力やスキル、性格などを客観的かつ効率的に評価して、自社が求める人物像に近い人材を見極めることができます。例えば能力適性検査では、自社が募集しているポジションに必要な能力・知識を有している人材かの判定が可能です。

とはいえ、能力・スキル面は入社後にも育成できるので、こだわりすぎず最低限の基準を設けて柔軟に評価しましょう。

適性検査で特に重視すべき点は、入社後にも変化しづらい「性格・価値観」です。面接だけでは把握しきれない採用候補者の性格・価値観を客観的に評価することで、会社のカルチャーや部署との相性を検証できます。

適性検査を通じて能力・スキルだけでなく、性格・価値観に焦点をあてて総合的に評価することで、より適切な採用候補者を選ぶことができ、定着率の向上にもつながります。

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