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自己尊重性とは?適性検査の結果を人事が組織運営に活かす全手法【メリットと注意点】

「適性検査の結果で『自己尊重性』が低いと出たが採用して大丈夫か」「自己尊重性が高い社員はどのようなマネジメントが効果的か」——経営者・人事担当者がこうした疑問を抱くのは当然のことです。「自己尊重性」は単なる性格の明るさや自信の有無ではなく、社員一人ひとりの主体性・レジリエンス・周囲への影響力に直結する、組織運営の基盤となる重要な指標です。

この数値が高い人材は、失敗を恐れずに挑戦し、チームの心理的安全性を高めるリーダー的存在になり得ます。一方、数値が低い人材も、慎重なリスク管理や謙虚なサポートで組織を支える独自の強みを持っています。適性検査のスコアを単なる「良し悪し」で判断するのではなく、職種・役割・チームの状況に応じた「適切な配置」の判断材料として活用することが、真のデータドリブン採用につながります。

本記事では、性格適性検査における「自己尊重性」の定義から、高い場合・低い場合それぞれのメリット・リスク、採用面接での見極め方、そして「支援性」との相乗効果まで、人事担当者がすぐに実務で使える内容を網羅的に解説します。

  • 「自己尊重性」と「自信」「プライド」の本質的な違いと採用への応用
  • 高スコア・低スコアそれぞれの強みとリスク、最適な職種・役割の配置指針
  • 採用面接でSTAR手法を使った自己尊重性の見極め方
  • 「支援性」との掛け合わせで読み解くバーンアウトリスクの早期察知法

目次

  1. 自己尊重性とは何か?(定義と重要性)
    1. ビジネスにおける自己尊重性の定義
    2. 「自信家」や「プライド」との決定的な違い
    3. なぜ今、組織運営に「自己尊重性」が求められるのか
  2. 適性検査で「自己尊重性」が高い人の特徴と組織へのメリット
    1. 高い主体性と迅速な意思決定
    2. 圧倒的なレジリエンス(逆境力)
    3. 他者への寛容さと支援(サポート力)
    4. 心理的安全性を高めるリーダーシップ
    5. 人事評価への応用
  3. 自己尊重性が高い場合の注意点とリスク
    1. 独断専行(オーバーステップ)のリスク
    2. フィードバックを「スルー」してしまう懸念
    3. 周囲との「温度差」による摩擦
    4. マネジメントでの「ブレーキ」の掛け方
  4. 適性検査で「自己尊重性」が低い人の意外な強みと活用のコツ
    1. 慎重さと極めて高いリスク管理能力
    2. 謙虚さとチームの調和を重んじる姿勢
    3. マネジメント上の課題とフォローのポイント
  5. 【実践編】自己尊重性を考慮した採用・配置・育成戦略
    1. 採用選考での見極め:面接での「深掘り」手法
    2. 職種別:パフォーマンスを最大化する適性配置
    3. 既存社員の育成とマネジメント:スコア別の関わり方
    4. 適性検査の「経年変化」を追う
  6. 自己尊重性と「支援性(サポート力)」の相乗効果:なぜ自立した人ほど他者を助けられるのか
    1. 「シャンパンタワーの法則」で考える心のエネルギー
    2. 「自己尊重性」×「支援性」のマトリクス分析
    3. 「偽りの支援性」を見抜く重要性
    4. 組織として「健全な支援」を育むために
    5. 中途採用における見極め
  7. 自己尊重性を組織の力に変えるために
    1. 「数値が高い=優秀」という固定観念を捨てる
    2. 相関データから「隠れたリスク」を察知する
    3. 自己尊重性を「育む」組織文化を醸成する
    4. ミツカリ適性検査 – サービス概要資料
離職防止のための施策は整っていますか?

自己尊重性とは?適性検査の結果を人事が組織運営に活かす全手法

「適性検査の結果で『自己尊重性』が低いと出たが、採用して大丈夫だろうか?」

「自己尊重性が高い社員は、どのようなマネジメントが効果的なのか?」

経営者や人事担当者の方にとって、適性検査の結果をいかに実務(採用や配属)に紐づけるかは非常に重要な課題です。特に「自己尊重性」という項目は、社員のメンタルヘルスや主体性、そして周囲への影響力に直結する重要な指標です。

本記事では、性格適性検査における「自己尊重性」の定義、ビジネスにおけるメリット・デメリット、そして組織運営への具体的な活用方法をプロの視点で徹底解説します。

自己尊重性とは何か?(定義と重要性)

適性検査のレポートで「自己尊重性」という項目を目にしたとき、多くの採用担当者は「自分を大切にしているかどうか」という情緒的な解釈に留まりがちです。しかし、ビジネスにおける自己尊重性は、「組織の生産性とレジリエンス(逆境力)を左右するOS(基本ソフト)」とも言える極めて重要な指標です。

ビジネスにおける自己尊重性の定義

性格適性検査における「自己尊重性」とは、「自分の存在価値や能力を、他者との比較ではなく、ありのままの自分として肯定的に受け入れている度合い」を指します。

心理学的な「自己肯定感(Self-esteem)」に近い概念ですが、ビジネス現場においては、単に「自分が好き」ということではありません。「自分には困難を乗り越える力があり、たとえ失敗しても自分の価値は揺らがない」という内面的な安定感を指します。

この数値が高い人材は、自分の強みだけでなく「弱み」も客観的に受け入れているため、周囲に過度な虚勢を張ることなく、建設的なコミュニケーションを取ることが可能です。

「自信家」や「プライド」との決定的な違い

「自己尊重性が高い」ことと、「自信満々である」ことや「プライドが高い」ことは、似ているようで本質的に異なります。人事が判断を誤りやすいポイントですので、以下の違いを整理しておきましょう。

  • 自己尊重性(Self-Respect)
    • 根拠: 無条件。自分の存在そのものを認める力。
    • 特徴: 失敗しても「次はどうするか」と切り替えが早い。他者の成功を喜べる。
  • 自信(Self-Confidence)
    • 根拠: 実績やスキル。過去の成功体験に基づく。
    • 特徴: 成功体験がない分野では弱くなることがある。
  • プライド(Pride)
    • 根拠: 他者との比較。優越感に基づいた自己評価。
    • 特徴: 否定されると過剰に反応し、防衛的になりやすい。

人事が注目すべきは「自己尊重性」です。 プライドが高くても自己尊重性が低いタイプは、一見優秀に見えますが、指摘を受けた際に過度に落ち込んだり、他責にしたりするリスクがあります。

なぜ今、組織運営に「自己尊重性」が求められるのか

現代のビジネス環境において、自己尊重性が注目される背景には2つの大きな理由があります。

自律型人材(プロアクティブ)へのシフト

VUCA時代、正解のない問いに対して自ら動く「自律型人材」が不可欠です。自己尊重性が高い人材は、「間違えること=自分の価値が下がる」という恐怖心が少ないため、リスクを恐れずに新しい挑戦や提案を行うことができます。

心理的安全性の基盤

Googleの研究で有名になった「心理的安全性」は、チームメンバー同士の信頼関係だけで成り立つものではありません。個々のメンバーの「自己尊重性」が高いことで、初めて「自分の意見を否定されても、自分自身が否定されたわけではない」と健全に解釈でき、本質的な議論が可能になります。

適性検査で「自己尊重性」が高い人の特徴と組織へのメリット

適性検査の結果で「自己尊重性」が高いスコアを示している人材は、組織において非常に強力な推進力となります。彼らは単に「性格が明るい」のではなく、ビジネスを加速させる特定の行動特性を持っています。

ここでは、自己尊重性が高い人材を採用・配置することで得られる4つの大きなメリットを解説します。

高い主体性と迅速な意思決定

自己尊重性が高い人は、自分の価値観や判断基準に自信を持っています。そのため、指示を待つだけでなく、自ら課題を見つけて行動する「主体性」が非常に強いのが特徴です。

意思決定のスピード

「間違えたらどうしよう」という過度な不安に囚われないため、必要な局面で素早く決断を下せます。

変革への適応

前例のない状況でも「自分なら何とかできる」という根源的な自信があるため、新規事業や環境変化に強い傾向があります。

圧倒的なレジリエンス(逆境力)

ビジネスに失敗やトラブルは付き物です。自己尊重性が高い人材の最大の強みは、困難に直面した際の「折れない心」と「立ち直りの早さ」にあります。

ダメージの最小化

仕事の失敗を「自分の人間性としての欠陥」と結びつけず、「手法やプロセスの問題」として切り分けて捉えることができます。

学習能力

過度に落ち込む時間を短縮し、「今回の失敗から何を学べるか」という建設的なフィードバックを自分自身に与えられるため、成長速度が速まります。

他者への寛容さと支援(サポート力)

意外に思われるかもしれませんが、自己尊重性が高い人ほど、周囲のメンバーに対して寛容であり、サポートを惜しまない傾向があります。これは心理学でいう「心の余裕(充足感)」が関係しています。

嫉妬心の少なさ

自分自身の価値を認めているため、同僚の成功を素直に称賛できます。他人の足を引っ張るような不毛な社内政治に加担することが少ないです。

積極的なナレッジ共有

「自分のスキルを教えたら、自分の立場が危うくなる」という不安を抱きにくいため、惜しみなくチームに貢献しようとします。

心理的安全性を高めるリーダーシップ

自己尊重性が高い人材がマネジメント層にいると、チーム全体の「心理的安全性」が飛躍的に向上します。

弱さの開示(脆弱性)

自分の価値が揺るがないため、リーダー自らが「ここがわからない」「失敗した」と素直に認め、自己開示することができます。

否定しない文化

メンバーの異論や反対意見を「自分への攻撃」と受け取らずに、フラットに議論のテーブルに乗せることができるため、多様なアイデアが生まれやすい環境が整います。

人事評価への応用

「自己尊重性」が高い人材は、評価面談においても非常に扱いやすいという特徴があります。彼らは厳しい評価フィードバックを受けたとしても、それを「自分への期待」や「改善すべきポイント」として前向きに解釈する力が強いためです。

逆に、この数値が低い人材に対して厳しいフィードバックを行うと、防衛本能から反発するか、あるいは過剰に萎縮してメンタル不調に陥るリスクがあります。

「誰に、どのレベルのフィードバックを与えるべきか」というマネジメントの采配において、適性検査の自己尊重性スコアは極めて有効な判断材料となります。

自己尊重性が高い場合の注意点とリスク

適性検査の結果で「自己尊重性」が高いスコアが出ると、一見して「メンタルが強く優秀な人材」と判断してしまいがちです。しかし、組織運営においては、数値が高すぎることが逆にボトルネックとなるケースも存在します。

ここでは、人事が知っておくべき「自己尊重性が高い人材」特有の3つのリスクと、その対策を解説します。

独断専行(オーバーステップ)のリスク

自分への信頼が揺るぎないがゆえに、周囲への相談や調整を軽視してしまう傾向があります。

周囲の意見を軽視

「自分の判断が正しい」という確信が強すぎると、他者の助言や反対意見を「単なるノイズ」として片付けてしまうことがあります。

組織の足並みを乱す

チームとしての合意形成よりも、自身のスピード感や直感を優先し、結果として独走状態(スタンドプレー)に陥るリスクがあります。

フィードバックを「スルー」してしまう懸念

自己尊重性が高い人は、精神的な防御力が非常に高いのが特徴です。これは強みでもありますが、成長の局面では弱点にもなり得ます。

改善指摘のフィルター

厳しいフィードバックを受けても、「それは自分を否定するものではない」と健全に受け流せる一方で、「直すべき欠点」として深刻に受け止めないケースがあります。

現状肯定の罠

ありのままの自分を認めすぎているため、現状のスキルや行動に疑問を持ちにくく、自己変革の必要性を感じにくい「成長の停滞」を招く恐れがあります。

周囲との「温度差」による摩擦

自己尊重性が高い人材の放つ「エネルギー」や「自信」が、必ずしもチームにポジティブな影響を与えるとは限りません。

無意識の威圧感

自己尊重性が低いメンバーにとって、常に自信満々で迷いのないリーダーや同僚は、威圧感や心理的プレッシャーを感じる対象になることがあります。

共感性の欠如

自分自身が「落ち込む」という経験が少ないため、失敗して深く傷ついている部下や同僚の気持ちが理解できず、「なぜそんなに悩んでいるの?」と無神経な言葉をかけてしまう(デリカシーに欠ける)リスクがあります。

マネジメントでの「ブレーキ」の掛け方

自己尊重性が高い人材をマネジメントする際は、「主観(本人の自信)」と「客観(周囲の評価や数値実績)」を突き合わせる機会を定期的に設けることが重要です。

彼らは「自分はできている」と思い込む傾向があるため、以下の2点を意識してください。

  • 360度評価の活用
    • 本人の自己評価と、周囲からの見え方のギャップを可視化する。
  • プロセスの言語化
    • 「なぜその判断に至ったか」を論理的に説明させることで、直感に頼った独断を防ぐ。

適性検査の結果が「高すぎる」場合は、それとセットで「協調性」や「客観性」のスコアを確認しましょう。自己尊重性が高く、かつ客観性が低い場合は、上記のリスクが顕在化しやすいため注意が必要です。

適性検査で「自己尊重性」が低い人の意外な強みと活用のコツ

適性検査のレポートで「自己尊重性が低い」という結果が出ると、採用を見送ったり、「メンタルが弱そう」とネガティブに捉えたりしていませんか?

実は、組織運営において自己尊重性が低い人材は、高い人材には決して真似できない「精密なリスク管理能力」や「謙虚な学習姿勢」を持っていることがあります。重要なのは、その特性を「欠点」ではなく「機能」として理解することです。

ここでは、自己尊重性が低い人材の強みと、彼らを輝かせるマネジメント手法を解説します。

慎重さと極めて高いリスク管理能力

自己尊重性が低い人は、自分の判断を過信せず「本当にこれでいいのか?」と常に疑う視点を持っています。

ミスの少なさと正確性

自分の確認漏れや判断ミスを恐れるため、ダブルチェックやエビデンスの確認を徹底します。

リスクの早期発見

「楽観的な見通し」を立てにくいため、プロジェクトの初期段階で懸念点や落とし穴に気づくことができます。品質管理、法務、財務、エンジニアリングなどの緻密さが求められる職種において、この性質は強力な武器になります。

謙虚さとチームの調和を重んじる姿勢

自分を前に出すよりも、周囲を立てたり、調和を図ったりすることを優先します。

高い受容性

「自分が正しい」というエゴが少ないため、他人の意見やアドバイスを柔軟に受け入れることができます。

フォロワーシップ

強力なリーダーの背中を支え、実務を確実に遂行する「最高の2番手」や「サポート役」として、チームの潤滑油になります。

マネジメント上の課題とフォローのポイント

一方で、彼らがパフォーマンスを発揮するためには、上司や組織による「安全地帯」の確保が不可欠です。

課題(リスク)具体的症状効果的なフォロー(マネジメント)
過度な萎縮叱責されると数日間立ち直れない。結果だけでなく「プロセス」を具体的に認める。
指示待ち傾向間違えるのを恐れて自発的に動けない。裁量の範囲を小さく分け、成功体験を積ませる。
他者比較による疲弊優秀な同僚を見て自信を喪失する。過去の本人と比較して「成長した点」を伝える。

自己尊重性が低い人材には、「評価」ではなく「承認」の頻度を高めることが重要です。

承認の「解像度」を上げる

彼らに対して「頑張っているね」という抽象的な言葉は、あまり響きません。むしろ「昨日の資料の、この比較表のまとめ方が非常に分かりやすくて助かったよ」といった、具体的かつ事実に基づいたフィードバックを送りましょう。

自分の行動が客観的にプラスの影響を与えたという「事実」が積み重なることで、彼らの自己尊重性は後天的に高まり、組織にとって不可欠な戦力へと変貌します。

【実践編】自己尊重性を考慮した採用・配置・育成戦略

適性検査のスコアを「確認して終わり」にするのは、非常にもったいないことです。自己尊重性の数値は、その人物を「どこに配置し、どう育てるか」という戦略の羅針盤になります。

ここでは、経営者や人事担当者が明日から実務で使える具体的な活用術を解説します。

採用選考での見極め:面接での「深掘り」手法

適性検査の結果が「高すぎる」あるいは「低すぎる」場合、面接ではその数値がビジネスシーンでどう現れるかを確認する必要があります。有効なのが、行動に焦点を当てた「STAR手法」による質問です。

自己尊重性が「高い」候補者への確認質問

「あなたの意見がチームで強く否定されたとき、どのように感じ、その後どう行動しましたか?」

自分の価値を損なわずに、客観的な意見として受け止められているか。(プライドが高いだけの場合は、ここで他責や不満が出やすい)

自己尊重性が「低い」候補者への確認質問

「これまでで最も自信を失った経験と、そこからどのように日常業務に戻りましたか?」

自分なりの「立ち直りのルーチン」や、周囲の助けを借りる素直さがあるか。

職種別:パフォーマンスを最大化する適性配置

自己尊重性の高さは、職種によって「武器」にもなれば「ノイズ」にもなります。以下の表を参考に、ミスマッチを防ぐ配置を検討してください。

推奨スコア適した職種・役割理由
高スコア新規開拓営業、起業家、PM、管理職拒絶や失敗が多く、自己決定の連続であるため、強い精神的自立が必要。
中スコアカスタマーサクセス、企画、マーケター周囲との調和と、自分の意見の主張のバランスが求められる。
低スコア経理・財務、法務、品質管理、校閲自分の判断を過信せず、ルールやエビデンスを重視する慎重さが活きる。

既存社員の育成とマネジメント:スコア別の関わり方

自己尊重性は、環境や上司との関わり方によって後天的に変化する可能性があります。

自己尊重性が「高い」社員へのアプローチ

彼らには「裁量」と「客観的なフィードバック」をセットで提供します。

「君に任せる」という信頼を伝えることで、高いパフォーマンスを引き出せます。ただし、独走を防ぐために、定期的に「周囲からの見え方」という鏡(フィードバック)を見せることが重要です。

自己尊重性が「低い」社員へのアプローチ

彼らには「心理的安全性の確保」と「解像度の高い承認」が必要です。

失敗を責めない文化を明示し、小さな成功を「事実」として積み上げさせます。

他の優秀な社員と比較して叱咤激励することは逆効果です。あくまで「過去の本人」と比較して成長を認めることが、自己尊重性を高める近道です。

適性検査の「経年変化」を追う

自己尊重性は、大きな失敗や成功体験、あるいはライフイベントによって変動することがあります。採用時だけでなく、1年に1回などの定期的な受検を推奨します。

もし、以前より極端に数値が低下している社員がいれば、それはメンタルヘルスの不調や、現在の業務・人間関係における「過度なストレス」のサインかもしれません。適性検査を「定点観測のツール」として使うことで、離職の未然防止にも役立てることができます。

自己尊重性と「支援性(サポート力)」の相乗効果:なぜ自立した人ほど他者を助けられるのか

適性検査の項目の中で、多くの経営者が「ぜひ高くあってほしい」と願うのが「支援性(周囲をサポートし、チームに貢献する姿勢)」です。しかし、実はこの支援性を支える土台こそが、今回のテーマである「自己尊重性」なのです。

「他人のために動ける人」を正しく評価するために、人事担当者が知っておくべき相関関係を解説します。

「シャンパンタワーの法則」で考える心のエネルギー

心理学やマネジメントの現場でよく使われる例えに「シャンパンタワーの法則」があります。

  • 最上段のグラス(自分自身)
    • ここが「自己尊重性」です。
  • 2段目以降(家族・同僚・顧客)
    • ここが「支援性」の対象です。

最上段のグラス(自分)が満たされていない、つまり自己尊重性が低い状態で、無理に下のグラス(他者)を潤そうとするとどうなるでしょうか? いずれエネルギーは枯渇し、タワー全体が崩れてしまいます。これがビジネス現場で起こる「自己犠牲的な献身」の正体です。

「自己尊重性」×「支援性」のマトリクス分析

適性検査の結果を読み解く際、この2つの数値を掛け合わせて見ることで、その人材の「貢献の持続性」が分かります。

タイプ特徴組織における役割とリスク
自律的サポーター型
(両方高い)
自分の価値を認めつつ、他者を支援できる。【理想のリーダー】 精神的に安定しており、見返りを求めない支援ができる。組織の心理的安全性を高めるキーマン。
自己犠牲型
(支援性高 / 自己尊重低)
自分の評価を上げるために、無理をして他者に尽くす。【要注意:バーンアウト予備軍】 頼みごとを断れず、一人で仕事を抱え込みがち。突然の離職やメンタル不調のリスクが高い。
孤高の専門家型
(支援性低 / 自己尊重高)
自分には自信があるが、他者への関心が薄い。【スペシャリスト】 個人の生産性は高いが、チームプレーを乱すことも。役割を明確に分ける配置が効果的。
防衛・閉鎖型
(両方低い)
自分に自信がなく、周囲を助ける余裕もない。【要フォロー】 変化への恐怖が強く、保守的になりやすい。まずは安心できる環境での小さな成功体験が必要。

「偽りの支援性」を見抜く重要性

適性検査で「支援性」が非常に高く出ている候補者がいたとしても、同時に「自己尊重性」が極端に低い場合は、注意が必要です。

彼らの支援行動は、「他人を助けたい」という純粋な意欲ではなく、「誰かの役に立っていないと、自分には価値がない」という不安(無価値感)から来ている可能性があるからです。このタイプを採用・配置すると、以下のような問題が起こりやすくなります。

過剰な迎合

上司や周囲の顔色を伺いすぎて、本来言うべき正論や反対意見が言えない。

共依存の発生

部下を甘やかしすぎてしまい、部下の自立を妨げてしまう(「やってあげすぎる」マネージャー)。

メンタルダウン

感謝されない、あるいは期待通りの反応がないと、急激にモチベーションを喪失する。

組織として「健全な支援」を育むために

経営者・人事が目指すべきは、全社員の「最上段のグラス(自己尊重性)」をまず満たす文化を作ることです。

「セルフケア」の推奨

休みを取ることや、自分の業務範囲を守ることをポジティブに評価する。

感謝の言語化(サンクスカード等)

「助けてもらって当たり前」ではなく、支援行動を可視化して承認する仕組みを作る。

フィードバックの質

支援性の高い社員に対し、「いつも助かっているよ」だけでなく、「君自身の体調や余裕はどうだい?」と、最上段のグラスの状態を気にかける声掛けを徹底する。

中途採用における見極め

中途採用で「前職ではチームのために献身的に働きました」と語る候補者には、ぜひ「その献身によって、あなた自身はどのような充足感を得ましたか?」と問いかけてみてください。

「自分の成長に繋がった」「チームの成功が誇らしかった」と自分主体の肯定的な回答が返ってくれば、自己尊重性に裏打ちされた健全な支援性と言えます。逆に「自分がやらざるを得なかった」「報われなかった」というトーンが混じる場合は、自己犠牲的な傾向があるかもしれません。

自己尊重性を組織の力に変えるために

本記事では、性格適性検査における「自己尊重性」の定義から、採用・配置における具体的な活用方法までを詳しく解説してきました。

自己尊重性は、単なる「性格の明るさ」や「自信の有無」を測るものではありません。それは、社員一人ひとりが「どのようなエネルギー源を持って仕事に向き合っているか」、そして「困難に直面した際にどれだけしなやかに立ち直れるか」を示す、組織運営の基盤となるバロメーターです。

最後に、経営者・人事担当者が明日から意識すべき3つの重要なポイントをまとめます。

「数値が高い=優秀」という固定観念を捨てる

自己尊重性が高い人材は、推進力やレジリエンスに優れますが、一方で独断専行のリスクも孕んでいます。逆に数値が低い人材は、慎重なリスク管理や謙虚なサポートで組織を支えます。

大切なのは、「職務内容やチームの状況に応じて、適切なスコアの人材を配置する」というパズルのような視点です。

相関データから「隠れたリスク」を察知する

自己尊重性は、他の指標と組み合わせることで真価を発揮します。

  • 「自己尊重性 × 支援性」:自己犠牲的な働き方になっていないか?
  • 「自己尊重性 × 客観性」:自信過剰による独りよがりになっていないか?

このようにデータを多角的に分析することで、面接だけでは見抜けない「入社後のミスマッチ」や「メンタルダウン」を未然に防ぐことが可能になります。

自己尊重性を「育む」組織文化を醸成する

自己尊重性は固定されたものではなく、周囲の関わり方で変化します。

  • 承認の文化
    • 結果だけでなく、プロセスや存在そのものを認める。
  • 失敗の受容
    • 失敗を「個人の能力不足」ではなく「組織の学習機会」と捉える。

このような環境を整えることで、社員の自己尊重性は高まり、結果として主体的に挑戦し続ける「強い組織」へと進化していきます。

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