ブラッドハラスメント(ブラハラ)とは|血液型の決めつけと企業対策
「A型は几帳面」「B型はマイペース」——日本では日常会話に深く浸透した血液型性格分類ですが、悪気なく発したその一言が、実は「ブラッドハラスメント(ブラハラ)」になっているかもしれません。ブラハラとは、血液型を理由に人の性格や能力を決めつけ、否定的に扱う嫌がらせ・差別的な言動を指します。
大前提として、血液型と性格の間に科学的な因果関係は証明されていません。それにもかかわらず、根拠のない決めつけが採用・配置・評価にまで持ち込まれると、公正性を損ない、従業員のモチベーションと組織の生産性を低下させます。人を属性で判断するという点で、ステレオタイプやアンコンシャスバイアスと同じ構造を持つ、人権と組織運営に関わる問題です。
本記事では、ブラハラの定義と科学的根拠の有無、職場で起きる具体例、なぜ問題なのか、公正な採用選考との関係、そして企業が取るべき対策までを体系的に解説します。読み終えたときには、人を属性ではなく個人として捉える組織づくりのヒントが得られるはずです。
- ブラハラの定義と、血液型性格分類に科学的根拠がないという事実
- 日常会話から採用・配置・評価まで、職場で起きる具体例
- 公正な採用選考の観点から見た、血液型を選考に用いる問題点
- 正しい知識の普及や適性検査の活用など、企業が取るべき対策
目次
ブラッドハラスメント(ブラハラ)とは:定義と基本理解
ブラハラの定義
ブラッドハラスメント(正式にはブラッドタイプ・ハラスメント、略称「ブラハラ」)とは、血液型を理由に人の性格や能力を決めつけたり、否定的に扱ったりする嫌がらせや差別的な言動を指す和製英語です。A型・B型・O型・AB型という4つの血液型で人の性格を判断し、差別的な言動をする行為が該当します。
「A型は几帳面」「B型はマイペース」といった血液型性格分類は、日本では日常会話に深く浸透しています。そのため、悪気なく発した一言がブラハラになっているケースは少なくありません。パワハラやセクハラほど社会的な認知は高くありませんが、血液型による偏見や差別が問題として認識されるようになってきており、企業として正しく理解しておくべきハラスメントの一つです。
なぜ企業が向き合うべきなのか
血液型による決めつけは、従業員のモチベーションを下げ、採用や評価の公正性を損ないます。人を属性で判断するという点で、ステレオタイプやアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)と同じ構造を持ち、放置すれば組織の生産性やコンプライアンスに悪影響を及ぼします。ブラハラは「たかが血液型の話」では済まされない、人権と組織運営に関わる問題です。
血液型と性格に科学的根拠はない
ブラハラを考えるうえで、まず押さえるべき大前提があります。それは、血液型と性格の間に科学的な因果関係は証明されていないという事実です。血液型性格分類は日本で広く知られていますが、その分類には科学的な根拠がありません。
人の性格は、家庭環境や生育過程、経験など、さまざまな要因によって形づくられるものであり、血液型によって決まるものではありません。また、採用選考の観点でも、血液型と職務能力の間に関係がないことが指摘されています。つまり、血液型で性格や適性を語ることは、根拠のない思い込みにすぎないのです。
この事実を組織全体で共有することが、ブラハラ対策の出発点となります。
職場で起きるブラハラの具体例
ブラハラは、日常会話から採用・評価まで、さまざまな場面で起こり得ます。
| 場面 | ブラハラに該当する言動の例 |
| 日常会話 | 「A型なのに几帳面じゃないの?」「B型は自己中だよね」 |
| 採用 | 面接で「血液型は何型ですか?」と質問する |
| 採用判断 | 「同じ成績ならB型を落とそう」と根拠なく決める |
| 配置・評価 | 「A型は慎重だから経理向き」「B型は営業向き」と決めつける |
| マネジメント | 「B型はマネジメントに向かない」と役割を制限する |
会話の中の何気ない決めつけ
「A型なのに几帳面じゃないのか」「B型は自己中心的だ」といった発言は、本人を不快にさせ、傷つけるブラハラです。冗談のつもりでも、繰り返されれば相手の尊厳を損ないます。
採用・配置・評価での不適切な判断
より深刻なのが、採用や配置、評価に血液型を持ち込むケースです。「同じ成績の学生なら、血液型で決める」といった判断や、「A型は経理、B型は営業」といった配属は、科学的根拠のない基準で人の人生を左右する不適切な行為です。
面接で血液型や星座を尋ねること自体も、避けるべき質問とされています。
なぜブラハラが問題なのか
偏見と差別につながる
血液型による性格づけは、偏見や差別につながります。特に、B型やAB型といった少数派の血液型は、否定的なイメージで語られやすい傾向があります。
多数派・少数派という構図の中で、特定の血液型の人が不当なレッテルを貼られることは、明確な差別です。
モチベーションと生産性の低下
個人の特徴を血液型で勝手に決めつけられると、従業員は不快に感じ、仕事へのモチベーションが下がります。「どうせB型だからと思われている」という感覚は、能力の発揮を妨げます。個人のパフォーマンス低下は、やがて企業全体の生産性低下にもつながります。
ブラハラは、個人の問題にとどまらず、組織の活力を削ぐ問題なのです。
採用選考におけるブラハラと公正な採用選考
採用選考におけるブラハラは、特に慎重に扱う必要があります。厚生労働省は「公正な採用選考」の考え方として、応募者の適性・能力に関係のない事項で採否を判断しないことを求めています。採用選考は、本来、応募者の適性と能力のみを基準に行うべきものです。
厚生労働省は、採用選考で「本人に責任のない事項」(本籍・出生地、家族に関することなど)や「本来自由であるべき事項」(思想・信条など)を把握しないよう求めています。血液型はこれらのリストに直接名指しされているわけではありませんが、科学的根拠がなく、職務能力とも関係がない以上、採用の判断材料にすることは公正な採用選考の趣旨に反します。応募者の適性・能力に関係のない血液型を選考に用いることは、偏見や差別につながり、応募者の人権を損なう恐れがあります。採用の場で血液型を尋ねる・判断に使うことは、避けるべきです。
企業が取るべき対策
正しい知識を普及させる
ブラハラ対策の基本は、「血液型と性格は関係がない」という正しい知識を組織全体に広めることです。血液型性格分類が根拠のない思い込みであると理解が浸透すれば、決めつけによる言動は自然と減っていきます。
ハラスメント研修やアンコンシャスバイアス研修の中で取り上げることが効果的です。
「思い込み」「決めつけ」をしない
日常の言動レベルで、血液型に限らず「〇〇だから、こうだろう」という思い込みや決めつけをしない姿勢を全員が持つことが重要です。血液型による決めつけは、ステレオタイプやアンコンシャスバイアスの一種です。
人を属性ではなく個人として見る意識を育てることが、あらゆるハラスメントの予防につながります。
性格を知りたいなら適性検査を活用する
「従業員の性格や適性を把握したい」というニーズ自体は、人材マネジメント上、正当なものです。その場合は、血液型という根拠のない基準ではなく、科学的に設計された適性検査の結果を活用しましょう。適性検査であれば、性格特性や価値観を客観的なデータで把握でき、配置や育成に根拠を持って活かせます。
あわせて、日頃から積極的にコミュニケーションを取り、相互理解を深めることも有効です。
よくある質問(FAQ)
血液型の話は雑談でもしてはいけないのですか?
血液型の話題そのものが直ちに禁止されるわけではありませんが、注意が必要です。「A型なのに几帳面じゃない」「B型は自己中」といった、血液型で性格を決めつけ相手を不快にさせる発言はブラハラに該当します。悪気のない雑談のつもりでも、相手を傷つける可能性があるため、血液型で人を判断するような言い方は避けるのが賢明です。
採用面接で血液型を聞くのはなぜダメなのですか?
血液型は性格や職務能力と科学的な関係がなく、応募者の適性・能力に関係のない事項だからです。公正な採用選考は、応募者の適性と能力のみで判断すべきものであり、根拠のない血液型を選考に用いることは偏見や差別につながります。応募者に不安を与え、人権を損なう恐れもあるため、面接で血液型や星座を尋ねることは避けるべきです。
従業員の性格傾向を把握したい場合はどうすればよいですか?
血液型ではなく、科学的に設計された適性検査を活用するのが適切です。適性検査であれば、性格特性や価値観、志向性を客観的なデータとして把握でき、配置や育成に根拠を持って活かせます。あわせて、1on1などで日常的にコミュニケーションを取り、一人ひとりを個人として理解する姿勢が、思い込みに頼らない人材マネジメントにつながります。
まとめ
ブラッドハラスメント(ブラハラ)とは、血液型で人の性格や能力を決めつけ、否定的に扱う嫌がらせ・差別です。血液型と性格の間に科学的根拠はなく、それにもかかわらず決めつけを行うことは、偏見や差別を生み、従業員のモチベーションと組織の生産性を低下させます。
特に採用・配置・評価の場面では、科学的根拠がなく職務能力とも無関係な血液型を判断に用いることは、公正な採用選考の趣旨に反します。企業に求められるのは、「血液型と性格は関係ない」という正しい知識の普及、思い込みや決めつけをしない姿勢の徹底、そして性格把握には適性検査など客観的な手段を用いることです。人を属性ではなく個人として捉える文化を育てることが、ブラハラをはじめとするあらゆるハラスメントを防ぎ、誰もが安心して力を発揮できる組織をつくる確かな一歩となるでしょう。
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