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HRテック業界の最新動向から探る!今後の発展と歴史的な接点

HRテック業界はなぜ拡大し続けているのか?

HRテック業界は、ピープルアナリティクスといった比較的新しい技術を応用している分野です。そのため、発展途上で技術や発想の変化が激しいテクノロジー業界です。HRテック業界とピープルアナリティクスの最新の事例や動向を掴むには、どのような方法が効率的なのでしょうか?

HRテックやピープルアナリティクスは、人材に関わるデータを扱うため、心理学などの人文科学の理論と方法が欠かせません。したがって、HRテックやピープルアナリティクスのさらなる発展には、人文科学の知見と理論の進展が密接に関わっています。

HRテックサービスの今後の見通しを立てる上で、人文科学での最新の研究動向とその接点を知ることは、重要な手がかりとなります。本記事では、産業組織心理学を中心とした最近の注目すべき理論の発展を紹介し、そこから読み取れる今後のHRテックサービスの見通しを測ります。

HRテック業界と人文科学の歴史的な接点

HRテック業界の発展は、人文科学の理論や方法を採用や人材配置などの経営面に応用した領域です。

心理テストなどの適性検査を採用や人材配置に使ったり、社員の幸福度を高めるための施策などを実施したり、採用にどの程度資金を投資するかといった場合まで様々です。人材に関するデータを取得し分析する観点では、データサイエンスや統計学といった知識も必要になります。

HRテックサービスは人間に関する様々な学問領域が助け合って、初めて効果を発揮します。

人文科学がHRテックサービスに与える影響〜フレームワークとはなに?

人文科学の理論からの影響が大きいHRテックのサービスは、人文科学でのフレームワークの変遷に影響を受けます。

フレームワークとは、より狭義の意味では理論とも呼ばれ「研究対象について、どのようにアプローチするべきか?」と言う、前提となる見方の事です。かけている眼鏡によってモノに対する見方や色が変わるの一緒で、特定のフレームワークにより研究の方向性や、そもそも研究すべき現象、データの集め方が決まってきます。ピープルアナリティクスは、人間に関するデータを使う方法ですが、フレームワークの違いによって、そもそも「どうやってどんなデータをとるか」と言う根底の部分がトップダウン式に影響を受けます。

心理学が学問として実証科学としての勢いを得た1930年代から1960年代くらいまでは、行動主義(behaviorism)と言うフレームワークが主流でした。行動主義では、「人間は他の動物と同様に意思を持たないだろう」と言う前提から出発するので、人間の内面にある部分を問う価値はないし、人間の動機や理由を研究する必要はなく、人間を理解するには、あくまで人間の体外に現れる行動だけを研究すれば良いとされていました。したがって、行動主義の前提に立つと「あなたはどう言う人間ですか?」と直接聞く適性検査のような手法は意味がないとされていました。行動主義のフレームワークだと、そもそも「性格」や「価値観」といった、人間に内在する心理的特性を測定するという発想そのものが生まれなくなってしまいます。

現代の心理学では、極端な行動主義から脱却し、人の内面に関わる性格や価値観などを測る手法が開発されてきました。現代のフレームワークだと、意思、動機、理由などは、人間の社会生活を理解する上でとても大事な心理的な要素だと言う前提があります。この様なフレームワークの基で、性格検査などの手法がHRテックサービスでよく使われるようになりました。

人文科学ではフレームワークの変動によって、前提となる見方が変わり、研究の方向性が変わってしまうことがしばしば起こります。この現象は、HRテック業界にも無関係ではありません。

HRテックの技術に深い関わりのある産業組織心理学では、最近になり小さな動きが出てきました。今後のHRテックサービスの開発者の発想などに影響を与える可能性があります。本記事では、小さなフレームワークの変化を捉えることによって、今度の大きな流れを先駆けて予測することが目標です。

新たなフレームワークの到来?人間関係に対する我々の主観的な認識

HRテックサービスには、社員一人一人から価値観のマッチ度や幸福度、ストレスの度合いを聞く様な、いわゆるサーベイ型のものがあります。サーベイは、部署毎や会社全体の平均値を出してカルチャーフィットに使ったり、チームや個人の生産性と繋げて予測に使ったりと、あらゆる目的で使うことができます。

一般的には、以下のような設問を用意します。

「あなたはの性格はどのようなものですか?(「どれくらい外向的ですか?」)」

スコアをそれぞれに聞き、全体のスコアを算出します。これらの設問の特徴は、個人の性格について直接聞いている点です。

一方で、最近のフレームワークでは「主観的な周りへの認識」を聞く方法に注目が集まっています。例えば、以下のような設問を用意します。

「あなたの性格は、自分の所属するチームの平均とどの程度似通っていると思いますか?」

自分自身のことについて直接聞くのではなく「自分は周りの人間についてどう思っているのか」を問うので、周囲に対する「主観的な認識」となります。従来のやり方では「自分」が主体となっていますが、新しいフレームワークは「周りの人間についての自分の主観」が主体となっています。

これらの項目に答える時に、両者のスコアは必ずしも一致するものではないことがわかると思います。近年のフレームワークでは、後者の様な周囲に対する認識を聞くことにも意味があるとされています。このフレームワークは「人間は、周囲の空気を読み取ることができて、それによって色々行動を変えている」と言う前提に立っています。

個人の認識と周囲への主観的認識を分ける事の利点

自分自身への認識と周囲に対する認識には、乖離があるはずです。自分はチームワークを大事にしているが、周囲の人間がチームワークをしているとは限りませんし、それを自分がどう認識しているかは、必ずしも一致しないはずです。

カルチャーフィットのメタ分析によると、主観的なカルチャーフィットを感じている人の方が、客観的にフィットが高い場合よりも業務満足度が高かったと言う調査報告があります。つまり「周りの人間との相性が良いと自分で認識している」人の方が、「実際のカルチャーフィット」に関わらず、良い状態を保てていることがわかりました。

新しいフレームワークによると「理想と現実」のギャップを明らかにすることが出来ます。例えば、保険会社のエンジニア、ヘルステックの従業員、公務員などを対象とした調査によると、「成果重視の価値観」においては、理想と現実のギャップが最も大きかったことが分かっています。 高いパフォーマンスに対しては、それ相応の給料が支払われる「べきだ」と思っていたとしても、現実の給与体制について聞かれると「実際には自分の会社は成果重視ではない」と答える人が多かったと言うことです。そして、ギャップを感じることが少ない従業員の方が、より高いエンゲージメント率を記録していました。

「自分が実際に思っていること」と「自分が周りをどう見ているか」のギャップは、新しいフレームワークを通して初めて明らかになってきた点です。自分の意見と、自分が組織に対して持っている主観的認識をあえて別々に聞くことで、初めてこのような心理的ギャップを明らかにして、より正確に従業員のパフォーマンスやエンゲージメントを推測できるようになります。

Wood, D., Lowman, G. H., Harms, P. D., & Roberts, B. W. (2019). Exploring the relative importance of normative and distinctive organizational preferences as predictors of work attitudes. Journal of Applied Psychology, 104(2), 270.

多様性と言う概念への応用例

新しいフレームワークを使った、多様性について興味深い結果があります。組織の多様性が良いとされる一つの理由は、多様性によってアイディアや情報の幅が広がり、よりクリエイティブな成果に繋がるからだとされています。そこで、学歴の多様性(従業員がどれだけ多様な教育のバックグラウンドを持っているか)などは、一つの分かりやすい指標になります。

新しいフレームワークによると、教育の多様性は、実際の学歴から計算される客観的な多様性と「周りの学歴について自分がどれだけ認識しているか」の主観的な認識に分けることができます。ドイツのテクノロジー会社を対象にした研究によると、自分が周りの学歴の多様性について認識してる従業員が多いチームほど、より多角的な知識の共有と運用を達成していることが分かりました。学歴の多様性は、知識と情報を高いレベルで共有することに繋がるが、その多様性についての共通認識ができていなければ、あまり効果がないと言うことが分かりました。

あるチームの多様性を高めようとして様々なバックグラウンドをもつメンバー構成にしたとしても、その多様性の存在について、それぞれのメンバーが主観的に認識していなければ、多様性のもつポテンシャルを最大限に高めることできません。逆に、多様性の効果を最大限に生かしたいのなら、多様性の認識を共有させることが大事になります。

Shemla, M., & Wegge, J. (2019). Managing diverse teams by enhancing team identification: The mediating role of perceived diversity. Human Relations, 72(4), 755-777.

組織内で情報を共有して、共通認識を高めることの効果

周囲の人間との情報を共有して認識することは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

周りのメンバーと情報を共有しているほど、自分やチームのパフォーマンスに良い影響があることは、様々な研究で報告されています。

Kim, S. L., & Yun, S. (2015). The effect of coworker knowledge sharing on performance and its boundary conditions: An interactional perspective. Journal of Applied Psychology, 100(2), 575.

最新の研究では、上司などの地位の高い人物の情報の共有や謙虚さが、チームや個人のパフォーマンスへ良い効果があることが報告されています。上司が他人の意見を受け入れたり、色々な情報に対して謙虚な態度を持っていると、その部下やチームの心理的な安全性やクリエイティビティに良い影響があり、このプラスの効果は上下関係の少ないチームであればあるほど、高いことが分かっています。

Hu, J., Erdogan, B., Jiang, K., Bauer, T. N., & Liu, S. (2018). Leader humility and team creativity: The role of team information sharing, psychological safety, and power distance. Journal of Applied Psychology, 103(3), 313.

自分の上司が、業務上の指示だけでなく家族のことなどプライベートな情報を共有してくれると、部下の仕事のパフォーマンスが高くなると言う報告もあります。このような透明性の高い情報交換は、心理的な安心感や信頼感などを通して、最終的にはチームのクリエイティビティやパフォーマンスの向上に役立つことも知られています。

De Jong, B. A., Dirks, K. T., & Gillespie, N. (2016). Trust and team performance: A meta-analysis of main effects, moderators, and covariates. Journal of Applied Psychology, 101(8), 1134.

これら全ての研究は、透明性の高い情報共有するのは良いことだと教えてくれます。逆に、透明性の低いチームでは、情報の予測はできても、実際の共有には至りません。お互いの共通認識を高めるには、オープンな情報交換が必要で、また、チームに一番影響力のあるであろうリーダー格の人物が情報の共有を積極的に実践すれば、より高い効果が望めます。

HRテクノロジーで、情報共有を促そう

最新の社会科学のフレームワークの動きを踏まえて、どの様なテクノロジーを使えば実践できるのでしょうか?

近年のHRテック業界では、社内でのコミュニケーションを促進させるための「見える化」を意識したサービスが多くあります。

2019年の日本の人事部のHRアワードで人材開発・育成部門最優秀賞を獲った、リクルートマネジメントソリューションズの「INSIDES(インサイズ)」と言うサービスは、部下の性格タイプや仕事での心理状態などのデータを元に、上司を対象にしたコンサルティングサービスです。部下一人一人の悩みや、それぞれに合ったコミュニケーションの仕方を上司が把握することによって、マネジメントを改善する方法です。

理論を元にした適性検査とテクノロジーを掛け合わせれば、一人一人から細かいデータを簡単に取ることができ、より正確な心理状態を測ることができます。前述した通り、価値観や心理的な情報は「主観的な共通認識」ができて初めて効果を発揮します。また、上司といった重要なポジションの人物が情報を共有すると、心理的安全性、信頼関係、クリエイティブティに良い影響があることが実証されています。性格や価値観といった心理的な要素は、目には見えずらいものなので、それらを共有するにはキッカケが必要です。HRテクノロジーは、そのキッカケ作りを手助けます。

2020年のHRテック業界は、従業員エンゲージメントをテクノロジーで促進する様なサービスがますます活躍していくでしょう。このようなサービスは、研究での理論的にも良い効果が期待できます。

学問の発展とともにHRテックは進化し続ける!

HRテックのサービスと、人文科学の理論と方法は密接な関係を持っています。基礎研究では理論やフレームワークが変わることによって、新たな測定方法や概念の重要性に気づかされることがあります。

本記事では、最近の動向である「主観的な共通認識」に着目したフレームワークと、その効果を紹介しました。すでに、この理論を活用しているようなサービスが従業員エンゲージメントなどの領域で見受けられます。

人文科学の理論の発展を追うことで、HRテックの今後の動向を一足先に知る手助けになります。

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